このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

経費管理業務のデジタル化による業務効率化

著者:株式会社プロデューサー・ハウス ライター,コンサルタント  笹原 和男

経費精算といえば、「時間がかかる」「手間がかかる」「会社に出社しないとできない」というイメージを持たれる方が多いでしょう。しかし、多大な負荷が発生していた経費精算業務に要する時間を、デジタル化により月に64%も削減し業務効率化を実現した会社があります。それがTISインテックグループのネオアクシス株式会社(以下、ネオアクシス)です。同社経営管理部長 兼ICT推進室長の佐藤朋広さんに、経費管理業務のデジタル化による業務効率化についてお話を伺いました。


経費管理業務のデジタル化による業務効率化

Concur® Expenseの導入で業務効率化を実現

ネオアクシスが経費精算業務の効率化を実現できたのは、Concur® Expenseというクラウドシステムを導入したことによります。これは経費精算や経費を使うにあたっての事前申請などをデジタルで行うシステムです。ペーパーレスで経費精算ができる点とモバイルデバイスに対応している点が大きな特長。電子帳簿保存法にも対応しています。

「当社の場合、社員全員にシンクライアント端末とiPhoneを貸与しているため、スマートフォンから経費精算ができます。領収書の写真を撮ってシステムにアップロードし、必要事項を入力して申請するだけで経費精算が完了。申請すると承認者にメール等で連絡が届き、承認者はこれを見てモバイル上で承認をすることができます。このようにConcur® Expenseでは、時間も場所も選ばずに経費精算の申請・承認ができるところが最大の特長となります」


Concur® Expense導入前の経費精算業務の状況

Concur® Expense導入前は次のような流れで紙をもとに経費精算を行っていました。まず精算者が紙の領収書を持ち帰り、会社でシステムに入力して帳票を出力し、これに領収書を貼り付けます。この紙を承認者に提出し印鑑をもらい経理に提出します。その後、提出された精算書に誤りがないかを経理でもう一度確認し、別の担当者が会計のシステムに入力します。もし精算書に不備があった場合は、この紙の精算書を精算者に差し戻して修正を依頼していました。そのため手間が二重三重にかかることもあり、非常に時間がかかっていました。

「導入前は経費精算に誤りも多かったです。例えば、交通費精算の場合には、運賃をWeb上で調べてシステムに手入力していましたので、入力間違いが発生することもあります」

ネオアクシスではお客様のところで働いている従業員が結構いますが、このような方々は経費精算をするために出社する必要がありました。そのための出社に交通費もかかりますし、移動のための時間もかかり非常に効率が悪かったのです。


Concur® Expense導入で業務時間を64%削減!

「導入前は、1人あたりの1カ月の経費精算業務の時間が、申請者と承認者と経理担当を合わせて160分くらいかかっていました。これが導入によりなんと58分まで削減でき、経費精算業務時間の64%の削減を実現しました。これは年間で見ると会社全体で1,500時間もの削減となり、非常に大きな効果がありました」

また、前述のとおり、システム上で経費精算を完結できるようになったため、どこにいても経費精算ができるようになり、経費精算のために出社する必要がなくなりました。これにより、そのための交通費や移動時間が不要になったことも大きいです。

「交通費精算の場合は上の写真にあるカードリーダーにSuicaやPASMO等のICカードをかざすと、乗車履歴が取り込まれデータ連携されるので誤りが劇的に減りました。従業員一人一人の定期区間をあらかじめ登録することで、定期区間を除外した運賃を自動で計算してくれます」

万一、ICカードの履歴が利用できない場合でも、路線検索システムのジョルダンと連携しており、乗車駅と降車駅を入力すれば正しい運賃が計算されるので、誤りはまずなくなります。以前は人が手入力をしていたものが、Concur® Expenseの導入により、ほぼすべてが自動化されました。

「出張精算の場合にも規程に合わせた条件設定をしておくと、誤った申請をするとシステムからアラートが出ます。申請者も承認者も規程を見比べて金額を確認する必要がないので、非常にメリットがありますね」

出張時もJR東海、日本旅行、Japan Taxi等のConcur® Expenseの連携サービスを利用すれば、個人が費用を立て替える必要がないので、経費精算をする必要もなく、とても便利です。


Concur® Expense導入による利用者の評価

1 申請者の評価

  • 交通系のICカードと連携しているので、交通費精算がとても楽になった。
  • 交通費精算をシステムに手入力する必要がなくなったので、手間が減って嬉しい。
  • 出張精算が自動で取り込まれるので、精算がとても楽になった。
  • 経費精算のために出社する必要がなくなったので、負担が減って助かった。

