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複式簿記とは? 特徴や記帳の仕方をわかりやすく解説!

複式簿記とは? 特徴や記帳の仕方をわかりやすく解説!

経営の健全性や事業の安定性などを測るうえで、有効となるのが複式簿記です。

取引を「借方」と「貸方」の2つの側面に分けて記帳することで、原因と結果を同時に記録に残すことができます。

単式簿記とは異なる複式簿記には、どのような特徴やメリットがあり、どのような流れで書けばよいのでしょうか。

複式簿記について、詳しく解説します。


この記事の監修者
  公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー 

複式簿記とは?

企業の会計を記録する方法の一つに、複式簿記があります。

企業の財政状況の把握や経営管理に役立つ複式簿記について、詳しく解説します。

複式簿記の概要

複式簿記とは、取引を「借方」と「貸方」の2つの側面に分けて、「仕訳」として記録する方法です。

取引の原因と結果を記録することで、お金の動きによる財政状態の変化を記録することができます。

また、複式簿記では以下の8つの項目について仕訳で表現することで、財務諸表を作成することができます。

  1. 資産の増加
  2. 資産の減少
  3. 負債の増加 
  4. 負債の減少
  5. 純資産の増加 
  6. 純資産の減少
  7. 利益の発生
  8. 費用の発生

単式簿記と複式簿記の違い

単式簿記とは、現金の入出金のみに着目して記録する方法で、家計簿などのイメージです。

例えば、10万円の資産(PC)を購入した場合に、単式簿記では現金10万円の出金のみを記録しますが、複式簿記では現金の減少に加えて、10万円の資産(PC)の増加も記録します。

正規の簿記の3要件

企業会計原則では下記の通り、企業会計においてすべての取引は正規の簿記の原則に従って正確に記録されるべきとされています。

企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。(企業会計原則の一般原則二)

ここでいう「正規の簿記の原則」の要件を満たしているのが、「複式簿記」です。

正確な会計帳簿を作成するには、以下の「正規の簿記」の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 網羅性
    すべての取引を記録していること。
  2. 秩序性
    一定の方法に基づき継続して記録していること。
  3. 検証可能性
    資料に基づき事後に記録を検証することが可能であること。

複式簿記は、上記3要件をすべて満たしており、正規の簿記の原則に従うものであることがわかります。


複式簿記のメリット

単式簿記にはない、複式簿記ならではのメリットとして、以下の3点が挙げられます。

それぞれ、詳しく解説しましょう。

1.財務諸表(賃貸対照表・損益計算書)の作成ができる

単式簿記では、お金の入出金のみに着目するため、貸借対照表や損益計算書を正確に作成することができません。

対して、複式簿記では取引を複数の側面から勘定科目を用いて記録するため、財務諸表を作成し、事業の財産や損益の状況を正確に把握することが可能です。

2.お金の流れが明瞭になる

複式簿記ではお金の入出金の結果や原因を勘定科目ごとに記録するため、お金の流れを明瞭に把握することが可能です。お金の流れが明瞭になることで、企業の経済状況を正確に把握することができ、的確な経営判断に役立ちます。

3.財務諸表の比較が可能となる

複式簿記で作成される財務諸表は、継続して一定のルールに基づいて作成されます。
そのため、会計期間ごとの財産や損益状況の比較が可能です。

また、決まったルールで作成される財務諸表は、企業ごとの比較も可能であるため、同業他社比較などを行うことができます。


複式簿記の書き方

実際に複式簿記を書く際には、どのような手順で行えばよいのでしょうか。

以下に複式簿記で取引を記録する際の流れとポイントを紹介します。

複式簿記で取引を記載する流れ

  1. 取引の発生
    現金や商品の受け渡しを行います。
     ↓
  2. 仕訳の計上
    取引が発生したら「仕訳」を計上します。
    日々の取引は、「仕訳」として帳簿に記録されます。仕訳は、現金や売上などの「勘定科目」を使って記録します。
     ↓
  3. 総勘定元帳に集計
    仕訳は、勘定科目ごとに総勘定元帳に集計されます。
     ↓
  4. 試算表に集約
    勘定科目を、資産・負債・純資産・収益・費用を5つの要素に分類し、試算表を作成します。
     ↓
  5. 決算の作成
    年度の最後に、試算表をもとに決算書(貸借対照表と損益計算書)を作成します。

借方と貸方

複式簿記では、左側を「借方」、右側を「貸方」と表現します。

取引を、資産、負債、純資産、収益、費用の5つの要素の増減に置き換えて、借方と貸方に振り分けて仕訳を計上します。

この際、貸方と借方の金額は必ず同額になります。

例えば、1万円の現金売上は、「1万円の現金(資産)の増加」と「1万円の売上(収益)の増加」となります。

現金(資産)の増加は「借方」に、売上(収益)の増加は「貸方」に計上します。

貸借対照表と損益計算書

複式簿記では、年度の終わりに2種の決算書を作成します。

2種の決算書について、それぞれ解説しましょう。

貸借対照表(バランスシート)

貸借対照表(B/S)は、期末時点における財政状態を表す決算書です。

資産を左側(借方)、負債と純資産を右側(貸方)に記載します。

資産の合計額と負債及び純資産の合計額は、必ず一致することとなります。

資産とは、現預金や建物などの会社の財産です。

負債は借入金などの会社の債務であり、純資産は資産と負債の差額で、資本金などの会社の正味財産を指します。

損益計算書

損益計算書(P/L)は、一会計期間の経営成績を表す決算書です。

収益と費用の差額として、一年間の利益または損失を計算します。

収益を右側(貸方)、費用を左側(借方)に記載します。

収益とは、売上などの収入です。

費用とは、仕入れや販管費などの支出のことを指します。


複式簿記についてのまとめ

複式簿記は、取引を「借方」と「貸方」の2つの側面に分け、「仕訳」として記録する方法です。

現金のみの動きに着目する単式簿記に対し、複式簿記では勘定科目によりお金の流れを明確化したり、財務諸表を作成して会計期間ごとに比較したりできるメリットがあります。

経営の健全性を測るうえで、複式簿記による記帳は有効です。

財務状況の変化を記録することができる複式簿記で、事業のさらなる発展をめざしましょう。


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監修者プロフィール

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内山 智絵

公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー

大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人の地方事務所で上場企業の法定監査などに10年ほど従事した後、出産・育児をきっかけに退職。

2021年春に個人で会計事務所を開業し、中小監査法人での監査業務を継続しつつ、起業女性の会計・税務サポートなどを中心に行っている。

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