このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

テレワークを企業が導入するメリットは?成功事例やポイントも併せて解説

テレワークを企業が導入するメリットは?成功事例やポイントも併せて解説

場所や時間に縛られずに柔軟に働けるテレワークは、情報通信技術の発達によって急速に広まっています。

本記事では、テレワークの意味や種類、メリットについて解説します。導入のポイントや活用したい制度も紹介しますので、テレワーク導入の際の参考にしてください。


この記事の監修者
西岡社会保険労務士事務所  代表 

テレワークとは

まずは、テレワークの意味やリモートワークとの違いについて解説します。

テレワークの意味や定義

日本テレワーク協会では「テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義しています。

テレワークによって会社に出社することなく仕事ができ、企業によっては勤務時間も選択できるようになります。

テレワークは、働く場所によって在宅勤務やモバイルワーク、サテライトオフィスなどに分類されます。

テレワークとリモートワークの違い

テレワークとよく似た言葉に、リモートワークがあります。テレワークには日本テレワーク協会による定義がありますが、リモートワークには明確な定義がありません。一般的に「会社以外の場所で仕事をする働き方」という意味で使われています。

テレワークの定義と比較した場合、リモートワークでは「情報通信技術の活用」が必須ではない点が異なりますが、実際には両者に明確な違いはありません。どちらも場所にとらわれない柔軟な働き方ができる勤務形態といえるでしょう。

ただし、政府などの公的機関や大企業ではテレワークという言葉を使用する傾向が強く、IT企業やフリーランスの間ではリモートワークという言葉が多用されます。使い分けに困った場合の参考にしてください。

テレワークの働き方

テレワークの働き方は、働く場所によって以下の通り分類されます。

  • 在宅勤務
    在宅勤務とは、自宅を職場とする働き方です。インターネットを通じて会社と連絡を取りながら、業務を進めます。通勤時間を節約できる、服装を気にしなくていいなどのメリットがあります。
  • モバイルワーク
    モバイルワークとは、電車や新幹線、飛行機の中など、移動中に仕事をする働き方です。喫茶店や宿泊先で仕事を行うことも含まれます。モバイルワークを行う際は、インターネット環境の確保が必要です。
  • サテライト/コワーキング
    企業が郊外などに設けたサテライトオフィスや、個人がオフィス環境を共有できるコワーキングスペースなどを活用した働き方です。仕事に適した環境を確保できます。
  • ワーケーション
    ワーケーションとは、ワークとバケーションを組み合わせた造語です。休暇先で仕事をする、バカンスも楽しめる環境の良いところでテレワークすることを意味します。

企業がテレワークを導入するメリット

テレワークの導入は、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?

人材募集やコストなど、さまざまな視点から解説します。

地方・海外在住の優秀な人材雇用につながる

企業がテレワークを導入するメリットの1つは、地方や海外に住む優秀な人材を雇用できることです。働く場所を問わない就業が可能となるため、転居が必要になるなどの理由から採用が難しかった人材も募集できるようになります。

また、テレワークの活用によって、通常の勤務時間帯では働けない人やフルタイムで働けない人にも雇用の幅が広がります。たとえば、海外在住で日本と時差がある場合でも、業務内容が明確で頻繁に連絡する必要がなければ、海外の一般的な勤務時間で仕事ができます。

場所や時間にとらわれない柔軟な働き方が求職者のニーズに応えるため、採用可能な人材は飛躍的に増えるでしょう。人手不足の解消や社内にないスキルや知識を持った人材の確保は、企業にとって大きなメリットです。

経営コストを削減できる

経営コストの削減も、テレワーク導入のメリットです。主に従業員の通勤に関する費用とオフィス関連の費用を削減できます。

従業員の通勤がなくなれば、定期代などの交通費の負担はゼロになります。Web会議などを活用して出張を削減できれば、出張費用も減らせるでしょう。

また、従業員が出社しない場合、広いオフィスは不要になります。賃貸の場合、オフィスの使用面積を減らして賃料を引き下げて、オフィス関連の費用を削減できます。

オフィスの使用面積を減らすためには、従業員1人ずつ割り当てていた座席を共有化したり、固定席を作らず好きな席で仕事ができるフリーアドレス制を導入したりするなどの工夫が必要です。

生産性・営業効率の向上

テレワーク導入のメリットの3つ目は、生産性や営業効率の向上を図れることです。

ただし、単に従来通りの仕事を自宅で行うだけでは、生産性や営業効率の向上は見込めません。テレワークを機に業務内容を見直して、無駄な仕事をなくし、業務手順を効率化・デジタル化するなどの対応が必要です。

また、通勤の負担がなくなり、ワークライフバランスが改善して、従業員が精力的に仕事に取り組むことも期待できます。落ち着いた環境で仕事を行うことで、自由で独創的な発想が生まれ、周りに邪魔されずに集中力がアップする可能性もあるでしょう。

一方で、テレワークによる生産性の低下には注意してください。人が見てないためサボってしまう、やる気が出ない、という状況にならないよう、従業員が自己管理できるような仕組みが求められます。

また、従業員同士のコミュニケーションが希薄にならないように気を配ることも重要です。

企業イメージの向上

企業イメージの向上が、テレワーク導入の4つ目のメリットです。社会全般や取引先、求職者などに、以下のようなイメージを与えることが期待できます。

  • 政府の推進する働き方改革を実践する行動力のある会社
  • コロナ対策に積極的に取り組む責任感・社会性のある会社
  • デジタル化の進んだ先進的な会社
  • ライフワークバランスの実現に取り組む従業員に優しい会社……など

