採用申請書の書き方と例文
採用申請書とは、従業員を採用する際に現場から人事部門へ申請する書類です。
しかし、企業によっては稟議書と同様に会社のトップまで閲覧することもあるため、採用を進めたい場合は、人事に伝わる書き方のテクニックが必要となります。
このコラムでは、書式とともに例文を踏まえて解説していきます。
採用申請書の役割
皆様の会社で採用人数や職種などが決まる過程は、どのようになっていますか?たとえば現場で部門別に行う採用は、非効率的です。このような経営における資源(人・物・金・情報)の無駄遣いを防ぐためにも、人事部門がまとめて統括することが効率的な組織活動といえます。各社で経営方針やプロセスは異なりますが、その過程は大きく3つに分かれます。
①採用年度の会社の経営計画(研究や開発計画・製造計画・販売計画など)が決められて各部門にブレークダウンされます。
②各部門で会社の経営計画に沿って部門ごとの年間計画(人・物・金・情報)をたてます。
「人」の計画は、現在の要員に対して不足が見込まれる場合、望まれる増加人数とスキル(学歴・専門学科)を要求部門が決定し、人事部門に集められます。全部門の増員要求が集められ、集計して会社の経営計画と内容が合致するように調整して、人事部門が人数やスキルの種類などを公表し、採用活動に入ります。
③採用者の決定後は社内での新入社員研修です。企業によっては3ヵ月間の試用期間が設けられており、その期間内で受け入れ想定部門の社内実習を行います。試用期間の最終段階では仮受け入れ部門が、この「採用申請書」を活用して新入社員の本採用・不採用(解雇)について検討します。新入社員の採用人数と各部門からの増員要求人数は合致せず、採用人数が少ない場合が一般的です。要求要員を獲得するためにも、受け入れ部門の計画とマッチングする評価を「採用申請書」に詳細に書くことが必要です。
採用申請書のフォーマットと書き方
新入社員の正式配属前の社内研修や面談をしたら、その評価結果は仮受け入れ部門が記入します。面談者が評価コメントを記入する項目は例題フォーマットにある項目のほか、受け入れ部門特有の専門スキルに関係する項目など、独自項目や協調性・創造性・論理的思考・集中力・リーダーシップなど、他部門でも評価できる共通項目があればよいでしょう。
採用試験を1次評価とすれば、仮配属の受け入れ部門の「採用申請書」の評価は2次評価、そして採用申請書をまとめる人事部門が最終評価として本採用・否認・保留を決定します。
人事部門の最終決定で承認となれば本採用になり、処遇の決定となります。定期採用であれば会社の給与規定に沿って詳細を決めることができます。ここに書かれた処遇内容は人事部門の次の社内手続きの給与台帳に転記される内容です。
≫採用申請書
採用申請書記載のポイント
人の能力や才能は仮採用の短期間では判断が難しいものです。適材適所の実現は本採用後に行うことも可能なので、自部門に特化した評価だけで合否判定をするのではなく、自部門に不適合であっても共通評価項目を使って他部門へ配属提案をするなど、大事な仮採用者を社内のどこかの部門で活躍できるように、経営者の視点で評価することも考えて下さい。
A.評価・所見(面接の報告書)の書き方
自部門への正式配属をかなえるために、評価所見で業務計画や要員育成計画に当てはめて評価することもよいでしょう。
社内で評価ルールが統一されている環境でなければ評価結果を記号で表す(A,B,・・○×△など)ことは控えた方がよいでしょう。多面的に見ることができず、公平な評価ができなくなります。
【専門性の評価尺度】
候補者の専門知識を評価する場合は、その優秀さをはかるために社内の資格制度や技能制度、あるいは公的資格に対応させたりして評価することが第三者に理解されやすいものです。
【評価ポイントの置き方】
高卒の場合は職場に適合できそうな性格であるか否かが重要です。コミュニケーションの能力・集中力・持続力(単一作業の繰り返しなど)・仲間との協調性にポイントを置いて評価するとよいでしょう。
大卒の場合は3~4年先の活躍を想定した可能性を見極めることに重点を置き、部門内の要員の年齢構成やスキル構成計画などに当てはめて評価するとよいでしょう。
【特記事項の例文】
業務計画の即戦力となり得る候補者は、具体的に『「○○達成計画」の××スキル要員に充当する』などと具体的に記述すると理解されやすいでしょう。
B.添付書類について
履歴書と職務経歴書などは採用試験の応募資料の一部として人事部門に保管されているので、現場部門から添付するものではありません。採用申請書に添付する書類は仮配属期間に行った業務の報告書などがあれば評価コメントの証明に役立つでしょう。
まとめ
「人」の採用は企業の発展につながる重要な鍵です。会社の短期計画や中長期計画にも連動する経営資源(人)の獲得ゆえに、計画的な進行が大切です。
定期採用は学校を相手に募集活動をするので、1年ほど前から準備に入りますが、中途採用は必要な時に随時、募集できます。しかし募集の都度、費用がかかるため、無駄のない的確な採用を実施するためにも、人事部門がまとめて統括する組織的な動きが重要です。採用人数や必要とされるスキルは現場の管理者が一番よく把握しているので、人事部門はその情報を正確に、タイムリーに収集して、効率的な採用活動を行って下さい。