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みんなはどう考えているんだろう?  コロナ禍、これからの働き方と働く場、オフィスのあり方

データシリーズ5

みんなはどう考えているんだろう?  コロナ禍、これからの働き方と働く場、オフィスのあり方

コロナ禍により大きく変わった働き方。『月刊総務』では、働き方の変化と、それによる働く場、オフィスの今後についてアンケートを取った。

総務の現場では、どのようにオフィスを捉えているのだろうか?


この記事の著者
株式会社月刊総務 代表取締役社長   戦略総務研究所 所長 

約7割がオフィスの見直しを実施・検討。見直し内容1位は「占有面積縮小」

新型コロナウイルスによるオフィスの見直しについて尋ねたところ、「見直しをした」「見直しを検討している」が合わせて66.6%と、約7割がオフィスの見直しを実施または検討していることが分かった。

・見直しをした:26.7%

・見直しを検討している:39.9%

・見直す予定はない:33.3%

見直しの内容は、実施済み・検討中ともに「占有面積の縮小」が一位。その他にはレイアウトの変更に関する回答が多く、具体的には「フリーアドレスの導入」や「執務室を少なくしてMTGやZoom会議を個別に行えるスペースを増やす」「余分な会議室の有効利用」などが挙げられた。

出社率が半分あるいはそれ以下になれば、当然オフィスはガラガラ。経営陣から「この状態が続くのであれば床面積を減らせないか」というオーダーは当然ながら出てくる。新聞紙上では、有名大企業がオフィス面積を半分にする、ベンチャー企業がフルリモートに移行、といった報道が相次いだ。

ただ、コロナ禍が収まるまでは分散という働き方が選択されるが、ワクチン接種が広がりコロナが終息した際に、やはりオフィスで仕事ができるよう「分散」から「出社」に移行した場合、オフィス面積を減らしてしまうとオフィスが足りないという課題が出てくるのが心配な点である。その補完の意味で、コワーキングスペースやレンタルオフィス、サードプレイスについての契約も検討課題に入っているのはうなずける。オフィスが足りない場合の調整弁として機能するからだ。サードプレイスには、専有部分があるレンタルオフィス、執務スペースも他社とシェアするシェアオフィス、専有部分がないコワーキングスペース等、いろいろな種類がある。それぞれにはできる仕事とできない仕事があるので、内容を精査し、自社の従業員の状況を鑑み、立地も考慮するなどサードプレイスポートフォリオの検討が必要である。

オフィスの見直しをした企業および見直しを検討している企業に見直し理由を尋ねたところ、「新型コロナウイルス感染予防」「テレワークの定着」「コスト削減」などの理由が複数挙がった。

<オフィスの見直しをした企業 / 一部抜粋>

・新型コロナ感染症予防

・リモートワークが確立したため、現状の社内スペースが必要でなくなった

・ソーシャルディスタンスを意識したワークスペースの拡充

・事業維持のためのコスト削減と新しい働き方へのオフィス構築

<オフィスの見直しを検討している企業 / 一部抜粋>

・コロナの影響もあり、社員の働き方に多様な選択肢を提示する必要が出てきた

・テレワークで円滑な業務遂行が可能であることが確認できたため、オフィスの用
 途・意味が変わった

・今後のより有効な危機管理対策の一環

・経営状況の悪化により、固定費を削減するため

・東京一極集中はリスクが高い


オフィスで働くメリットは「仕事環境が整っている」「簡単な打ち合わせや質問がしやすい」

オフィスで働くことのメリットについて尋ねたところ、「仕事環境が整っている」が76.6%で最多、「簡単な打ち合わせや質問がしやすい」が72.3%、「雑談ができる」が52.8%と続いた。その他には、「会社の一員であることが実感できる」など、オフィスがあることによって会社への帰属意識を感じるという意見が複数あった。

・仕事環境(デスク・空調・備品など)が整っている:76.6%

・簡単な打ち合わせや質問がしやすい:72.3%

・雑談ができる:52.8%

・セキュリティが安心:47.2%

・ネット環境が整っている:44.6%

・マネジメント・評価がしやすい:36.3%

・集中しやすい:28.2%

・研修やOJTがしやすい:25.2%

・オフィスにメリットはない:1.7%

・その他:8.9%

当然、仕事をする場として作られたオフィスには仕事環境が整備されている。二番目の簡単な打ち合わせ・質問、三位の雑談ができる、これらのメリットが、コロナ禍が一年以上経過した現在では注目されている。リモートではこれらの機能が難しく、メンタル不全に陥る若手メンバーもいる。オンラインで雑談タイムを設けたり、オンラインでのランチ会を開催したり、取るべき手段はいろいろとある。バーチャルオフィスシステムにより、雑談をする環境を整備している企業もある。ただ、どうしても「あえて雑談する時間を設ける」ことになり、雑談をするために集まるという、本来の雑談が雑談ではなくなる状況にもなりうる。この雑談によりヒントを得られたりする、いわゆる偶発性は、そのための時間を設けることで生まれるとは考えにくい。この部分において、オフィスの存在意義があるように思う。


テレワークのメリット「通勤時間がかからない」の回答9割超

テレワークで働くことのメリットについて尋ねたところ、「通勤時間がかからない」が91.4%で断トツとなった。続いて、「自分のペースで仕事ができる」が64.4%、「集中しやすい」が57.4%と、生産性に関する回答が上位に入った。

・通勤時間がかからない:91.4%

・自分のペースで仕事ができる:64.4%

・集中しやすい:57.4%

・無駄な会議が減る:51.5%

・リラックスした格好で仕事ができる:44.6%

・無駄な会話が減る:32.0%

・休憩がしやすい:29.4%

・有休が取りやすい:8.6%

・テレワークにメリットはない:1.0%

・その他:4.6%

第一位の通勤時間がかからない、このメリットは結果でしかない。考えるべきは、自分のペースで仕事ができる、集中できるという点である。オフィスにいれば何かと声を掛けられるし、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)で集中スペースを作っても、オフィスにいる限り声を掛けられる可能性がある。その点、テレワークであれば、通信環境を遮断すれば完全に集中できる。今後、オフィスとテレワークの機能分化を考えるのであれば、集中ワークやソロワークはテレワークで、打ち合わせや集団でのコラボーレーションはオフィスで行う、そんな機能分化がスタンダードとなるであろう。全てが揃った万能型オフィスから、オフィスには必要な機能だけを残しテレワークとのすみ分けを行う機能特化型オフィス、このコンセプトが主流となる。

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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

毎日投稿 総務のつぶやき 

毎週投稿 ラジオ形式 総務よもやま話

毎月登場 月刊総務ウェビナー

著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

講演テーマ:総務分野

総務の最新動向について

総務の在り方、総務のプロとは

戦略総務の実現の仕方・考え方

総務のDXWithコロナのオフィス事情

健康経営の進め方、最新事例の紹介、など

講演テーマ:営業分野

総務経験者が語る総務の実態、総務の意志決定プロセスを知るセミナー

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