同意書の書き方とは? 法的効力や注意点を解説!【例文テンプレートあり】
同意書の作成は、初めての方にはどのように書けばよいのか悩むことも多いでしょう。
特に、シーンに応じた正確な同意書の書き方を知っておくことは、円滑なコミュニケーションやトラブル防止に繋がります。
本記事では、同意書の基本的な書き方からシーン別のテンプレートまで、わかりやすく解説します。
これから同意書を作成する方は、ぜひ参考にしてください。
同意書とは
同意書とは、相手の将来の行為やある事項などについて、事前に同意した旨を表すための書類のことです。
同意書は契約行為や法律行為において、本人の同意を得たという証明になるため、トラブルを防止する効果があります。
同意書の法的効力について
同意書は万一トラブルがあった場合でも、同意があったことの証拠書類になります。
ただし、同意書に記載している同意の対象事項によりどのような法的効力をもっているかが変わってきます。
個人情報の提供を行う場合
個人情報の提供を行うタイミングは、口座開設やローン契約、クレジットカードの作成時などです。
個人情報を取り扱う企業は、「個人情報保護法」に則り下記3点について記載した同意書を作成する必要があります。
- 個人情報の利用目的
- 第三者提供の有無
- 個人情報の開示請求
この同意書を作成し、同意を得ることで、個人情報保護法に記された第三者への情報の提供についての要件を満たすことができます。
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未成年者が契約する場合
未成年者がアルバイトなどの労働契約や携帯電話などのローン契約を結ぶ場合、未成年者の保護者あるいは親権者が、契約に関する同意書を記載する必要があります。
また未成年のほかにも後見・保佐・補助を受ける人も同意書が必要です。
この場合、法定代理人や後見人、保佐人、補助人の同意を得ることにより不完全であった法律行為を有効化させる効果があります。
手術や美容整形などの医療行為を行う場合
手術や美容整形などの医療行為を行う場合、医療提供者は患者に対して同意書に記載してもらう必要があります。
これは消費者に対して、手術の内容によっては患者の体に後遺症や傷跡などのダメージが残る可能性、失敗のリスクが考えられることを説明する義務があるためです。
患者に対して事前に手術内容や考えられるリスクなどについて同意書を作成し、患者の同意を得ておくことによって、医療提供者が説明義務を果たしたという証明になるのです。
給与を口座振込する場合
給与を口座振込で支払う場合、労使協定書に加え、口座振込同意書にて、従業員の同意を得る必要があります。
給与振込に従業員の同意が必要な理由は、労働基準法により、賃金は「通貨(現金)払い」が原則とされているためです。
振込による給与の支払いは、労働者にとっても、現金手渡しよりも安全で管理しやすいメリットがあります。現在は、給与を振込で支払うケースが多いですが、経営者は必ず、従業員一人ひとりから、口座振込の同意書を得なければなりません。
同意書と契約書・承諾書の違い
同意書に似た書類に契約書や承諾書がありますが、いずれの書類も何らかの事項について当事者間で同意があったことを証明する書類であり、大きな違いはありません。
違いを挙げるとすれば、同意書には同意を得た内容についてのみ書くのに対し、契約書には当事者それぞれの義務や権利についても記載されます。
また、同意書は当事者の一方がもう一方に同意を求める形になり、契約書は双方が同意する形になるのが基本である点も違うといえるでしょう。
同意書と承諾書に関しては、ニュアンスが違うだけで内容はほぼ同じです。
- 同意書:記載されている内容に対して問題なしと同意することを示す
- 承諾書:記載されている内容を受け入れることを示す
どの書類も法的効力に違いはないので、目的やシーンによって使い分けると良いでしょう。
シーン別|同意書のテンプレートと書き方
同意書に決められたフォーマットはありません。
ただし、ある事柄に対して同意が得られていることを示すために、以下の項目を記載しておくと良いでしょう。
- タイトル
- 日付
- 同意の内容
- 同意する旨
- 署名捺印
「同意の内容」に記載する内容は、同意書の目的によって異なります。ここでは同意書の種類ごと、テンプレートと書き方を解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
個人情報の提供を行う場合のテンプレートと書き方
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個人情報の提供を行う場合の同意書には、以下の3つの項目を盛り込んでおきましょう。
- 個人情報を提供する第三者について
- 提供する個人情報について
- 個人情報の利用目的について
個人情報の利用目的と、個人データの第三者提供については、個人情報保護法(18条1項、23条1項各号)により定められた内容のため、必ず記載しなくてはなりません。
必須項目ではありませんが、個人の権利確保やクレーム対応のために、相談窓口も記載しておくことをおすすめします。
上記のような簡易的な同意書であれば、各項目が箇条書きで、相手に伝わりやすいメリットがあります。