2 承認者の評価

  • 1つのレポートに複数行入力してまとめて申請できるようになったので、確認や承認の回数が減った。
  • 不備のある申請に対してシステム上でアラートが出るようになったため、誤った申請が劇的に減って差し戻しも少なくなった。
  • 土日に発生した経費やタクシーの同乗者が記載されていない場合等には、承認時にもアラートが出るので、アラートの出た箇所を中心にチェックすればよく、手間が大幅に減った。
  • モバイル対応しているので電車に乗っているときなど移動時でも承認ができるようになり、とても便利になった。
  • メール等で承認依頼が届いていることを知らせてもらえるので、見落としがなくなった。

3 経理担当者の評価

  • 交通費の誤りがまず発生しないので、差し戻しが大幅に減って楽になった。
  • データ連携されているので、システムに手入力する必要がなくなって手間が減った。
  • 電子帳簿保存法に対応しているので、紙の精算書等のファイリングが必要なく、業務を削減することができた。

経費精算業務の負荷軽減に取り組んだ目的

「目的は2つありました。1つは、当社の場合、自社でシステムを導入し、効果が出ることを検証したうえでお客様に提案するという社内ショーケースの仕組みを採っていることです。今回も株式会社コンカー(以下、コンカー社)のパートナーとしてお客様にConcur® Expenseを提案する前に、実際に社内で導入して効果を検証するという目的がありました。もう1つは、以前から経費精算にかかっていた従業員の負荷を軽減することにありました」

ネオアクシスで導入し検証したあとに実際にお客様へ提案する際には、担当した部門が導入の支援をすることもあります。現場から上がってくる疑問や不安の声、業務の担当者がやらなければならないこと、導入にあたって苦労した点等については、ネオアクシスで実証済みのため、お客様に対して実際の経験にもとづいたアドバイスができることが強みとなっています。

経費精算システム刷新にあたり苦労した点

「Concur® Expense導入により、差し戻しをできるだけ防ぐために、現行の規程と照らし合わせながら、会社のルールに合わせて承認プロセスが機能するように、細かい部分まで条件設定をすることに注力しました」

ネオアクシスでは2018年10月のキックオフから半年という短期間でConcur® Expenseを導入し、2019年4月から使用を開始したので、ほぼ毎週のようにコンカー社と打ち合わせをしていました。打ち合わせにおいては毎回その場で決定しなければならないことが結構あったので、意思決定のできる人のスケジュールを押さえて、打ち合わせに参加してもらうことで、その場で決定し導入を速く進めるようにしていました。実際にやってみないと分からない部分があるので、これを行うことで従業員が楽になるのか、困ることになるのか、現場でトラブルが起きるかもしれないといったこと等を想定しながら業務を進めていくところが一番大変でした。

同時に電子帳簿保存法への対応も行っていました。これは帳簿書類を電子的な媒体に保存することを可能にした法律となります。導入事例が少なくネオアクシスの顧問税理士も初めて経験するものでした。そのため税務署等のやり取りも専門的な部分以外はネオアクシスの担当者が実施。電子帳簿保存法に対応するために新たに規程を作成し、既存の規程の見直しも行い、やらなければならないことが常にたくさんあり大変でした。

「当社が実際に半年で導入できたので、お客様に提案する際にも実際の経験にもとづいて半年あれば導入できますと言えることが大きいですね」
承認プロセスも以前は最大で4ステップあったものを、上長の承認のみで精算ができるように変更。そのために規程を見直し、社内に説明もしました。


Concur® Expenseを活用した今後の展開

「経費精算システムのConcur® Expenseのほかに、予算管理ツールのBudget、分析ツールのIntelligenceも導入しています。しかし、現状ではこれらのツールはあまり活用できていません。今後はこれらのツールで分析をし、社内で経費を削減するための提案をしていきたいと考えています」

ネオアクシスでは経費精算についてはデジタル化に対応していますが、受領する請求書は原則として紙のものです。そのため将来的にはConcur® Invoiceを導入し、請求書業務もペーパーレスにしたいと考えています。請求書業務のシステム化により工数が削減できれば、現場においては空いた時間を本来の業務に充てられるようになります。間接部門においてもより生産性の高い仕事をしたり、企画業務等に時間を割くことができるようになります。

「契約書に関しては、親会社ではすでにクラウドサービスを導入しており、契約書の電子化がグループ内で徐々に進んでいるところです。当社ではもう少し様子を見てから導入を検討したいと思っています」

