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デジタル稟議とはワークフローのことである

ワークフロー総研</mt:Var>  ワークフロー総研

デジタル稟議とはワークフローのことである

この記事の著者

これまで業務改善や課題解決など、よりよい経営のために「デジタル稟議」を活用しましょうとお伝えしてきました。実は、この「デジタル稟議」の本来の意味は、「ワークフロー」と同じものになります。しかし、「ワークフロー」という言葉は一部の方々にとっては馴染みの薄いキーワードです。そこで、ワークフローの代表的業務である「稟議」に焦点をあて、「デジタル稟議」というイメージしやすいキーワードでお伝えしました。今回は改めて、そのデジタル稟議と同義であるワークフローとは何か、ということを中心にお伝えしていきます。

改めて、ワークフローとは

なぜ私がワークフローをデジタル稟議に置き換えたか。それはワークフローがある意味専門用語であり、言葉の意味、捉え方が人によって変わり、理解しづらい面もあるからです。事実、すでにワークフローシステムを導入されているクライアント様から、ワークフローという言葉や概念が曖昧だと見聞きした経験もあります。そこで本連載では、イメージしやすいデジタル稟議という言葉でお伝えしてきたのです。

ワークフローをよりシンプルに説明するとしたら、業務手続きの電子化のことです。わかりやすい例を挙げれば、稟議書をはじめ、総務・人事諸届、経費精算などの社内申請書をシステム化することです。そして、働き方に関する課題として昨年頻繁に議論された「ハンコ問題」の解決があります。「ハンコ問題」とは、デジタルであれば出社せず行える承認行為が、組織の規定やインフラの未整備によりできず、紙の提出やハンコ押印のために出社せざるを得ないというものです。

テレワークが一斉に注目された時期には、ハンコ問題とアナログ業務が要因となっているために起こりうる数多くの課題が取り上げられました。誰かが出社しないとその業務が止まってしまう、回覧が紙なので全員が出社しないと情報共有ができないなど、挙げればキリがありません。

「ハンコ問題」をはじめ、コロナ禍以前より「働き方改革」の名のもとに業務改善や効率化が叫ばれてきましたが、この改革に効果的なツールのひとつがワークフローなのです。

業務改善のためには、部分的な業務の見直しに加え、それら部分的な業務が組み合わさった大きな業務の流れ全体も見直す必要があります。ところが、一般的には目の前にある「この紙」や「この業務」をどうにかしようという意識になり、今見えているものだけに焦点が置かれがちです。「この紙」「この業務」はあくまで断片的に業務を捉えているに過ぎません。「人対人」の業務であれば、必ず業務の流れが発生します。そうであれば「業務+流れ」として、業務の発生から完結までを捉えて全体を改善していくことが求められます。

このように「業務+流れ」として改善活動を行うことは、一個人や一部署の業務改善にとどまらず、組織の意思決定のスピード・質の向上にもつながります。「業務+流れ」、これがすなわちワークフローです。ワークフローから課題に取り組むことは、部分最適ではなく、全体を捉えたより本質的な「働き方改革」を推進していく鍵となっていくでしょう。そして、この「業務+流れ」を象徴するものが、「稟議」です。稟議のデジタル化はワークフローを導入することなのです。

コミュニケーションと業務を兼ねるハイブリッドツール

一般的にワークフローとは業務の流れ、もしくは流れを図式化したものですが、本稿で説明しているワークフローとはデジタルツールのこと。いわばワークフローシステムを指しています。世の中には様々なデジタルツールがありますが、ワークフローはその中でも特殊な立ち位置にあります。

ワークフローは、コミュニケーションツールであり、業務にも関わるツールでもあるということです。代表的なコミュニケーションツールを挙げるとすれば、メール、チャット、web会議、グループウェア。一方、業務系ツールには財務会計システム、勤怠管理システム、販売管理システムなどがありますが、それら両方の要素を兼ね備えたツールは、ワークフローの特徴です。

具体的には、ワークフローでは例えば経費申請や休暇申請、稟議を行うための資料を作成します。これはすなわち業務です。資料が完成したら、次は承認者に「承認」をもらうべく、ワークフロー内で送付します。それを見た承認者はそのまま承認をするか、不備があればコメントをつけて差し戻しや却下を行います。この、承認をするのか・差し戻すのか・もしくは却下するのか、これはすなわちコミュニケーションです。この両方の特徴を持つ唯一の仕組みが、ワークフローなのです。

ワークフローは、突き詰めれば社長まで承認が上がることも当然あります。すなわち、全社的なツールでもあります。したがって、ワークフロー導入を行うと、仕事の流れの全体を捉えることが可能です。またログを残せることも機能のひとつとして挙げられます。これがあることで、過去にどのような意思決定をしてきたかという経営判断の記録であり、会社の歴史を振り返ることができるのです。

言葉の置き換えの話に戻りましょう。デジタル稟議は、“稟議のデジタル化”であり理解しやすいかと思います。この稟議は申請から承認のプロセスであり、仕事の全体を包括している概念でもあると考えています。すなわち、デジタル稟議とはワークフローであるということです。ぜひワークフローを活用して業務と流れすべてをデジタル化し、よりよい経営を実現していただけたらと思います。

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著者プロフィール

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岡本 康広

株式会社エイトレッド 代表取締役社長/ワークフロー総研 所長

ワークフローシステムを開発・提供するエイトレッドの代表取締役社長も務める。
ワークフローを出発点とした働き方の見直しが意思決定の迅速化、組織の生産性向上へ貢献するという思いからワークフローの普及を目指し2020年4月、ワークフロー総研を設立して現職。エイトレッド代表としての知見も交えながら、コラムの執筆や社外とのコラボレーションに積極的に取り組んでいる。

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