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建設仮勘定とは? 費用計上と仕訳のポイントをわかりやすく解説!

建物や設備を作るときにかかる費用は、完成するまで経費として処理できません。この一時的な費用を記録する方法が『建設仮勘定』です。

初めてこの処理を行うときは、仕訳や処理の仕方に悩むことも多いですよね。本記事では、建設仮勘定の基本をわかりやすく説明し、実際の仕訳方法を具体例を使って紹介します。

さらに、よくある間違いや注意点についても詳しく解説するので、安心して実務に役立てることができます。


この記事の監修者
  税理士・米国税理士・認定心理士 

建設仮勘定とは?わかりやすく解説

まずは、建設仮勘定とはどのようなことをいうのか、詳しくみていきます。

建設仮勘定の定義

建設仮勘定は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」第二十二条(有形固定資産の範囲)の九で、以下のように定められています。

「建物及び暖房、照明、通風などの付属設備、構築物、機械及び装置並びにコンベヤー、ホイスト、起重機などの搬送設備その他の付属設備、船舶及び水上運搬具、鉄道車両、自動車その他の陸上運搬具、工具、器具及び備品、土地、リース資産で営業の用に供するものを建設した場合における支出及び当該建設の目的のために充当した材料をいう」

これらについては、費用に計上せず、一時的に有形固定資産に計上していくこととなります。※

※引用:e-Gov|財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則

建設仮勘定の経費とは

建設仮勘定とは建物や船舶、機械などの有形固定資産の建設や製作にかかった費用のことで、それを計上することをいいます。それらは経費とするのではなく、その名のとおり仮に計上していくものになります。

建物などが完成した場合には、それぞれの目的に即した勘定科目に振り替えられたり、完成がかなわない場合には、費用科目に振り替えられることになります。

建設仮勘定として計上できないもの

建設仮勘定とは建物や船舶、機械などの有形固定資産の建設や製作にかかった費用を計上することになりますので、完成後に計上される経費は計上されません

たとえば、完成後に使用に応じて費用化されていく減価償却費は、未完成の間は計上されることはありません。

建物等を建築するために設計士に対して支払った設計料は建物価格に含める必要があり、建設仮勘定に含めなければなりません。また、不動産業者に支払った仲介手数料も建設仮勘定に含めなければなりません。


建設仮勘定の仕訳

完成前の建設にかかった費用は、どのように仕訳を行えばいいのでしょうか。この項では、建設仮勘定の仕訳の例を挙げながら、詳しく説明します。

建設に要した費用を建設仮勘定へ計上する例

建物の建設を行う場合、その中間金を支払うのが一般的です。しかし、建設は一部しかできておらず、買主に対して引き渡されることもありません。

その場合、建物勘定ではなく、建設仮勘定で処理します。建設仮勘定は仮勘定ですので、減価償却費は計上されませんが、消費税は建設仮勘定であっても支払いが必要です。

仮に、建設仮勘定計上後、完成にいたっていない間に自社の決算期が到来した場合、消費税計算において、当該消費税額は控除できます。

借方

金額

貸方

金額

建設仮勘定

50,000,000

当座預金

55,000,000

仮払消費税等

5,000,000

建設仮勘定を資産勘定に振替する例

建設仮勘定に計上していた物件が完成し、引き渡しを受けた際には、建設仮勘定を完成した物件の計上すべき勘定科目に振り替えます。その時点から、減価償却費の計上対象になります。その資産が、償却資産税の対象物件であれば、課税対象になります。

固定資産税については、当期の有無が固定資産税の対象の判断基準になりますので、会社の経理方法は関係ありません。もっとも、経理処理を正しく行っていれば、そのような齟齬(そご)は発生しないはずですので、心配はないでしょう。

借方

金額

貸方

金額

建物

100,000,000

建設仮勘定

50,000,000

未払金

50,000,000

建設仮勘定の仕訳における注意点

仕訳をする際に注意すべき点がいくつかあります。詳しくみていきましょう。

償却資産税の課税時期について

償却資産税は、毎年1月1日現在において使用できる状態である場合には、償却資産税が課税されます。

償却資産税は納税者の申告によりますが、それは会社において固定資産に振り替えた時点で判断されるのではなく、実態として使用可能か否かで判断されますので、注意が必要です。

固定資産税の課税時期について

固定資産税は、納税者の申告によるものではなく、市区町村の固定資産課税台帳に基づいて賦課されます。よって、会社側が建設仮勘定に計上していようがしていまいが、賦課されることになります。

ただし、固定資産課税台帳に掲載されるのは不動産登記がついている場合が多いので、登記を怠っていない場合を除き、不動産登記がついていない場合は賦課されません。

消費税の課税時期について

消費税については、仮に建設仮勘定に計上されていても、建設材料を購入した場合は、その材料を購入した時点で、消費税は課税されます。

また、納税者が消費税の申告をしなけばならない事業者の場合、支払った消費税は、ご自身が申告する消費税額から控除して計算することが可能です。


建設仮勘定についてのまとめ

この記事では、建設仮勘定について紹介してきました。

まとめると、以下のとおりです。

  • 建設仮勘定とは、未完成の有形固定資産に対して行う仮の勘定のことである
  • 建設中の経費については建設仮勘定で処理を行う
  • 建設において中間金を支払う場合は、建設仮勘定を使用する
  • 建設仮勘定においての消費税の扱いについては注意が必要である

大きなお金が動く建設経費のなかでも、建設仮勘定の消費税の計上について知りたい人が多いようです。

計上の仕方や消費税の扱いについての注意点などを知ることで、より理解を深めることができるでしょう。


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監修者プロフィール

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竹中 啓倫

税理士・米国税理士・認定心理士

上場会社の経理部門で個別決算を中心とした決算業務に従事する傍ら、竹中啓倫税理士事務所を主宰する。
税理士事務所では、所得税・法人税を中心に申告業務を行っている一方で、外国税務に関するセミナー講師を行っている。
心理カウンセラーとして、不安を抱える人々に対して寄り添って、心の不安に答えている。
税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

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