しかし、同意書の信頼性を高めたいのであれば、利用目的を論理的文章で伝えるのが効果的です。さらに、個人情報の提供方法や、提供する第三者の詳細な情報も追記するとよいでしょう。
未成年者が契約する場合の書き方
未成年者が何らかの契約をするときに必要となる法定代理人同意書には、後のトラブルを防ぐためにも、契約内容を明確に記載しておきましょう。
取引の内容や金額、料金の支払方法などについて、できるだけ詳しく記載します。
未成年者との契約には、契約者となる未成年者と法定代理人の両者の、署名捺印が必須です。加えて、契約者と法定代理人の氏名や住所、生年月日といった情報を書いておくこともおすすめします。
手術や美容整形などの医療行為を行う場合のテンプレートと書き方
医療行為を行う際の同意書には、医療提供者が患者に対して実施した説明内容を具体的かつ詳細に記載しましょう。
説明した内容を明記しておくことで、患者に対して説明義務を果たしたという証拠になります。
内容が専門的すぎると患者が意味を理解できなくなる可能性があるので、できるだけ専門用語は避けるなど、わかりやすく書くことが大切です。
以下の厚生労働省のテンプレートのように、病名や現在の症状、手術の方法や目的などを、項目に分けて書いておくとよいでしょう。
エステなどの美容整形の場合、来院・診察からすぐに手術を開始することが多いため、事前確認と同意書を統一するのがおすすめです。
スムーズに手術に移れるほか、事前確認を通して、手術内容を医師と患者がお互いに確認することができます。
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給与を口座振込する場合のテンプレートと書き方
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給与を口座振込で支払う同意書には、以下の項目を記載しましょう。
- 同意者の氏名と押印
- 同意者の情報(所属部署もしくは役職名、住所など)
- 給与振込に同意する旨
- 振込口座の金融機関名
- 金融機関の支店名および口座番号
- 振込口座の名義人
なお、口座振込同意書で指定する銀行口座は、本人名義の口座でなければなりません。
上記以外にも、毎月の賃金以外の給与も支払われる場合は、口座振込に同意する給与の範囲も明記しておくとよいでしょう。
同意書を書くときの注意点
同意書を書くにあたり、いくつか注意したいことがあります。
ここで紹介する内容を知らずに同意書を書くと不利益を被る可能性もあるので、同意書を書く前にチェックしておきましょう。
余計な内容が記載されていないかを確認する
同意書を書く際には、余計な内容が記載されていないかを十分に確認することが大切です。
自分にとって不利益な内容が含まれていると、意図していない責任や義務を負うことになるリスクがあるためです。
必ず内容を確認して、全項目について理解し納得できたときのみ同意書を書くようにしましょう。
コピーを作成しておく
同意書を書いたら、コピーを作成することも重要です。コピーがないと何らかのトラブルが起きた場合に、同意書の内容が確認できなくなります。
同意書の原本は提出先が保管するため、提出前にコピーを作成し、大切に保管しておきましょう。
添え状を付ける
同意書を郵送する場合は、添え状を付けると良いでしょう。添え状の添付は必須ではありませんが、添え状があると何の書類が届いたのかがわかりやすいので親切です。
添え状に何を書いたら良いかわからない場合は、テンプレートを活用しましょう。
書留郵便で送付する
同意書を普通郵便で送ると、郵便事故で届かないなどのトラブルが発生した場合に、同意書を送付したことが証明できず面倒なことになる可能性があります。
同意書を送付したことを証明できるように、送達過程の記録が残る書留郵便で送るのがおすすめです。
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同意書を受け取る場合のポイント
同意書を受け取る側になった場合にも、押さえておきたいポイントがあります。
- 法的な条件を満たしているかをチェックする
- 日付が明記されているかを確認する
それぞれ解説します。
法的な条件を満たしているかをチェックする
同意書を受け取るときには、記載されている内容が法的に問題のないものになっているかどうかをチェックしましょう。
とくに個人情報の提供を行う場合の同意書など、法律によって同意を得ることが定められている事項の同意書については、抜け漏れやミスがないかをよく確認する必要があります。
同意書のテンプレートを確認するのはもちろん、返送されてきた同意書に書かれた内容に誤りがないかも見ておきましょう。
日付が明記されているかを確認する
同意書を受け取る際には、日付が明記されているかを確認することも重要です。
法律によって同意を得ることが定められている事項では、同意を得る時期についても定められていることが多いためです。
また、日付が明確でない同意書は証拠能力が弱くなるため、トラブルが起こった場合に不利益を被る可能性があります。
返送されてきた同意書に日付が書かれていない場合は、日付を記入して再送するよう依頼しましょう。