企業イメージの向上を図るには、テレワークを導入するだけではなく、企業の取り組みを社外に向けて発信する努力も必要です。取引先や就職活動中の人材にうまくアピールできれば、取引先との関係強化や優秀な人材の採用につながる可能性もあります。


企業がテレワークを導入するポイント

テレワークは従業員にとって、大きな変化を伴う働き方です。スムーズに導入を進めるために押さえておきたい、3つのポイントを解説します。

業務を効率化するツールを導入する

企業がテレワークを導入するときのポイントとして、業務を効率化するツールの導入が挙げられます。

オフィスで仕事をするときは、対面で連絡を取り合い、会議で意見交換や意思決定を行っています。テレワークを行うときには、それらに代わるコミュニケーション手段が必要です。電話やメールでは効率が悪いため、グループチャットやWeb会議の活用がおすすめです。

たとえば、「ChatWork」「Slack」などのチャットツールや、「Zoom」「Google Meet」などのWeb会議ツールです。労働時間を管理する勤怠管理システムや、社内で共有できるスケジュール管理ツールなども検討してみましょう。

ビジネスツールを選択するときは、効率や使いやすさだけでなく、セキュリティー管理に問題がないか、取引先とツールを共有できるかなども事前に確認してください。

インターネット環境などの業務環境整備

テレワーク導入の2つ目のポイントは、インターネット環境などの業務環境整備です。

主にインターネット環境やパソコンなどの情報通信機器、その他業務に必要なものが対象です。

インターネット環境については、業務に必要な一定水準以上の通信回線を導入しなければなりません。従業員の自宅の通信回線を利用することが多いのですが、その他必要な経費と合わせて「テレワーク手当」を支給する企業もあります。

パソコンやタブレット端末、スマートフォンなど情報通信機器は、原則企業側が準備します。個人のパソコンを利用する場合、情報漏えいが発生しないようにセキュリティ管理を徹底しましょう。

業務を行うには、机や椅子、照明器具、室内の空調なども必要です。従業員の自宅にあるものを活用するのが一般的ですが、企業が一部費用を負担するケースもあります。

労務管理方法の見直し

テレワーク導入の際には、労務管理方法の見直しもポイントとなります。

主な見直し項目は以下の通りです。週1、2日程度のテレワークなら不要な項目もありますが、全面的なテレワークに移行する場合は、就業規則の見直しも必要となります。

  • 就業場所
  • 労働時間や始業・終業時刻、残業の取り扱い
    (または、フレックスタイム制や事業場外みなし労働時間制の導入など)
  • 労働時間の管理方法
  • 給与や残業時の割増賃金
  • 業務内容
  • 業績評価や人事評価
  • テレワークに必要な費用の負担

労務管理方法の見直しは、生産性や営業効率の向上だけではなく、従業員が安全安心に働ける環境整備も実現できるように慎重に検討しましょう。

また、厚生労働省が公表している「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」も参考にしてください。


テレワーク導入で活用したい制度

国や地方自治体では、企業がテレワークを導入する際の助成金制度を設けています。経費の負担が大きく減少しますので、会社所在地の制度を確認しておきましょう。

人材確保等支援助成金(テレワークコース)

初めてのテレワーク導入を検討している企業は、人材確保等支援助成金(テレワークコース)の活用を検討してみましょう。

支給要件は、以下の通りです。

  • 新たにテレワークに関する制度を規定した就業規則、または労働協約を整備すること
  • 「所定の期間内に対象労働者全員がテレワークを実施」などの実績があること
  • テレワークの実施促進について、企業トップからメッセージ発信を行うこと……など

支給要件を満たせば、テレワーク導入に要した費用の30%(上限100万円など)の助成が受けられます。さらに、1年間の離職率が30%以下などの一定の目標を達成した場合、導入費用の20%(または35%)が加算されます。

詳細については厚生労働省の人材確保等支援助成金(テレワークコース)のページで確認してください。

地方自治体の助成金制度

企業のテレワーク導入に対しては、国だけでなく、地方自治体でも助成金制度を設けて支援しています。一例として、東京都と兵庫県の助成金制度を紹介します。

東京都のテレワーク促進助成金は、都内の中堅、中小企業を対象にテレワーク機器やソフトなどの環境整備にかかる経費を助成するものです。

対象事業所 都内の常時雇用労働者999人以下の企業
助成率 経費の3分の2または2分の1(最大250万円)
申請期間 2022年5月9日~2023年1月31日

兵庫県のテレワーク導入支援助成金は、テレワーク機器のほか、ネットワーク設定の初期費用やコワーキングスペースの借上料などの経費に対する助成金です。

対象事業所 常時雇用労働者300人以下の企業
助成率 経費の2分の1(最大200万円)

企業所在地の地方自治体ホームページなどで、受給可能な助成金を調べてみましょう。


テレワークのまとめ

テレワークとは、情報通信技術を活用して場所や時間にとらわれない働き方のことです。従業員だけではなく、企業にとってもコストや人材確保において、さまざまな恩恵があります。

導入の際には、メリットを最大限に活かせるように、通信環境の整備や労務管理方法の見直しをしっかりと行うことが大切です。

国や地方自治体にはテレワーク導入の助成金がありますので、導入前に要件や対象条件を確認しておきましょう。

【書式のテンプレートをお探しなら】

この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

監修者プロフィール

author_item{name}

西岡 秀泰

西岡社会保険労務士事務所 代表

生命保険会社に25年勤務し、FPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。
2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。
得意分野は、人事・労務、金融全般、生命保険、公的年金など。

【保有資格】社会保険労務士/2級FP技能士

この監修者の他の記事(全て見る

bizoceanジャーナルトップページ