第3回 確定申告はココが見られていますよ ~経費編~
売上原価の算定は「期首棚卸高+仕入高-期末棚卸高」
自分の所得を知るためには、収入と経費を正確に把握する必要があります。収入についての注意点は前回の売上編で述べましたので、今回は経費についての注意点です。
所得を計算する場合における経費は、大きく売上原価と必要経費の2つに分類されます。
一つ目の売上原価は期首の棚卸高に当期の仕入高を加算して、期末に残った棚卸高を差し引いて計算します。算式からみると、売上原価算定のポイントは、棚卸 資産の金額をどう把握するかになります。
棚卸資産の金額は「数量×単価」で計算されるので、数量と単価をどのように把握するかが重要になります。これらの 値を正確に把握するために、「在庫管理表」の書式を使ってみてはいかがでしょうか。
期末の棚卸資産を正確に把握する
棚卸資産の数量を把握するには、期中における商品の入出庫を把握することが重要です。「在庫管理表」の書式を使うと、商品毎の入庫数量と出庫数量を日別に記録することができ、これらを継続的に記録していけば、タイムリーな在庫数量の把握が可能になります。
さらに、実地棚卸を合わせて行えば、より正確な在庫管理が可能になります。また、金額についても入出庫時の記録ができますので、多くの方が棚卸資産の評価 方法に採用されている最終仕入原価法における単価を簡単に把握できます。
棚卸資産の金額の算定は、所得の金額に大きく影響するとともに、算定根拠があいま いになるところですので、問題にならないように注意して下さい。
支払額がそのまま経費にならない場合がある
経費の2つ目である必要経費は、多くの場合、事業に関係する費用の領収書をもらってその金額を経費として計上します。
ただし、支払った金額がそのま ま必要経費として認められないものがあります。
車などのある程度高額なものは、買った後、使用したからといってすぐに価値がなくなるものではないので、価 値の下がる割合に応じて必要経費に計上します。
また、事業用と個人用の経費が混在しているようなものは、合理的な方法により全体の経費を事業用と個人用に振り分けて、事業用のみを必要経費に計上します。経費の金額の大きさは所得金額に大きく影響します。
よく問題になるところですので、その計上には細心の注意が必要です。