このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

デジタル稟議(=ワークフロー)のその先、変革し続ける「ワークフロー経営」体制を目指す

ワークフロー総研</mt:Var>  ワークフロー総研

前回の記事では、全社的かつ本質的な変革をもたらすデジタル稟議=ワークフローシステムを、DXの最初の一歩として導入するアクション「ファーストDX」として、これまでとは別の観点からご紹介しました。

本稿ではファーストDXとしてワークフローシステムを実装後、目指していきたい組織像、経営のあり方を提唱したいと思います。その名も「ワークフロー経営」です。

ワークフロー経営は、単にワークフローシステムを実装しただけで実現されるものではありません。以下ではワークフローシステムと一緒に作り上げるワークフロー経営の特徴についてお伝えしていきます。

※画像クリックで拡大表示

degitalringi-photo13-thumb-900x510-700.png


この記事の著者

ワークフロー経営を提唱する理由

2020年から世界中がコロナ禍にみまわれ、日本国内外のあらゆるビジネスがその影響を受けました。非対面・非接触、ソーシャルディスタンスの確保が普段の生活のみならず事業継続のためにも求められたわけですが、この対策において日本のデジタル化の遅れが露呈されました。物理的なハンコがなければ仕事が進まない「ハンコ問題」はその代表例でしたよね。ビズオーシャンでもシリーズで取り上げました。

しかし、デジタル化の遅れはコロナ禍がきっかけで起きたことではありません。もっと前からIT人材不足の課題はありましたし、世界的にも日本の労働生産性の低さ、長時間労働は大きな問題となっており、デジタル化は急務であると言われてきました。

コロナ禍は元々解決すべきだった課題を、企業に対して改めて突きつけたと言っていいでしょう。

そのような中でデジタル稟議の、そもそもの存在意義を振り返ると、今の日本の働き方に必要なエッセンスがたくさん盛り込まれています。そこで提唱するのが「ワークフロー経営」です。

今回のような新型感染症のみならず天変地異による災害、社会情勢の変化を受け、自社が展開するビジネスをどのように環境や市場にあわせて最適化させ、成長させていくのか。さらにはスピード感を持って実施していけるかといったテーマは、今日の社会において重要性を増しています。

DXを実現し、組織変革のための行動を支えるシステムやツール、そしてそれらを活用して状況に応じ自らを変化し続けられる体制は、どの企業の経営者でも考えていることでしょう。

次の章から、最適化し続ける経営体制、ワークフロー経営はどのように体現されるのか、解説をしていきます。


ワークフロー経営、体現の道筋

ワークフロー経営が体現されるために必要な変化は、次の5つの観点で説明することができます。一つひとつ順番に見ていきましょう。

1)業務で起きる変化:形式知が増える

ワークフローシステムを使うと一人ひとりの業務が可視化されます。結果、それぞれが持つノウハウが、暗黙知から形式知となって組織内に共有されていきます。

例えば組織異動や退職などで引き継ぎができず業務に支障が出ることはありませんし、後から参画する人がより早く成長できる環境が整います。業務を変更する際も、可視化されているため、改善ポイントが見つけやすいのもメリットの一つです。

2)組織で起きる変化:現場、管理職、経営の距離が近くなる

企業規模が大きくなればなるほど、組織構成が階層化され、現場と管理職、経営の距離がどんどん離れていってしまうことがあります。しかし、ワークフローの考え方が社内に浸透していると、状況に応じて現場から経営層までが最短距離でつながっています。

3)プロセスで起きる変化:脱・属人化

業務プロセスの見える化によって、業務は平準化・効率化されていきます。業務全体で抜け漏れ、無駄ムラが見えるようになるためです。

業務で起きる変化とともに、属人化を脱することができるのです。

4)企業文化・風土で起きる変化:開かれた組織

ワークフローは誰もが、いつでも、どこからでも起案、上申できる仕組みです。アイデアが誰にでも見える形で社内に共有され、ディスカッションできるようになるため、オープンで風通しの良い組織風土が形成されます。

