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手形割引とは? 仕組みやメリット・デメリット、仕訳方法を押さえよう

手形割引とは? 仕組みやメリット・デメリット、仕訳方法を押さえよう

手形とはある期間を過ぎたら現金化可能な証書のことで、現金化する際に手形割引が使用されるケースがあります。

この記事では企業の経理部の社員に向けて、手形割引の全体像やメリット、デメリットを解説しました。

また、記事の後半部分では、手形割引によくある仕訳方法をまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。


この記事の監修者
京浜税理士法人 横浜事務所   

手形割引とは?

手形割引料とは、支払期日に達していない手形を、専門業者(手形取引や金融機関)に売却する際に生じる費用です。手形とは有価証券のことで、ある期間を過ぎたら現金にできる証書です。

手形割引の構造や手形割引料について、詳しく解説します。

手形割引の仕組み

まず、手形を発行する「振出人」と、手形をもらう「受取人」が存在します。手形割引の場面では、受取人が手形を現金化したいときに、「割引人」に売却(手形割引)します。割引人とは、銀行や手形取引業者などを指します。

例えば、建設業界だと元請け企業が、下請け企業に対する外注代金を、手形で支払う慣習があります。そして、下請け企業は、受け取り済みの手形を資金繰り目的で割り引きます。手形割引することを「割り引く」と表現するのが一般的です。

手形割引料の発生

手形割引料とは、まだ期日に達していない手形を現金にする際、銀行や金融機関が手形の額面の一部を手数料としてもらうことです。割引人側のリスクを補償するのが目的です。ビジネスの資金調達において、手形割引料は重要な要素の一つです。

また、銀行や手形取引業者などの割引人にとって、手形割引料は収入源にも含まれます。


手形割引をおこなうメリット

手形割引をおこなうメリットをまとめました。ぜひ参考にしてください。

  • 素早く現金化できる
  • 審査の通りやすさ

素早く現金化できる

現金に変えられる期日が決められた手形に足し、手形割引はその期日を待たずに手形を現金にできます。割引日から期日までの日数に応じて、手形割引料を払わなければなりませんが、手元資金の状況を踏まえて現金化できるため、企業の資金繰りの改善に役立ちます。

大手企業から振り出される手形は、振り出し日から期日までの日数が数カ月の場合もあるため、手形割引を活用して資金を有効活用出来るようにするとよいでしょう。

審査の通りやすさ

手形割引を行うためには、あらかじめ金融機関と手形割引にまつわる契約を結びます。金融機関は割り引かれた手形の金額を、期日になったときに振出人から収回します。

つまり、割引を行うかどうかは、振出人の信用状態に基づいて決定されます。特に大手企業が振出人の手形は、回収してくれる可能性が高いため、銀行も手形割引に応じやすいでしょう。

また、企業の返済能力が審査基準となる融資とは異なり、振出人の信用力が審査基準の手形割引は審査が通りやすいのが特徴です。したがって、融資は断られても、手形割引には応じてもらえるケースが多いでしょう。


手形割引をおこなうデメリット

手形割引をおこなうデメリットを紹介します。

  • 割引手数料の発生
  • 不渡りのリスク

割引手数料の発生

割引人が銀行だと、割引日から手形期日までの日にちに比例して、手数料である割引料を氏腹割らなければなりません。この割引料には、手形期日までお金を借り入れることに対する金利の意味合いもあります。

つまり、手形の割引日から手形期日までの期間が長くなるほど、割引料の金額が大きくなるのがデメリットです。また、手形の割引率は、手形の振出人の信用力で決定するため、振出人の信用力が低い場合は、割引率が高くなります。

銀行が振出人から手形代金を、期日に回収できないリスクが高まるためです。手形割引をする場合は、有利な条件で割り引ける手形から実行するとよいでしょう。

不渡りのリスク

手形を銀行で割り引くと、銀行は手形期日に、振出人から手形代金を回収します。もし振出人の支払能力に問題があり、銀行が手形代金を回収できない場合、割り引いた手形の代金は、手形を割り引いた企業が銀行に対して支払います。

要するに、手形をもらった企業が、手形代金の支払いを振出人に請求することになり、最終的に回収リスクの責任は負形を受け取った企業に転嫁されます。このようなリスクを一般的に「手形の不渡りのリスク」と呼びます。


手形割引の仕訳方法

手形をもらった際と、割り引くときの経理処理を解説します。手形の受け取りは、売上代金を現金や預金で回収する代わりに、手形で回収したと考えて売掛金を消し込む処理になります。

また、手形の割引は、将来金銭を受け取れる権利の債権を、金融機関に売却したと考えて経理処理します。この際、手形の額面から割引料が引かれた金額が口座に入金されるため、割引料は手形の売却時の損失と考え「手形売却損」として計上します。

例えば、売掛金1万円を受取手形で回収し、手形の支払期日が来る前に割り引いた場合の仕訳方法は次の通りです。なお、手形の割引料は 500円とします。

  • 手形をもらったとき

借方

貸方

受取手形

10,000

売掛金

10,000

  • 手形を割り引いた時

借方

貸方

普通預金

9,500

受取手形

10,000

手形売却損

500

実務では、割引料は割引率と手形の割引期間に基づき銀行が算定しますので、それに基づき仕訳を計上します。


手形割引についてのまとめ

手形割引は、支払期日に達していない手形を現金に変えられます。よって、早く資金調達する必要性の高い状況において、使い勝手の良い手段になるでしょう。

ただし、手数料の発生により実際に受け取る金額が、額面の金額より減少するデメリットがあります。この記事を参考にしながら、自社の状況に合わせて手形割引を必要に応じて使えると良いでしょう。


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監修者プロフィール

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宮澤 明宏

京浜税理士法人 横浜事務所

横浜市青葉区を拠点として、中小規模法人や個人事業主のお客様を中心に、税務顧問サービス及び経営コンサルティングサービスを提供。

月次決算制度の導入、資金繰りの明確化を切り口に、創業3年以内の黒字化を目指し経営を安定化させるための経営管理の手法について、伴走型支援で行っている。

創業時からしっかりとした経営管理を行い、スピード感を持って会社を成長させていきたい経営者に向けて業務を行う。

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