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簿価とは? 残存簿価との違いや簿価からわかることを解説

監修者: 米国公認会計士(デラウェア州)  川上 建

簿価とは? 残存簿価との違いや簿価からわかることを解説

簿価とは、資産・負債・資本の帳簿上の評価額である帳簿価額の略称です。企業の財政状況を表示するため、欠かせないものとなっています。

この記事では、企業の保有する資産・負債・資本の金額を把握することはもちろん、税務申告や利害関係者への情報開示に必要となる簿価を詳しく解説しています。

残存簿価や市場価格との違いや、簿価からわかること・わからないことなどもまとめてあるので、ぜひ参考にしてみてください。


簿価とは

簿価とは帳簿価額の略称であり、帳簿上の資産・負債・資本の評価額を意味します。

企業経営にあたって保有する資産・負債・資本の金額を把握するためだけでなく、税務申告や利害関係者への情報開示のため、会計基準に基づき財政状態を簿価で表示します。

基本的な考え方として、簿価は棚卸資産や有価証券等のように償却しない資産は取得価額で、固定資産のような償却性資産は「取得価額-償却額=簿価」という数式で計算します。

例えば5年償却する100万円の固定資産を購入した場合、購入時の簿価は100万円ですが1年後の簿価は、取得価額の100万円から1年分の償却費である20万円を引いた80万円となります。

このように、財政状態を表す貸借対照表では、取得金額の100万円をずっと表示するのではなく、時間の経過に伴い減少した価値を考慮した簿価により金額を表示します。


残存簿価との違い

簿価と似た会計用語に、残存簿価があります。

残存簿価とは法定の減価償却期間が終了した資産の簿価のことで、最終的に簿価を1円にすることが可能です。

残存簿価を1円で残す意味としては、たとえ償却期間が完了した古い資産であっても現物資産がある以上、台帳に1円で記録を残すことで資産がまだ存在していることを把握するためです。

残存簿価を記録しておくことで、実在する資産でありながら帳簿に記載がないという事態を防止できます。


簿価と市場価格との違い

簿価は会計原則に従い資産を評価したものであるのに対し、市場価格はマーケットで取引される金額、いわば時価を示しています。

そのため簿価と市場価格は必ずしも一致するわけではありません。

例えば、数年間使用した機械装置の場合、償却費を差し引いた残りの金額が簿価となります。

一方で、その機械装置を中古市場で売却した場合、必ずしも簿価の金額で売却できるとは限りません。

このように「簿価=市場価格」であるとは限らないため、企業の財務諸表を分析する場合には注意が必要です。

なお、簿価が著しく市場価格を下回っている場合は、簿価を切り下げる処理(減損会計)を行うこともあります。

基本的に簿価と市場価格との間には差異があると考えたほうがよいでしょう。


簿価からわかること・わからないこと

簿価からわかること・わからないことを表にすると以下のようになります。

わかること

わからないこと

  • 企業が保有する帳簿上の資産・負債・資本の金額
  • 償却性資産が新しいものか古いものか
  • 企業が保有する資産・負債・負債の時価や市場における価値

簿価から分かることは、企業が持つ資産・負債・資本の帳簿上の金額であり、簿価により企業の財政状態を定量的に把握することが可能となります。

簿価は会計基準に従い算出された金額であるため、その金額には一定の信ぴょう性があるといえます。

また、固定資産等の償却性資産であれば、減価償却累計額が少なければ新しい資産、多ければ古い資産であることが分かります。

一方で簿価はあくまで帳簿上の金額であり市場価値や時価と同じ金額とは限らないため、その企業が持つ資産・負債・資本の真の価値は分かりません。

そのため、仮に資産が潤沢にある企業といえども、その資産が現預金や換金性の高い資産でない場合、簿価を過信しないことが大切です。


簿価のまとめ

簿価は、資産・負債・資本の帳簿上の評価額である帳簿価額の略称です。

企業の資産・負債・資本を把握するためにはもちろん、税務申告や利害関係者への情報開示に欠かせないものとなっています。

簿価では、償却しない資産は取得価額で、償却する資産は「取得価額-償却額」で算出されます。

法定減価償却期間が終了した資産の簿価は、残存簿価として最終的には1円で記録され、資産の存在が帳簿上抜け落ちてしまうことが防がれます。

会計原則に従って資産を評価した簿価は、必ずしも市場価格と一致するものではありません。

簿価は企業が持つ資産・負債・資本の真の価値を表すものではないことを念頭に、過信せず運用することが大切です。

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監修者プロフィール

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川上 建

米国公認会計士(デラウェア州)

DELL(株)ファイナンス部、本田技研工業(株)の経理部において、経理・経営企画業務に約17年間従事した後2019年7月に独立。

福岡市の地元中小企業を中心に、経営相談だけでなく現場に入り課題解決まで担う経営支援を行う。

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