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第30回 エンゲージメントを高める社内活性化制度とは

著者:株式会社月刊総務 代表取締役社長 『月刊総務』編集長  豊田 健一


第30回 エンゲージメントを高める社内活性化制度とは

社内活性化は、ずばり「会話」

働き方改革の目指すべきところが、働きやすさから働きがいへと移行している。そのキーとなるのがエンゲージメント。わくわく仕事ができること、仕事に没頭することと言われている。その延長線上にあるのが、幸福経営。CHO(チーフ・ハピネス・オフィサー)を設置して、その実現を目指す企業が増えている。

一方で、企業は組織。退職理由の多くが、組織内の人間関係を原因としている。幸福に働くには、組織の構成員間の相互理解が必要となる。お互いのバックグラウンドを理解し、何を言っても馬鹿にされない、心理的安全性を目指していく。そのベースとなるのが、社内の活性化。

多くの企業で社内活性化について、さまざまな取り組みがなされている。社内活性化とは、具体的にはメンバー間で「会話」をさせること。その会話も、お互いを知り合うことで初めて成り立つ。次に、知り合った人同士が会話できる場を仕掛けることが必要。コピー機のスペースや休憩室のように偶発的な出会いの場を作る方法もあれば、事務局が強制的に会話の場を作るという方法もある。今回は社内活性化にあたってユニークな取り組みを実践している実例を紹介しよう。

社内短期留学制度

ある企業が行っている事例、その名も「社内短期留学制度」。所属部署とは異なる部署で、ある期間その部署の仕事を体験するという制度だ。他の仕事を体験することで、視野を広げるという目的、また短期(3か月から半年程度)とは言え、留学した先での人脈作りが可能となる。

留学先から戻ってきても、その人脈は生き続けるので、何かあれば気軽に頼ることができる。情報交換もされる。留学した人が「ハブ」となり、両部署の潤滑油としての活躍も見込める。

一方で、留学生の年次にもよるが、一定期間、本籍部署からメンバーが抜けることになるので、その部署として人手不足が生じ、その分を他のメンバーでカバーしなければならない。結果、業務の効率化、改善が見込める。リーダークラスが留学してしまったら、さらに工夫をしないと乗り切れない。

また、受け入れる部署は、全くの初心者が入ってくるので、戦力として活躍してもらうには、仕事の意味や目的を伝えなければならない。それは、自らの仕事を見つめ直すきっかけにもなる。リーダークラスが留学生としてやってきた場合は、経験もあり、従来型の業務についていろいろと良い意味での指摘や改善提案をしてくれることも期待できる。

留学する人も、受け入れる側も、さらに送り出す側にも多くの刺激があるこの制度。多少の混乱はあるものの、人脈作りに加えて、両部署に業務改善という刺激を与えることが可能となる。

社員講師による勉強会

社内大学という名称で人材教育を運営している企業が増えている。外部から専門家を招聘(しょうへい)して勉強会や研修を開催するのではなく、社員が講師を務める。しかも業務に関する勉強会のみならず、業務外についても同様に行う。

まずは業務系の勉強会。業務に関する専門知識を有する講師役に社員を任命。任命された社員は、必死になって勉強会の資料作りやプレゼンの練習を行う。自身の成長の機会にもなる。勉強会を社内に告知することで、自社にこのような専門家が存在するのだ、というPRになる。また勉強会に参加した社員は、勉強になるとともに、社内人脈を作ることができる。困ったらその人に連絡することで、これから会話するきっかけ、知り合う場を提供することにもなる。

業務外の勉強会とは、例えば、プライベートで「ヨガ」を行っており、相応の知識がある。「写真」撮影が趣味で、その腕前がプロ級。そのようなプライベートで専門家顔負けの社員がいるはず。そのような社員に課外活動的に講師役を頼み、希望者を募って勉強会を行う。

参加者はさまざまな部署から集まってくるので、参加した者同士の知り合うきっかけを提供することとなる。お互い自己紹介するので、仕事上での結び付きに発展する可能性もある。講師役としては、晴れの舞台で活躍できるし、その場に参加した者同士に会話の場を提供できる。そして講師役との人脈作り、参加者同士の人脈作りにも寄与することができる。自らが興味のあることなので、積極的に知り合い、会話をすることが期待できる。

プレゼント交換会

あるアパレル会社の事例。会ったことのない社員同士がペアを組み、お互いにプレゼントを贈るという制度。相手にいかに喜んでもらうかを考える上で、相手のことをより深く知るきっかけが提供される。

総務部が事務局となり、毎月、接点のない社員同士の組み合わせを作り、双方にその相手を連絡。月一回行われる全体会でプレゼントを贈呈。連絡を受けた社員は、プレゼントを贈る相手の喜ぶ顔、全体会の参加者の驚く顔を見るために、懸命にリサーチを行う。相手本人には聞けないので、相手が所属する部署のメンバーや上司、同期社員などに本人の趣味嗜好(しこう)をヒアリング。いままで接点のない人の所属する部署なので、その部署の他メンバーともほとんど接点がない場合が多いはず。自己紹介から始めて、いろいろなメンバーと話をする機会の場ともなる。

そして、プレゼント交換当日。お互いが初めてその場で会話をするが、ヒアリングした結果、すでにお互いのことを知り合った仲となっているため、その結び付きは深いものとなる。一気に距離が縮まり、双方の部署の「ハブ」、潤滑油としての役割が期待される。このようなプレゼント交換を繰り返すことで、ヒアリング段階からさまざまな部署に出入りするきっかけともなり、やがて、ほとんどの部署の人と話すことになる。

事例のように、会話のきっかけをどのように提供するかが、社内活性化には極めて重要なのだ。

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 『月刊総務』編集長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、『月刊総務』の編集長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの副代表理事や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。
著書に、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』、『経営を強くする戦略総務

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