ネオアクシスでは現在、従業員の9割以上がテレワークをしています。今後、出社しなくても経費精算や請求書業務や契約もデジタルでできるようになれば、100%のテレワークも可能となりそうです。そうなると、一部の会社がオフィスを大幅に縮小したように、将来的にはオフィスを持たないオフィスゼロ化の可能性もあると考えられています。オフィスを構えることによる賃料等の負担も大きいので、将来的にはオフィスの縮小にも踏み込んでいきたいとの考えを持っています。


間接業務の効率化を検討されている会社へ向けてのメッセージ

「ポイントはすべてを一度にやろうとしないことですね。手間はかかるかもしれませんが、確実に一つ一つ取り組んでいくことが結局は一番の早道だと思っています。経営者にはやりたいことがたくさんあると思いますが、大局的な見方をしつつも、すべてを一度にやろうとするのではなく、最初は小さいところ、できるところから手を付けていくことが大事ではないかと思います」

例えば今回のConcur® Expenseの導入のようなことであれば、システムを稼働させながら不都合な点を修正できます。実際に始めることが大事です。着手した後に自社のやり方に合わせて、必要なところは常に改善していくようにする方がよいです。

システム導入にあたっては自社に合わせてすべてをカスタマイズしようとすると、とても大変なことになります。したがって、ある程度割り切ってカスタマイズできない部分はシステムに合わせて進めるようにしないと、プロジェクトが先に進まなくなってしまいます。

新システムの導入にあたっては、過去のやり方にあまり縛られずに、新システムに合わせて見直しできる部分は変更してしまうのもよいと思われます。ネオアクシスの場合には上述したように、新システム導入に合わせて現行のルールを見直し承認プロセスを簡素化しています。

まずは不完全な状態でもできる部分から始め、プロジェクトを先に進めるようにすることが間接業務の効率化実現のためには重要だと思います。


経費管理業務のデジタル化の効果

経費管理業務のデジタル化により業務効率化を実現したネオアクシス。その効果は経費精算の効率化だけにとどまるものではありませんでした。同社ではクラウド上でペーパーレスで経費精算ができるようにしたことにより、事業部門だけでなく、バックオフィス部門のテレワークの促進など、働き方改革も加速させています。

Concur® Expenseの導入前にはiPhoneを従業員全員には貸与しておらず、部門長と基本的に出先で勤務している開発担当者や営業担当者くらいしか持っていませんでした。Concur® Expenseの導入と同じ時期に、どこにいてもコミュニケーションが取れるように、全従業員にシンクライアントPCとiPhoneを貸与しました。その結果、現在、理論上は全員がテレワーク可能な状態となっています。

経費管理業務がデジタル化されていたことで、新型コロナウイルス感染拡大防止策としてテレワークに切り替える際にも、経理担当者を含めた全従業員が大きな障害もなく即座に実施することができました。

ネオアクシスでは現在、9割以上の方がテレワークをしています。200人以上入れるオフィスに通常は20人程度しか出社していません。請求書の処理や契約書の作成等、まだデジタル化されていない業務があり、押印等をするために出社する場合があります。

今後、請求書業務や契約書等についてもデジタル化が進めば、将来的には100%のテレワークも可能となり、オフィスを持たないオフィスゼロ化の実現もできるかもしれません。また、従業員にとっても個々の事情に応じた多様な働き方の確保が可能となり、さらに働きやすい職場となることでしょう。

※ネオアクシス株式会社は、2021年4月1日付で株式会社アグレックスと合併しました。

当インタビュー記事は2021年2月時点の内容です。

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

この記事に関連する最新記事

著者プロフィール

author_item{name}

笹原 和男

株式会社プロデューサー・ハウス ライター,コンサルタント

1969年生まれ,神奈川県横須賀市出身。明治大学法学部卒

2005年日本CFO協会「経理・財務スキル検定」 スコア:744点(800点満点) レベル:A 取得

2006年日本CFO協会スタンダードCFO取得

2020年中小企業診断士登録

総合人材サービス企業で経理業務を担当。得意分野は連結決算,個別決算,開示書類作成,税務申告,税務調査対応,管理会計,予算策定の取りまとめ等。

お問い合わせ先

株式会社プロデューサー・ハウス

Web:http://producer-house.co.jp/

Mail:info@producer-house.co.jp

この筆者の他の記事(全て見る

テーマ/キーワードから記事を探す

業務・書式種別から記事を探す

フリーワードで探す

bizoceanジャーナルトップページ