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なぜ「稟議」が経営に大切なのか。その3つの理由を掘り下げる

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なぜ「稟議」が経営に大切なのか。その3つの理由を掘り下げる

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前回の記事では「デジタル稟議」が求められる環境の変化と経営や働き方に対する有効性をお伝えしました。本稿ではそもそも「稟議」がなぜ経営や事業運営に必要なのかをより掘り下げていきたいと思います。

そもそも「稟議」、使いこなせていますか?

「稟議」というと皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。一般的に、決められた事柄について起案し、関係者に共有し、決裁・承認を得ることを想像すると思います。
例えば「稟議は根回しありきで起案する前にすでに承認はされているもの」「あくまで形だけのもの、手続き上のもの」と考えてはいないでしょうか。もしかしたら手続きや根回しの面倒さなど、ネガティブなイメージが先に思いついてしまう… そんな方も少なくないでしょう。
しかし実際に企業で使われる「稟議」の中身を見てみると、上記のような形式的なイメージではなく、より事業に直結した意味を見出すことが可能です。

今回、「稟議」の本質的な役割を見直し、経営やビジネススピードの向上につなげる活用方法をお伝えします。

1.社内ルールを新たに作る、見直すきっかけに

まずは稟議の実態について少し分解して見ていきます。冒頭でも触れた通り稟議とは「決められた事柄について起案し、関係者に共有し、決裁・承認を得ること」です。そのため、もし新しく起案するとしたら、1)関係者は誰か、2)共有・決裁する順番はどうするかの定義が必要です。

実は誰に、どの順番で回すべきかという社内のルール自体、曖昧な企業が少なくないのが実態です。そしてこの状態は業務をデジタル化するにあたり、大きな問題となります。というのも、オフィスであればオフィスにいる人≒関係者として直接確認の依頼が可能ですが、非対面になると宛先(チャットでいうメンション)を明確にしなければいつまで経っても起案が進むことはありません。

このように稟議のプロセスに目を向けると、関係者と意思決定のルートが定義されます。つまり仕事を「誰とどのように進めればよいか」が明確化され、結果的にヌケモレを防ぐことはもちろん、再現性を高めることにも繋がります。

すでに稟議がある企業では、一つひとつのプロセスを見直し、必要以上に多くの関係者を定義して肥大化してしまっていないかなどを棚卸ししてみるのもよいでしょう。

ルール作りは再現性を高めるための第一歩です。稟議を最適で効率的な意思決定プロセスを作り上げる過程だと考えてみてください。

2.無駄をなくし、経営スピードを上げる

もし稟議の形骸化を感じていたら、もしかしたらそこには経営の無駄があるかもしれません。ぜひ一つひとつの振り返りを行ってみましょう。無駄を見つけ、コストダウンにつながるきっかけがあるかもしれません。

稟議は過去行ってきた意思決定の歴史です。一つひとつの稟議で承認・決裁がされているので当然と言えば当然なのですが、言い換えると一定期間、定めた稟議の内容・プロセスでサイクルを回した過程と結果が残ります。そうすると「この契約内容は見直せるのではないか?」「この購買は無駄ではないか?」と定期的に過去の情報の見直すことができるのです。

ただ、この見直しは紙の書類で行おうとするとかなりの時間と手間がかかります。そこでデジタル稟議の活用です。稟議を電子データとして保管することで、デジタル稟議にアクセスできる全員で前述した見直しが短時間で実施可能です。企業運営には、経理や総務、人事、購買といった様々な部署が関わっています。デジタル稟議で過去の情報を扱いやすくすることに加え、これら部署に携わる人がそれぞれの視点で日々の運営を見直すことで企業経営の一体感を生み、経営スピードを上げることにつながります。

3.コラボレーションが生まれ、イノベーションの種になる

さらに稟議の使い方を掘り下げていくと、起案から決裁までのプロセスを自由自在に操り、コラボレーションを生み出し、企業に求められるイノベーションを推進する武器を増やすことにもつながります。

例えば稟議と一口に言っても起案→承認→決裁といったシンプルな流れだけでなく、実に様々な情報共有の方法が存在します。同時に回覧させ、片方では承認を求める並列型のプロセスや、条件によって決裁者を変えたり、承認は不要なまま回覧先を増やしたりといったことも考えられます。

こうした稟議のプロセスを考えることは、誰とコラボレーションをするか、その人たちに何を期待するのかを考えることと同義です。時には普段関わりのない部署や役職を超えてコミュニケーションが行われるでしょう。しかしそれをつなぐのが実は稟議の役割なのではないかと思います。本来的には、稟議はとても創造的な活動なのです。

そして、イノベーションは様々な可能性の掛け合わせで創り出すものです。一人ひとりのアイデアをつなぐコラボレーション型の意思決定=稟議はまさにイノベーション創造の土台となるでしょう。

稟議は企業の「歴史と集合知」。見つめ直して未来に繋げることが大切

「無駄をなくし、経営スピードを上げる」の箇所で、稟議は過去行ってきた意思決定の歴史であるとお伝えしていました。最終的になされた意思決定はもちろん、意思決定のプロセスまでも履歴として残っていますから、稟議は「企業の歴史と集合知」であるとも言えます。その時々の状況で下した判断は現在どう作用しているのか、また意思決定のプロセスは適切だったのか、稟議を通して経営を振り返ることができるのです。

昨今の変化の激しい社会において、過去の活動を振り返り今後に生かしていく。そして今までになかったコラボレーションを通してイノベーションを創発していくことが、企業が競争力を持ち、向上させていく術と言えます。

多くの企業で普段から使っている稟議の意味を改めて見直し、将来の企業運営に活かしてみませんか?

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著者プロフィール

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岡本 康広

株式会社エイトレッド 代表取締役社長/ワークフロー総研 所長

ワークフローシステムを開発・提供するエイトレッドの代表取締役社長も務める。
ワークフローを出発点とした働き方の見直しが意思決定の迅速化、組織の生産性向上へ貢献するという思いからワークフローの普及を目指し2020年4月、ワークフロー総研を設立して現職。エイトレッド代表としての知見も交えながら、コラムの執筆や社外とのコラボレーションに積極的に取り組んでいる。

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