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昨今のオンプレ回帰にみる、クラウドの乱立の課題とは?

ワークフロー総研</mt:Var>  ワークフロー総研 著者:   ワークフロー総研 編集部

昨今のオンプレ回帰にみる、クラウドの乱立の課題とは?

2000年代後半から2010年代にかけて、急速に普及した「クラウド」。しかし近年、こうした動きに変化が見えつつあります。

一度クラウドに移行したはずのデータやシステムを、わざわざオンプレミス(以下オンプレ)の環境におきなおす、いわゆる「オンプレ回帰」が増えつつあります。

そこで、今回のコラムでは、クラウドの利用に潜む課題と企業がオンプレ回帰せざるをえなかった事情を解説するとともに、そうした課題を解消する方法についてご紹介したいと思います。


「クラウド」と「オンプレ」はどう違う?

皆さん既にご存じかと思いますが、まずは「クラウド」と「オンプレ」のそれぞれの特徴について解説します。

クラウドとオンプレには、大きく6つの点で違いがあります。

図のような特徴から、クラウド型は社内のリソースが限られている中小企業やスタートアップ企業、さらにリモートワークを実施する企業に適しているといえます。

一方、システムの運用に割くリソースが確保しやすく、頻繁な業務変更が想定される中堅企業や大規模組織には、カスタマイズ性の高いオンプレ型が適しているといえるでしょう。


オンプレ回帰が起こる原因

クラウドとオンプレの特徴が分かったところで、なぜ昨今オンプレ回帰の現象が増えているのかについて説明いたします。

1.セキュリティの問題

オンプレ回帰の原因としてまず挙げられるのがセキュリティの問題です。

前述にもあるように、クラウドのセキュリティ対策は、基本的にクラウド製品・サービスを提供する側が行います。

もちろん、厳重なセキュリティ対策が行われているケースがほとんどですが、近年、ガバナンスやコンプライアンスを重要視する傾向が高まったことにより、各社のセキュリティーポリシーに則ったシステムの運用が難しくなったことから、オンプレミスを選択する企業が増えています。

2.コスト

前出の図からも、クラウド製品は初期費用が少額で、導入のハードルが低いということが分かりますが、オプション機能の追加や従量課金型の料金体系(システムユーザーの数や利用頻度による課金)により、想定よりもコストがかかってしまったというケースも少なくありません。

その結果、もともとコスト面でのメリットからクラウドを選択していた企業が、オンプレ回帰してしまうケースが考えられます。

3.クラウドの乱立による業務負担増

クラウド型のシステムは、導入ハードルが低いことから、無計画に次々と導入されることも少なくありません。

その結果として、業務効率化のために導入したにもかかわらず、システムの運用・管理の手間が大幅に増大してしまうこともあります。

また、クラウドの乱立により特に影響を受けやすいのが「業務手続き(ワークフロー)」です。

申請や承認といった業務手続きは、あらゆる部門のあらゆる業務に紐づくため、さまざまなシステムにワークフローの機能が備わっています。

例えば、経費精算を行う時には経費精算システムから申請を、休暇を取得するときには勤怠管理システムから申請を、契約を締結するときには電子契約システムから社内承認をと言った具合です。

このように、業務手続きをするシステムが分散してしまうことで、次の4つの問題が引き起こされ、担当者の負担を大きくしてしまいます。

問題1:どのシステムから申請・承認していいのか分からない

業務手続きを行うシステムが分散することにより、ユーザーはどのシステムから何の申請・承認をすればいいのか迷ってしまったり、管理担当者も、システムごとに手続きのチェックをしなければならなくなってしまいます。

問題2:同じデータを何度も入力

業務手続きを行うシステムが分散することにより、管理者はメンテナンスが発生するたびに、システムごとに同じデータの入力をせねばならず大きな負担となっています。

問題3:UIのばらつき

業務手続きを行うシステムが分散することで、システムごとに申請書のUIのばらつきが発生してしまいます。その結果、ユーザーによる記入ミスや、管理者によるチェック漏れなどを誘発しやすくなってしまいます。

問題4:スペックが不十分

ワークフローの機能は、あくまでも付属として備え付けられていることが多く、複雑な承認ルートに対応できないなど、機能のスペックが不十分なことも少なくありません。

そのため、社内でペーパーレスを推進しようとするものの、一部の申請書が紙のまま残ってしまうといったこともめずらしくありません。


クラウド乱立の課題を解決するために

それでは、上記に挙げた課題を解決するにはどのうようにすればいいのでしょうか

1.ハイブリッドで運用する

近年、「ハイブリッド運用(ハイブリッドクラウド)」とよばれるシステムの運用方法が注目を集めています。

ハイブリッド運用とは、クラウド型のシステムとオンプレ型のシステムを、業務の性質に合わせて使い分けるというものです。

例えば、機密性の高い情報を取り扱うような業務の場合はオンプレ型で、部署部門を問わず、企業全体で利用するようなシステムはクラウド型でといった具合に使い分けることで、強固なセキュリティと業務の効率性を両立させることを狙います。

2.ワークフローシステムを導入する

前述に挙げたクラウド乱立による業務手続き業務の負担増を解消するために有効なのがワークフローシステムです。

ワークフローシステムとは業務手続きのプロセスをまるごと電子化するシステムです。

各システムに備え付けられている付属のワークフロー機能とは異なり、業務手続きに特化した専用のシステムになるため、付属の機能では対応できなかった書類も電子化することが可能になります。

また、外部システムとの連携に優れた製品を使用することで、申請・承認、管理の一元化を実現するとともに、データの二重入力やUIのばらつきを解消することができます。


まとめ

課題はあるというものの、便利な側面が多いからこそ、クラウド型システムはここまで浸透してきたと言えます。

オンプレへの回帰や、ハイブリッド運用もまた一策かと思いますが、ワークフローシステムを導入するなどして上手くクラウド型のシステムを使いこなすことで、業務効率化や本当の意味でのDX実現につながるのではないでしょうか。


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著者プロフィール

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ワークフロー総研 編集部

「ワークフロー総研」では、ワークフローをWork(仕事)+Flow(流れ)=「業務プロセス」と定義して、日常業務の課題や顧客の潜在ニーズの視点からワークフローの必要性、重要性を伝えていくために、取材やアンケート調査を元にオンライン上で情報を発信していきます。また、幅広い情報発信を目指すために、専門家や企業とのコラボレーションを進め、広く深くわかりやすい情報を提供してまいります。

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