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女性活躍推進法が2022年4月に改正|概要・目的・対応方法を解説

監修者:きた社労士事務所 代表  北 光太郎

女性活躍推進法が2022年4月に改正|概要・目的・対応方法を解説

女性活躍推進法は、「女性がより活躍できる社会」の実現を目指して、2015年8月に成立した法律です。2016年4月に施行され、2022年4月に新たに改正されました。

本記事では、女性活躍推進法の概要や、2022年4月における改正のポイントについて解説し、企業が対応・適用する際の具体的な手順についても解説していきます。


女性活躍推進法とは?

女性活躍推進法は、女性がより活躍できる社会の実現を目指す法律です。正式名称を「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といいます。

概要

女性活躍推進法は、労働者数が101人以上の企業に対し、女性活躍に向けた行動計画の策定や、自社の女性活躍に関する情報の公開などを義務付けるものです。

義務の対象は、2016年4月の施行時には労働者数301人以上の企業に限られていました。しかし、2022年4月の法改正により対象が拡大され、現在は労働者数101人以上の企業が対象となっています。

参考:令和4年4月1日から 女性活躍推進法に基づく行動計画の策定・届出|厚生労働省

女性活躍推進法が公布された目的

女性活躍推進法の目的は、女性が活躍しやすい労働環境をつくることです。

しかし、施行から6年が経った現在においても、女性活躍に向けた日本の取り組みは十分とはいえません。

2021年、世界経済フォーラムは各国の男女格差を数値化し「ジェンダーギャップ指数2021」として発表しました。そのなかで日本は、世界156カ国のうち120位となり、主要先進7カ国(G7)のなかでは最も低い順位でした。

参考:国土交通省白書2021「第3節 多様化を支える社会への変革の遅れ

この現状を受け、日本社会は2022年4月に施行された新たな改正に合わせて、さらなる女性活躍に向けて取り組んでいく必要があります。


女性活躍推進法は2022年4月から改正

2019年6月には、女性活躍推進法の一部を改正する法律が公布され、2022年4月までに順次施行されてきました。その改正内容はどのようなものなのでしょうか。また、その改正内容に対して気を付けるべきポイントについても知る必要があります。

ここからは、2022年6月時点における最新の改正内容について解説します。

一般事業主行動計画の策定義務対象拡大(2022年4月施行)

女性活躍推進法が施行されて以降、常時雇用する従業員が301人以上の企業に対して取り組みが義務化されていましたが、2022年4月から101人以上の企業に拡大されました。

「常時雇用する」とは、以下に該当する従業員です。

  • 正社員
  • 期間の定めのない非正規社員
  • 1年以上引き続き雇用されている有期契約労働者
  • 1年以上雇用が見込まれる有期契約労働者

上記に該当する従業員を101人以上雇用している場合は、女性活躍推進法に基づく行動計画の策定や情報公表が必要になります。


女性活躍推進法の2022年以前の改正内容

2022年4月の改正内容は、「一般事業主行動計画の策定義務対象」ということで、今までは対象でなかった企業も対象になります。そのため、これまでの改正内容も含めて、女性活躍推進法について理解するようにしましょう。ここからは、2022年以前の改正内容について解説します。

女性活躍に関する情報公表を強化(2020年6月施行)

常時雇用する従業員が101人以上(2022年3月までは301人以上)の企業は、一般事業主行動計画を作成する際、以下の2つの区分ごとに1つ以上の項目を選択し、行動計画の策定届を作成しなくてはなりません。

①女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供

②職業⽣活と家庭⽣活との両⽴に資する雇用環境の整備

  • 採用した労働者に占める⼥性労働者の割合
  • 男⼥別の採用における競争倍率
  • 労働者に占める⼥性労働者の割合
  • 係⻑級にある者に占める⼥性労働者の割合
  • 管理職に占める⼥性労働者の割合
  • 役員に占める⼥性の割合
  • 男⼥別の職種又は雇用形態の転換実績
  • 男⼥別の再雇用又は中途採用の実績
  • 男⼥の平均継続勤務年数の差異
  • 10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男⼥別の継続雇用割合
  • 男⼥別の育児休業取得率
  • 労働者の一⽉当たりの平均残業時間
  • 雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間
  • 有給休暇取得率
  • 雇用管理区分ごとの有給休暇取得率