5)その他に起きる変化:本業に集中できるようになる

効率化によって空いたリソースは、本業に集中できる時間に充てられます。アイデアが生まれ、共有されやすい土壌があるため、新企画・新規事業が進みやすくなることが期待できます。このような状態を継続できれば結果的に事業成長と企業文化の成熟につながります。


5つの変化が重なると、ワークフロー経営の基礎が出来上がる

1)業務、2)組織、3)業務プロセス、4)企業文化・風土、5)1)〜4)以外、の5つの観点で、ワークフローシステムで起きる変化を分解してお伝えしました。それらの変化は、ワークフロー経営と呼ぶ3つの状態を実現します。以下で3つの特徴をお伝えします。

ワークフロー経営の特徴その1:一枚岩の組織

現場、管理職、経営の距離が近く、同じ目標に向かって結束している状態です。いざというときに素早い経営判断と具体的な行動の実施ができるのは、一枚岩の組織の強みですが、一枚岩といっても、旧来のピラミッド型の階層組織を想定しているわけではありません。

むしろ部署や役職ががっちりと固められて変えられない組織はリスクであると言えます。状況に応じて様々な部署や役職の人が集まりワークフローシステムを通してコラボレーションできるような、有機的に強くつながっている組織を想像してください。同じ目標に向かいながら、必要に応じて組織の最適な人材の能力を余すことなく発揮できれば、組織全体の価値は、個の総和以上に引き出されます。

ワークフロー経営の特徴その2:迅速な情報共有・意思決定

社内で個々人が持っている情報量に差がありませんか?そのような状況は意思決定の質が落ちますし、組織内の人間関係にも良くない影響を及ぼしかねません。

情報化社会において迅速な情報共有と意思決定は組織の成長において不可欠です。チャットツールや社内ポータルを使うこともできますが、情報がバラバラに蓄積され、検索性が落ちてしまうのは本末転倒です。

ワークフローは情報を一元管理できて、同時に内部統制も強化することができます。

ワークフロー経営の特徴その3:変化適応とイノベーティブな組織

これまでの1、2の特徴を掛け合わせると、変化に強く、かつイノベーティブな組織が生まれます。誰もが発言権を持ち、随時環境の変化に合わせて迅速に行動できる組織は、困難が生じても柔軟に受け止め、より幅広い選択肢から意思決定できるでしょう。

それが組織の可能性を広げ、個人も組織もより多くの学びを得て成長していけるようになるのです。


ワークフローシステムを通してワークフロー経営を体現したその先の姿

ワークフローシステムで実現する、ワークフロー経営の特徴を3つお伝えしましたが、詰まるところ、ワークフロー経営の実現は、組織がビジネス環境の変化や自然災害などの混乱や危機を乗り越え、繁栄・​存続していく適応力を手に入れられることと同義だと考えています。

現に、脱ハンコなどデジタル化をうまく進められた企業は、今回のコロナ禍でも社員・お客様の健康を守りながら事業継続できています。

BCP(事業継続計画)の見直し、強化をどの経営層も考えた一年だったと思います。様々な施策を検討されたと思いますが、その本質は環境への適応力を高めることであり、それはワークフローシステムを基盤とした経営体制・ワークフロー経営を体現することであると考えています。

働き方改革、DXなどバズワードが飛び交う昨今ですが、その本質はリスクに強く、持続的成長が期待できる組織になることです。今回お伝えしたワークフロー経営はあくまで理想像の一つではありますが、目指すべき姿として皆さんのご参考になれば幸いです。

脱ハンコ時代に備えよう デジタル稟議特集を見る

デジタル稟議関連コラム一覧を見る

この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

著者プロフィール

author_item{name}

ワークフロー総研 編集部

「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。

この著者の他の記事(全て見る

bizoceanジャーナルトップページ