生き残る・開かれるメールの鍵は「件名」にあり!
メールを送るとき、「宛先」の次に大切なのは「件名」です。本のタイトルと同様、よい件名は、受信者に「すぐに読みたい」という気持ちを起こさせます。
しかしその一方、件名の書き方によっては、せっかく送ったメールの開封を後回しにされたり、時には開封されずに削除されてしまったりすることもあるのです。
下の図を見て下さい。一般的なメールボックスの例です。皆さんなら、どのメールから開いて読もうと思いますか?
おそらく、このメールボックスで受信しているメールを、順番に全部開封して読むという人はいないはずです。
まずはメールボックスをざっと見るでしょう。そして「このメールは削除」「このメールは後でゆっくり読もう」「これはすぐに開いて返信」というように、おのずと頭の中で、開封すべきメールの優先順位をつけ、処理をするという人がほとんどでしょう。
では、どのような順序でメールは処理されるのでしょうか。
最初に、迷惑メールと思われるものが削除されます。上記のメールボックスでは「[spam] Invitation from Chris Chang」が真っ先に削除されそうですね。「RE:」だけで具体的な件名のないメールも、送信者名の「machida」さんに見覚えがなければ、怪しいメールとして削除されてしまうでしょう。
次に、明らかに不要なものも削除されます。「Reg Now. 35% off & update your software.」といったお知らせメールや、「【ITecビズ】<締切間近!>クラウド時代を生き抜く戦略セミナー9/20開催!」などのメルマガは、件名を見て不要だと判断されれば削除されるでしょう。「【テラギガファイル転送】ファイル送信確認」も、件名だけ確認できれば本文を読む必要はないと判断し、削除するという人もいるでしょう。
こうして、残ったメールの中から、自分にとって重要なもの、すぐに処理しなければならないもの、読みやすそうなものを選び、開封して読むことになります。
例えば、「【重要】総務部より精算票の書式変更についてお知らせです」というメールは、すぐに確認したほうがよさそうです。また、「(ご確認下さい)10/10(木)イベント用チラシデザイン案をお送りします」「(返信願います)9月30日(月)13:00企画会議出欠確認」というメールも、大切な仕事に関わる内容だと推測でき、先に開封されるでしょう。
もうお分かりですね。受信者が削除・開封の判断材料にしているのは「件名」です。
メールボックスは、いわばメールのサバイバル競争の場所です。いかにしてあなたのメールを生き残らせ、受信者の目を引き、開封して読んでもらうか。その鍵は「件名の書き方」にあるのです。
件名には「受信者が必要としている事柄」を書きましょう!
上記で見た「生き残る」「開かれる」メールの件名に共通しているのは、受信者に「自分にとって必要だ」と感じさせるような言葉が書かれているという点です。
例えば「販促DVD撮影日程」や「イベント用チラシデザイン案」など、進行中の企画を表す言葉は、明らかに受信者にとって必要な内容を含んでいます。
また、日時や期日はビジネスの重要な要素です。ですから、「10/10(木)」「9月30日(月)13:00」のように、日時の書かれた件名は、受信者の注意を引きやすくなります。
さらに、「(ご確認ください)」「(返信願います)」「ご相談」のように、具体的な行動をうながす言葉も、受信者に「このメールは必要だ」と感じさせる表現です。
件名というと「〜の件」のように、末尾に「件」を使いがちですが、できるだけ「〜の件」という言葉を使わず書くように意識してみましょう。そうすると、より分かりやすく、受信者の目を引き付ける件名を書けるようになります。
とはいえ、メールボックスの件名欄の長さには限りがあります。いくら受信者にとって必要だと思われる言葉を盛り込んでも、長すぎる件名は読みづらく、不快感を与えます。また、相手の受信状況によっては、実際に送信した件名よりも短く表示されるおそれがあります。件名を書く際は、【】や()を上手に使い、簡潔に内容をまとめる工夫が大切です。
名乗りや挨拶は「件名」ではありません!
「吉田です。」「こんにちは」のような名乗りや挨拶は「件名」とはいえません。特にビジネスメールで、こうした件名を書くのは危険です。メールの内容や重要度、緊急度が分からないため、開封を後回しにされてしまう可能性がとても高いからです。
また、交流会や展示会などで名刺交換をした相手に、ご挨拶や営業メールを送りたいことがあるでしょう。そういうときこそ、名乗りや挨拶ではなく「具体的な件名」が必要です。「【御礼】8/31(土)○○交流会ご参加」「【ご検討下さい】社員研修プログラムのご提案」など、相手が分かるキーワードや、相手が興味を持ちそうな言葉を考えましょう。
メールは便利な一方で、受信者の状況や感情に左右される、とても不確実なツールです。受信者が「自分にとって必要だ」「このメールは読みたい」と思わなければ、読んでもらえないのです。
かつて「ごめんなさい、メールを見落としていました」と言われた経験のある人は、ぜひ「件名」の内容を見直すところから、メールの改善を始めてみて下さい。
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