出典:厚生労働省「雇用環境・均等行政をめぐる 最近の動き

プラチナえるぼし認定の創設(2020年6月施行)

「えるぼし認定」とは女性活躍推進法に基づき、一定基準を満たしている優良な企業を認定する制度です。2020年6月からは、えるぼし認定企業のうち、より高い水準の要件を満たした企業には「プラチナえるぼし」が認定されることとなりました。

参考:厚生労働省「雇用・労働女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)


女性活躍推進法に企業が対応・適用する方法

ここでは、女性活躍推進法に企業が対応・適応する方法や、具体的な手順について解説していきます。

女性労働者の活躍状況を把握する

まずは社内の女性従業員の活躍状況について、以下の4点を把握してください。

  1. 採用者に占める女性比率
  2. 平均勤続年数の男女比
  3. 月別の平均残業時間数
  4. 女性管理職の比率

上記のうち、1と2については、職種や雇用形態別に把握すると良いでしょう。

現状を把握できたら、次は課題分析です。

課題分析は、以下のような基準を設けると行動計画を策定しやすくなります。

  • 女性採用者が40%を下回っている
  • 女性の勤続年数が男性に比べて低くなっている
  • 残業時間が月平均45時間を上回っている
  • 女性管理職の割合が40%を下回っている

このように基準を設けることで自社の課題が明確になり、改善に向けた行動が起こせるようになります。

社内で行動計画を策定する

状況の把握ができたら、次のステップで行動計画を策定しましょう。

  1. 課題に優先順位をつける
  2. 計画期間を決める
  3. 目標を決める
  4. 目標を達成するための対策を立てる

順を追って解説します。

参考:厚生労働省「一般事業主行動計画の策定・届出等について

課題に優先順位をつける

課題の分析結果を基に優先順位をつけていきます。優先される課題を行動計画に盛り込みましょう。

計画期間を決める

次に計画の期間を設定します。2~5年が望ましいです。

目標を決める

具体的な数値目標を決めましょう。たとえば「課長以上の女性管理職を2人以上増やす」などが挙げられます。目標が複数ある場合は、組み合わせて2つ以上の目標を設定しても構いません。

目標を達成するための対策を立てる

目標を達成するために「いつまでに、どのような取り組みをするか」を記載します。たとえば「管理職候補となる女性労働者の育成研修を行う」などです。取り組みは複数記載しても構いません。

ただし、男女雇用機会均等法に違反しない内容を記載してください。たとえば、採用で女性が4割を上回っている職種で「女性を優先して採用する」といった内容は認められません。

期限厳守で管轄の都道府県労働局へ届出を行う

行動計画を策定したら、策定の日からおおむね3か月以内に管轄の都道府県労働局へ届出を行いましょう。届出方法は電子申請、郵送、持参のいずれかです。

提出の際には、厚生労働省が提供している「一般事業主行動計画策定・変更届」(様式第一号)をダウンロードし、必要事項を記入したうえで届出を行いましょう。

届出をした後は女性活躍推進法を社内でも推進していく

届出後は策定した行動計画を全従業員に周知し、外部にも公表します。

従業員への周知方法は、社内の見やすい場所への掲示や書面の交付、電子メールの送信など全従業員に周知できる方法で行いましょう。

外部の公表方法は、自社のホームページへの掲載や厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」への掲載などがあります。

なお、周知・公表の方法は行動計画に記載する必要があるため、あらかじめ考えておきましょう。


女性活躍推進法についてのまとめ

女性活躍推進法は、女性がより活躍できる社会の実現を目指し、公布されました。その背景には、日本における女性の地位向上が、世界的に見ても遅れているという現実がありました。

2022年4月の改正により、女性活躍に向けた取り組みがさらに強化されるものとなります。対象となる各企業は、取り組むべき事柄についてしっかりと理解したうえで対応してください。

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監修者プロフィール

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北 光太郎

きた社労士事務所 代表

2012年に社会保険労務士試験に合格。

勤務社労士として不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善など様々な取り組みを行う。

2021年に社会保険労務士として独立。

労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。

法人向けメディアの記事執筆・監修のほか、一般向けのブログメディアでも労働法や社会保険の情報を提供している。

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