分析の方法を複数準備する
分析の方法、結果についてもう少し深く考えてみたいと思います。ある分析結果が出て、それが驚くべき内容であったとき、皆さんだったらどうされますか?
いきなりアクションを起こす方もいらっしゃると思います。上司や同僚に知らせたり、出稿している広告を再検討したり、在庫の量を調整したり…。ある程度規則性が見えていて、経験則からも支障が無いと誰もが判断できる内容であれば問題無いと思います。しかしながら、複数のデータから導き出されたり、結論自体が確定していない複数の要因に左右されるものであったりする場合には、分析結果自体が間違っている可能性があります。
実際のところ高度な分析であればあるほど、正しい結論に到達することは難しいということが言えると思います。すなわち、それが驚くべき結果であったとしても、結果から Next Action に移す前に検証をしなくてはならないのではないでしょうか。
検証のためには別の計算式や手法を利用しても正しい結果に到達することが重要です。
そのためのポイントを確認していきましょう。
別の計算式を利用する
最初の結果を出すのに利用したものとは別の計算式を利用して検証します。可能であれば別のツールを利用することをお勧めします。
別の人に結果を導き出してもらう
ひとりで分析していると、どうしても自分自身の思い込みや偏見が結果に反映されがちになります。全く別の見かたができる同僚が居るとベストです。この場合、どうしても結果に食い違いができて、なかなか結論に到達しないことが往々にしてあるのですが、逆に今行っている分析が必要なものかどうかという、もっと重要な判断に至ることもあります。重要なプロセスです。
これらの取り組みは、分析の精度を上げるだけでなく、チームワークの醸成や情報(分析結果)を共有する仕組みづくりにも役立ちます。必ず検討するようにして下さい。
分析のタイミングを考えておく
「どの場面で分析を行う」のか。とても重要なことなのですが、多くの企業では何か施策を実施した後にその「効果測定のための分析」に終始してしまっていることが多いように見受けられます。しかし、それだけでは十分ではありません。それでは、どのタイミングで分析を実施したら良いのでしょうか。PDCA サイクルに分析のタイミングを割り振ってみたのが下記の図です。
”「P」lan” のタイミング
施策を実施する前でのタイミングになります。実はこのタイミングの分析が重要です。しかも難易度が極端に高いということも言えます。その理由は、分析対象や分析軸を特定することが難しいからです。施策を実施するか否か、効果的に施策を実施する手段、方法にもかかわる内容ですので、競合や過去の同様なテーマの施策のデータ、対象の STP(Segment , Targeting , Positioning)をはっきりさせた上で取り組む必要があります。
”「C」heck” のタイミング
施策の実施状況を確認するための分析になります。このタイミングの分析はイメージがしやすいと思います。前述の通り、施策を行ったことによる効果測定を行うことになりますから、適切な KPI(業績の実施状況を評価する指標 -Key Performance Indicators-) を設定し、それらを測定する分析軸を考えれば良いと思います。
”「A」ction” のタイミング
施策の内容を改善するための分析になります。実施中の施策であれば今後の Plan の方針を、終了した施策であれば次に同様の施策を行う場合の参考資料として利用することを意識する必要があります。Check のタイミングで利用した KPI の分析内容をベースに必要と考えられるデータを付加し、調査、分析を行うと良いと思います。
これら3つの PDCA を高速に回転させることが現代の施策には求められています。下図をご覧ください。大きな PDCA サイクルの中に小さな PDCA が存在しています。
これまでのシステムでは大きな PDCA サイクルの C の部分のレポートしか提供されてきませんでした。これからは大きな PDCA の内にある小さな PDCA をいかに多く回すことができるか、そして、その PDCA を回すためにどれだけ アドホック なレポート(定期的ではなく、その場その場で作成される分析レポート)を作成できるかがポイントになってきます。
まさにその アドホック なレポートを作成するのにベストな方法が変幻自在な Excel のレポートであると思います。
次回はいよいよ実際の分析に役立つ内容に入っていきます。Excel の基本機能を使いこなすための方法についてご紹介していきます。どうぞお楽しみに!!
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