出納帳とは？ 目的や書き方、作成時に気をつけたいポイントを解説
企業の現金の管理のために、出納帳の作成は欠かせません。しかし、出納帳について具体的な書き方、作り方が分からないという方もいるかもしれません。
そこで今回は、出納帳について作成の目的や書き方について解説していきます。
起こりがちなミスも具体的に紹介するので、これから作成するときの参考にしてみてください。
出納帳とは
出納帳（すいとうちょう）とは、現金・預金の入出金の記帳を行うための帳簿のことです。
出納帳は、仕訳帳や総勘定元帳といった主要簿を補うための補助簿のうちの一つと位置付けられています。
また、出納帳には、現金出納帳と預金出納帳の2種類があります。
- 現金出納帳
現金出納帳は、前述した出納帳のうち、現金についての記録を行う帳簿のことです。
現金を頻繁に取り扱うような事業を行う場合だけでなく、実務上では備品等の購入や経費精算のために手元に置いておく小口現金の入出金の履歴と残高を管理するために、現金出納帳を用いることも多く見られます。
- 預金出納帳
預金出納帳は預金の入出金の記帳を行うための帳簿です。
実務上では預金出納帳そのものを作成することはあまりなく、会計システムを使っている場合は、預金口座ごとに補助科目などを設定し、仕訳していくことが一般的です。
お金の流れを把握するため
「いつどのような理由で入出金があったか」といったお金の流れを把握し、後からでも確認できるようにするためです。
銀行預金であれば通帳や入出金明細を見ることで、取引履歴を確認することができますが、現金は現金出納帳を作成していないと取引履歴を確認することができません。
現金残高を観察することで不正防止に繋げるため
お金の流れを把握することで、使い込みなどの不正防止にもつながります。
- 現金出納帳に取引内容を正確に記入する
- 入出金があったその日のうちに記入する
- 実際の現金残高と出納帳の残高を日々確認する
このようなルールを作っておくことで、不明な入出金を防ぐことができます。
また、不正防止を目的として、複数名での体制で現金出納帳を記入する人、チェックする人をそれぞれ設けるなどの施策も有効です。
現金出納帳の書き方
ここからは現金出納帳の記載方法について解説していきます。まず、現金出納帳は月ごとに記載・記録することが一般的です。
1.前月繰越を記入
まずは、その月の最初の残高を前月繰越として記載します。
2.各取引の項目を記入する
そして、いつ・どういった理由で現金が増えたのか、減ったのかを記載していきます。具体的な完成イメージは以下の通りです。
|
日付 |
科目 |
摘要 |
入金額 |
出金額 |
残高 |
|---|---|---|---|---|---|
|
前月繰越 |
150,000 |
150,000 |
|||
|
2023/2/1 |
旅費交通費 |
タクシー代 |
3,000 |
147,000 |
|
|
2023/2/5 |
消耗品費 |
文房具 |
2,000 |
145,000 |
|
|
次月繰越 |
145,000 |
145,000 |
|||
|
合計 |
150,000 |
150,000 |
日付
入出金を行った年月日を記入します
科目
相手勘定科目をそれぞれ記入します。
例えば、タクシー代を支出したのであれば「旅費交通費」、事務用品を購入したのであれば「消耗品費」などがそれにあたります。
摘要
入出金を行うにあたっての相手先や内容などの詳細を記入します。
入出金した金額
実際に入ってきた金額、使った金額を記入します。
残高
入出金をした後の手元に残っている額を記載します。差し引き計算をした後の金額と、手元に実際にあるお金が一致しているかしっかりと確かめることが重要です。
3.月の最後に次月繰越を記入
一番最後の取引の行の残高を、次月繰越として記入します。
現金出納帳作成時によくあるミスと対策方法
ここからは現金出納帳を作成する際によくあるミスとそれについての対策をそれぞれ開設していきます。
帳簿上の残高と実際の現金残高が合わない
実際の手元現金の残高と異なる残高が出納帳に記載される場合があります。
|
原因
|
対策
- 過去の取引について、入出金に記載した金額と実際の領収書等の金額が一致しているか確認する
- すべての残高の差し引き計算が合っているか、計算チェックをする
科目を誤って記載してしまう
科目を間違えて記入してしまうケースです。あまり慣れていない人が現金出納帳を作成する際に起きやすいミスです。
|
原因
|
対策
- 経理担当者など詳しい人に確認する
- 詳しいルールを設定する
日付順に並んでいない
日付順に並べられていないとお金の流れが把握しにくくなってしまいます。現金出納帳は、時系列通りに記入されるようにしましょう。
|
原因
|
対策
- その日のうちに記帳するルールを設定する
- 現金残高と出納帳残高を日々確認する
現金出納帳の作り方・ツール
ここからは、現金出納帳を作成する際の一般的な作り方、ツールについて解説していきます。
手書き
市販のノートも販売されていて、一番手軽に作成できる方法です。
良いところ
- すぐに作成できる
リスク
- 入出金の数が多いと記入に時間がかかる
- 計算ミスや記入ミスのリスクは高い
Excel
表計算ツールとしてExcelで作成している企業も多いです。
また、現金出納帳のテンプレートもWeb上で配布されているため、これらを活用するのも良いでしょう。
【書式のテンプレートをお探しなら】
良いところ
- 会計ソフトよりも手軽に作成できる
- 数式を組むことで残高集計が簡単かつ正確
リスク
- 数式の設定ミス
ソフト
会計システムには、出納帳もしくは類似した機能がついているため、これらの機能を活用している企業もいるでしょう。
良いところ
- 会計システム内の機能によって自動起票される
リスク
- 会計システムの機能を使うため、手軽さは低い
- 入力後の最終チェックは必要
出納帳のまとめ
企業のお金の流れを把握するために、出納帳の作成は重要です。
把握することで、不正防止にもつながります。
ただ、お金や帳簿を扱うもののため、ミスも考えられます。これらを防ぐためのルール作りも忘れないようにしましょう。
出納帳の作り方は、手書きから、Excel、会計システムなどがありますが、入出金の頻度や人数規模に合わせて選ぶようにしてください。
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