一時所得とは? 計算方法や確定申告が必要なケースを解説
一時所得とは、懸賞やクイズの賞金、生命保険の満期保険金など、労働報酬以外の一時的な所得のことです。所得額によって確定申告が必要な場合と不要な場合があるため、基本をしっかりと押さえておきましょう。
この記事では、一時所得の計算方法や雑所得との違い、確定申告が必要なケース・不要なケースなどを徹底解説します。
一時所得とは?
一時所得とは、懸賞やクイズの賞金、生命保険の満期保険金など、労働報酬以外の一時的な所得のことです。公営ギャンブルの払戻金、法人からの贈与金品(一部を除く)も一時所得です。
一時所得と雑所得の違い
一時所得が営利目的の継続的な行為以外で得た偶発的な所得であるのに対して、雑所得は所得分類(給与・事業・利子・配当・譲渡・不動産など)のうち、どの分類にも当てはまらない所得のことです。
趣味で行うネットオークションの売却益や、副業で作成したイラストの報酬などが雑所得に該当します。
一時所得の扱いになるもの
ここでは、一時所得の扱いになるものを順に見ていきましょう。
生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金など
生命保険や損害保険契約の満期・解約で現金を受け取る場合、年金ではなく一時金として受け取ると一時所得に該当します。
法人から贈与された金品
法人から記念日のお祝いなどで金品を受け取った場合、一時所得に該当します。ただし、業務に関連して受け取ったものや、継続的に受け取るものは除きます。
懸賞や福引きの賞金品
雑誌の懸賞などに応募して当選した金品、商店街の福引きなどで当選した金品なども、一時所得に該当します。ただし、業務に関連して受け取ったものは除きます。
受け取った金品の価値は一般的に市場価格で算定されます。
資産の移転などの費用に充てるために受けた交付金
政府の土地収用等により引っ越しが必要となり、補償金を受け取った場合、認められる控除をしても最終的に補償金が移転費用を上回る部分は、一時所得に該当します。
公営ギャンブルの払戻金
個人が趣味として行う競馬・競輪・競艇・オートレースなどの公営ギャンブルでの払戻金は、一時所得に該当します。ただし、営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。
遺失物の報労金
落とし物を届け出た場合の持ち主からの謝礼金や、所有者がわからない埋蔵金などの発見物も、一時所得に該当します。
一時所得があった場合の確定申告の方法
ここでは、一時所得があった場合の確定申告の方法を解説します。
確定申告が必要な場合・不要な場合
- 確定申告が必要な場合
給与所得者、フリーランスなどの労働形態に関わらず、一時所得が発生した場合は確定申告が必要です。また、不動産所得・利子所得・雑所得などが発生した場合には、その年の総所得額を確定申告する必要があります。
必要な確定申告手続きを怠った場合には罰則があるため、注意が必要です。
- 確定申告が不要な場合
一時所得の税金計算方法については後述しますが、一時所得の年間総額が50万円以下の場合、確定申告は不要となります。
一時所得の税額計算にあたり、50万円の特別控除があるため、一時所得の年間総額が50万円以下の場合は50万円の特別控除を差し引くことで所得金額がゼロになるためです。
一時所得にかかる税金
一時所得に限らず、課税される所得に対しては基本的に所得税と住民税が課税されます。
税金納付の流れは次の通りです。
- その年の課税所得総額を国税庁に対して確定申告することで所得税が確定する
- 申告情報が税務署から各地方自治体へ共有され、住民税が申告者に通知される
確定申告をする際は、所得が一時所得なのかそれ以外の所得なのか判断し、正確な金額を算出することが大切です。一時所得の計算方法は後ほど解説します。
確定申告しなかった場合
確定申告をしなかった場合には、重い罰則があります。罰則には大きく分けて次の3つがあります。
- 無申告加算税
確定申告しなかった場合に加算されます。納付すべき税額に対し、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%が加算されます。 - 重加算税
書類の改ざんや所得隠しなど悪質なケースでは、最大40%の税額が加算されます。 - 延滞税
税金納付期限から過ぎた期間分の利息が加算されます。
一時所得の計算方法と留意点
一時所得は、どのように計算するのでしょうか。また、留意点も見ていきましょう。
一時所得の計算式
一時所得の金額は、次のように計算します。
総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額(最高50万円)
例えば、一時所得の年間総収入が100万円、収入を得るために支出した金額が10万円の場合、100万円-10万円-50万円=40万円が一時所得金額となります。この一時所得金額をほかの所得と合算して、最終的な所得税金額を算出します。
「収入を得るために支出した金額」
「収入を得るために支出した金額」には、どのようなものがあるのでしょうか。雑誌の懸賞金に応募して賞金10万円が当たったケースを例に考えてみましょう。
この場合、「収入を得るために支出した金額」として認められるのは、懸賞金をもらった応募に対応する費用(ハガキ代・切手代など)のみです。ほかの懸賞に使ったお金を合算して支出した金額にすることはできません。
「特別控除」
特別控除とは、一時所得の税額計算にあたって無条件で差し引くことができる控除のことです。最大50万円を一時所得金額から差し引くことができます。
ここで、一時所得の計算方法をおさらいしてみましょう。
総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額(最高50万円)
一時所得金額から支出した金額を差し引いた金額が50万円以下の場合、そこからさらに50万円まで差し引くことができるため、一時所得にかかる税金はゼロとなります。
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一時所得についてのまとめ
一時所得の計算方法や雑所得との違い、確定申告が必要なケース・不要なケースなどを解説しました。
一時所得が発生した場合は、原則として発生した年に確定申告が必要です。ただし、一時所得の年間総額が50万円以下の場合は、50万円の特別控除と相殺されるため確定申告が不要になります。
不動産所得・利子所得・雑所得などが発生した場合には、その年の総所得額を確定申告する必要があります。
確定申告が必要な所得があったにも関わらず申告しなかった場合は、追加で納税を求められる場合があるので十分注意しましょう。
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