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第1回 事業計画を実現するためのアクションプラン

著者:   小沢 京子


事業計画を「絵に描いた餅」にしないために

事業計画を描く際、ゴールやマイルストーン向けて現場が動く様子を、頭の中で描けていますか?
力の入った事業計画を書いたところで、満足してしまっていませんか?
事業計画は、いくら良い内容で関係者の共感や承認が得られても、現場のメンバーで実現していかなければ「絵に描いた餅」になってしまいます。
そんな失敗をしないためにも、事業計画と並行して練る必要があるのが、アクションプランです。アクションプランとは、事業計画をどのように実現していくかを“見える化”して現場で共有できる形にしたものです。
この連載では、アクションプランの策定プロセスをおおまかに説明し、アクションプランを現場で実行する時に“使える”書式をいくつかご紹介していきます。

アクションプランの策定~前半は発散する

アクションプランは、どのようなプロセスで練っていけばよいでしょうか。
事業計画書には、「こうなりたい」というゴールが描かれていると思います。そのゴールを実現するために必要なアクションを、事業計画が固まってきたタイミングで、キーパーソンを集めて短期集中で徹底的に詰めていきます。この際、議論で発言しない人が出ない程度の少人数で、なおかつ現場を動かせる人が漏れなく集まるのが理想的です。
詰める作業の前半では、ゴールに向けて「何をするのが必要か」を、とにかく洗い出します。
私がよくやる方法は、ホワイトボードの右端にゴールとなる「こうなりたい」ゴールを言葉で書いた後、必要なアクションや実行するチーム、次のステップに進むための条件など、思いつくことをどんどん付箋に書き出すというものです。キーパーソンが事業計画への想いを発散するプロセスでもあります。
進め方は、大まかに以下のようになります。
【1】チームを書いた付箋を左端に置き、
【2】アクションを書いた付箋は実行順に並べて矢印でつなぎ、
【3】関連する項目を近くにまとめて線で囲むなどして、
こうして、アクションプランの全体像をビジュアル化していきます。

アクションプランの策定~後半は収束させる

いったん想いを発散するプロセスが済みましたら、全体を俯瞰します。
発散プロセスを終了させるとともに、アクションを書いた付箋が左端に貼ったどのチームが主担当となるかで付箋の上下の位置を決め、時系列でつながるよう動かし、アクションどうしのつながりも分かるように付箋をつなぐ矢印を描きます。
そこまでやって俯瞰してみると、

  • 足りないまたは多すぎるアクションが浮かび上がる
  • チーム編成が適正かが見えてくる(特定のチームの付箋の横にアクションの付箋が集中するのは危険信号)
  • アクションプランどうしのつながりが見えてくる

ことでしょう。
次に、詰める作業の後半では、アクションプランを収束させます。必要な要素は足し不要なものは取り去って、全体像を再構築しながら、モレなくダブリない状態にしていくのです。
なお、アクションプラン練り上げ時に必要な要素のチェック観点は、書式ガイドのこれまでの連載をご参照ください。

キーパーソンを巻き込んで認識共有

この思考プロセスは、パソコン等で図を描ければ一人で作れるかもしれません。しかし、私は敢えてキーパーソンを巻き込んでアナログなやり方で行うようにしています。
文字を書き付箋を貼るなどして手を動かし、意見を述べて口も動かすことで、「こうなりたい」ゴールだけでなく「やるべきこと」が体を使う形で共有されるからです。そして、アクションプラン策定に関わることは、キーパーソンにとっては事業計画の実現プロセスにコミットすることにもなります。
さて、第2回以降は、上記のプロセスで認識共有されたアクションプランを、どのような書式に落とし込むと良いかを、書式の紹介とともに説明していきます。
事業計画の実現に向け、アクションプランを作成し、「こうなりたい」ゴールへの一歩を踏み出していただけるよう、この連載がお役に立てれば幸いです。

今回のポイント

ポイント(1)

アクションプランは事業計画の実現方法を“見える化”したもの

ポイント(2)

アクションプランは事業計画と並行して練り上げる

ポイント(3)

アクションプラン策定にはキーパーソンを巻き込みコミットさせる

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著者プロフィール

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小沢 京子

ビズマドンナ 代表。日経BPにて社内ベンチャー創業を経験。その後、教育関連企業で新規事業や社会起業家支援を担当するなど、これまでに約350件の事業計画書へのアドバイス経験を持つ。

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