法定調書合計表とは? 種類別の書き方と提出方法をわかりやすく解説
源泉徴収票や支払調書など、年末調整の時期になると人事担当者は数多くの書類を作成することになります。
「法定調書合計表」は、税法上、提出が定められている書類の一種です。
この記事では、法定調書合計表の書き方や提出方法を解説します。円滑に作業が進められるよう、基本的な記入方法や提出方法を覚えておきましょう。
法定調書合計表とは?
法定調書合計表について説明する前に、「法定調書」について確認しておきましょう。
法定調書とは、脱税を防ぐ目的で、税法上、提出が定められている書類のことです。1種類の書類を指すのではなく、給与所得の源泉徴収票や、報酬・契約金などの支払調書をはじめとした数十種類の書類の総称が「法定調書」です。
法定調書は、その根拠法令により提出が義務付けられているもので、所得税法・相続税法・租税特別措置法によるものなどがあります。
今回はそのうち、所得税法に関するものを対象として説明します。
「法定調書合計表」とは、法定調書の合計を記載した書類を意味します。法定調書のうち、所得税法によって、法定調書合計表にまとめて提出することが義務付けられているものが6種類あります。
次章で、6種類の法定調書の詳細と法定調書合計表の書き方を解説します。
【6種類】法定調書合計表の書き方
ここでは、法定調書合計表に記載する6種類の法定調書の詳細と、法定調書合計表の書き方を見ていきましょう。
1. 給与所得の源泉徴収票
従業員に対して1年間に支払った給与や賞与の総額、所得税、社会保険料の総額を記載します。
年末調整を行った従業員のうち、支払総額が500万円を超える人については、源泉徴収票を提出する必要があります。
ただし、対象者が役員であったり、相談役・顧問などとみなされる場合、支払総額が250万円を超える場合に提出義務が生じます。
さらに、年末調整が未済(年末調整が済んでいない)の場合は要件が厳しくなるためご注意下さい。
- 1年間に給与を支払った従業員の人数を記載(源泉徴収を行っていない従業員も含む)
- 1年間に支払った給与や賞与の支払総額と源泉徴収額の総額を記載
- 日雇労務者の賃金の支払金額と源泉徴収税額を記載
- 「給与所得の源泉徴収票を提出する者」の人員には、源泉徴収を行った従業員の中で源泉徴収票を提出する人数を記載
2. 退職所得の源泉徴収票
退職所得とは、勤務先を退職した際に受け取る退職金のことです。退職金の金額や控除額を記載します。
なお、提出義務については法人の役員であった場合に限られます。
- 1年間に退職手当を支払った人数を記載
- 1年間に支払った退職手当の合計額と源泉徴収税額を記載
- 「源泉徴収票を提出する者」の人員には、源泉徴収票を提出した人数を記載
- 「3.」に該当する従業員への支払金額と源泉徴収税額の総額を記載
3. 報酬・料金・契約金および賞金の支払調書
税理士や弁護士、社外のデザイナーなどに対して1年間に支払った報酬・料金・契約金などを記載します。通常、同一の人物への支払いが5万円を超える場合に税務署への提出が必要になります。
消費税を含めて金額判定を行うのが原則ですが、消費税金額が明記されている場合には除外したうえで判断してかまいません。これ以降に解説する各種支払調書についても、同様に判断できます。
- 「人員」に個人と法人を区分して記載
- 1年間に支払った報酬などの合計額と源泉徴収税額を記載(災害被害者に対する猶予された源泉徴収税額は除く)
- 「支払調書を提出する者」には、「1.」に該当する人のうち、支払調書を提出する人数を記載
4. 不動産の使用料等の支払調書
不動産関連の支払いを行う法人と不動産業者が提出します。土地や建物の賃料、地上権、礼金、更新料なども含まれます。
提出が必要になるのは、年間の支払いが15万円を超える場合です。
- 1年間に発生した不動産の使用料等の合計額を記載
- 「支払調書を提出する者」には、「1.」に該当する人のうち、不動産の使用料等の支払調書を提出する人数を記載
5. 不動産等の譲受けの対価の支払調書
「不動産等の譲受けの対価」とは、土地・建物の売買で発生した金銭のことです。不動産を購入した法人と不動産業者が提出する書類になります。
同一の人物に対する年間の支払合計が100万円を超える場合に提出が必要です。
- 「譲受けの対価の総額」には、1年間に発生した不動産等の譲受けの対価や損失の合計額を記載
- 「支払調書を提出する者」には、「1.」に該当する人のうち、不動産等の譲受けの対価の支払調書を提出する人数を記載
6. 不動産等の売買または貸付けのあっせん手数料の支払調書
不動産の仲介手数料を支払った場合に、手数料を支払う法人と不動産業者が提出します。
同一の人物に対する年間の支払合計額が15万円を超える場合に提出が必要です。
なお、「不動産の使用料の支払調書」や「不動産等の譲受けの対価の支払調書」において、「あっせんした者」の欄に該当者を記載することによって提出を省略できます。
- 1年間に発生した手数料の合計額を記載
- 「支払調書を提出する者」には、「1.」に該当する人のうち不動産等の売買または貸付けのあっせん手数料の支払調書を提出する人数を記載
法定調書合計表の提出方法
法定調書合計表は、法定調書とあわせて支払いが確定した年の翌年1月31日までに提出します。提出先は所轄の税務署です。
1月31日が土日の場合は、次の月曜日が期限となります。
また、提出の際は次の点に注意しましょう。
- マイナンバーまたは法人番号の記載は必須である
- 提出枚数が100枚を超える場合は電子申告での提出が必須である
- 万が一、提出期限に遅れても必ず提出する。提出がなされない場合には、所轄税務署より提出がない旨の通知が行われる
提出を怠ると事業者が罰せられる恐れがあります。
法定調書合計表についてのまとめ
法定調書のうち、指定の6種類を記載した法定調書合計表は、税制上、提出が必要な資料です。
年末調整の前後は人事や労務関係の業務が忙しくなる時期なので、人事担当者は法定調書合計表の記入方法を正しく理解し、ミスのないよう手続きを進めましょう。
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