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税理士について

著者: 税理士  髙橋 昌也

税理士について

前回の記事(経理処理と青色申告)で、「経理処理について、税理士に依頼するのも候補のひとつ」とご紹介しました。

今回は、小さな仕事をされる方にとっての税理士についてご紹介します。


そもそも税理士に仕事を依頼するのか?

まず考えてみたいのは「税理士に仕事を依頼する価値」についてです。この原稿を書いているのが税理士であるため、どうしてもセールストーク的に見えてしまうかもしれませんが、できる限り公平な見地から書きたいと思います。

結論からいうと、

・税理士と付き合っておいた方が間違いない

税理士と付き合うことで、以下のようなメリットを獲得することができます。

【経理処理や税務申告に関わる時間を節約できる】

何かしらの商売をしたい方にとって、時間はもっとも大切な有限の資産です。経理や税務に関わっている時間があるのであれば、その分を本業の研究や営業に費やすことで、より大きな事業上の成果を目指すことができるのではないかと思います。

【内容の正確性が保たれる】

経理処理でも税務申告でも、ある程度の知識がないと、正しい処理ができません。特に税務については、毎年のように取り扱いが変わってしまう部分もあります。これらの制度変更について、一般の方が常に情報を追い続けることは、非常に難しいです。税理士に依頼することで、新しい制度に対応した処理を行うことが可能です。

この2点だけで考えても、税理士と付き合うメリットは十分にあると思います。また前回ご紹介した青色申告やその他税制上の特典も組み合わさると、税理士に依頼した報酬以上に税金が安くなることも珍しくはありません。

「独立開業したばかりのころは税理士に頼む必要はない」という意見もあるようですが、個人的には賛成しかねます。というのも、規模が小さいときほど、きちんとした経理処理を行い、税務上の特典をもらさず受けることが大切だからです。開業間もない段階できちんとした処理ができていれば、そこから規模を拡大しようと思ったときに、色々と有利な展開が検討しやすくなります。

「経理や税務の作業をまったく手間だと感じない」「社内に詳しい人がいるので依頼する必要がない」といった事情でもない限り、税理士と付き合っておいた方が良いのは間違いないと思います。


その上で、誰と付き合うのか

ここまでお話をした上で、ほんとうに、ほんとうに大切な話をします。

・どの税理士と付き合うかで、あなたの商売にとても大きな影響が出ます。

以下、簡単にその理由を説明します。

経営者と税理士の関係というのは、かなり密接です。なぜなら、お金に関する情報を漏れなく共有する必要があるためです。

自営業者というのは、孤独な存在です。商売上の悩みが尽きることはありませんし、それを相談できる相手もあまりいません。取引先に言えるわけでもなく、雇っている社員にも言えない、家族に愚痴をこぼす訳にもいかない・・・。

そのような中で、税理士というのは、本当に数少ない相談相手です。

・設備投資を考えているのだが、どう思うか?
・新規雇用者を増やしたいのだが、手許にお金が心配だ。
・借金をしようと思うのだが、どれくらい借りるのが良さそうか?

こういった事業における繊細な悩みについて、余すところなく相談できるのが税理士です。実際、中小零細企業の社長さんに対して「悩んだときの相談相手」についてアンケートを取ったところ、かなりの差をつけて税理士が首位に立っています。

また実際に税理士をやっていると、相談の内容は事業の悩みに留まりません。

・家を買おうと思うのだけれど、大丈夫か?
・今度結婚(離婚)することになったが、どうすればいい?
・親の健康状態が不安で、相続が気になってきた。

このような生活面に関することも話題に出てきます。ですので、もしかしたら税理士は、あなたにとって「家族以上の相談相手」になる可能性があります。


税理士によって考え方はかなり違う

そのような税理士ですが、実は税理士によって、仕事に対する考え方はかなり異なります。例えば前回の記事でもご紹介しましたが、経理処理だけでもこんな感じです。

・資料整理から入力まで全部やりますよ。
・基本は自分でやってもらい、内容チェックだけします。
・経理は一切関知せず、税務申告だけやります。

これ以外にも、色々な面で税理士の考え方は異なっています。

【経営について】

・税理士の仕事は税金の計算であって、経営上の判断にアドバイスするのは専門外だ。
・数多くの経営者と接する税理士は、経営についても高い見識を持って、積極的にアドバイスをしていくべきだ。

【金融機関について】

・顧客と金融機関との交渉については、必要以上に関わることは好ましくない。
・顧客が希望する場合には、積極的に金融機関とのやり取りにも関与すべきだ。

これらの考え方は、どれが正しい、間違っているというものではありません。税理士によって考え方が違う、というだけです。

そして、上では「税理士が大切な相談相手になる」とご紹介しましたが、そもそもあなたがそれを望んでいるかどうかは、また別の話です。

・税理士にはともかく税金の計算に専念してもらいたい。
・何かのときに税理士に相談できる方がありがたい。

どちらが良いかは、あなたのお好み次第です。ここで何よりも重要になるのは、

・あなたと税理士の相性

です。この点について、変に妥協をしないことです。


税理士選びのポイント

税理士を選ぶに当たってのポイントを簡単にご紹介します。

1.できれば2~3人の税理士に会うこと。

繰り返しになりますが、税理士によって、仕事に対する考え方は大きく異なります。あなたが税理士に望むことと、その税理士が考えている仕事のあり方にズレが大きいと、お互いに不幸なことになります。

可能であれば複数の税理士に会って話をすることを、強く推奨します。その上で仕事の進め方や報酬について比較して「この人となら安心して仕事ができそうだ」という人を選んでください。
ただ、あまりたくさん会いすぎると、結局決め手がなくなってしまうことも多いようです。2~3人くらいに会うのが良いのではないでしょうか。

2.知り合いからの紹介には要注意。

商売を始めたとき、家族や友人、取引先から税理士を紹介されるケースもあるようです。ただ、個人的にはこの方法、あまりオススメしません。というのも、その知り合いに対する遠慮の気持ちが働いてしまうためです。

実際に付き合い始めた後に「解約したいなぁ」と思っても、なかなか言い出せなかったりすることもしばしば。多少面倒でも、自分で探した方が良いと思います。

3.金融機関に相談してみる。

それでも誰かに紹介して欲しい場合には、金融機関の担当者に相談してみるのもひとつの手段です。金融機関の人は、かなり多くの税理士と接しています。あなたとの相性も考え、良さそうな人を紹介してくれるかもしれません。


あなたにぴったりな税理士がみつかることを、心より祈念しております。

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著者プロフィール

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髙橋 昌也

税理士

プロフィール
1978年川崎市産まれ。
2006年税理士試験合格、2007年に独立開業。東京地方税理士会川崎北支部所属。同年、FP資格取得。
開業当初より「ちいさなお仕事の支援」に特化して事業を展開。
単なる税務にとどまらず、顧客の事業計画策定を支援するなど業務全般の支援を実施。

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