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与信とは? 与信管理の方法や重要性・具体的な注意点など詳しく解説!

与信とは? 与信管理の方法や重要性・具体的な注意点など詳しく解説!

ビジネスにおける与信とは、取引先の企業に信用を与えることで、その信用を上手にコントロールすることを与信管理といいます。

与信は企業取引において欠かせない概念ですので、経営層や労務部は適切に与信管理しなければなりません。

この記事では、与信管理の重要性やその方法、具体的な注意点などを解説します。ぜひ最後までご覧ください。


この記事の監修者
北原中小企業診断士事務所  代表 

与信とは?

ビジネスにおける与信とは、個々の取引に対する信用度合いのことで、企業間の取引だけでなく、個人との取引においても重要な要素です。

信用が基礎になった後払い取引を与信取引と呼びます。

与信は企業の直接的な利益にならないものの、取引相手との信頼関係を形成し、商取引を円滑に進めるための基盤です。


与信を管理する「与信管理」

与信管理とは、取引先企業の財務状況や信用力を検証し、取引額や支払い方法を設定して損失を回避するためのプロセスを指します。

与信管理は基本的に2つの主要な活動に分けられます。

1つ目は、取引先に関する情報を集め、その規模に応じて評価することです。ヒアリングや業界情報の収集、ウェブ情報の調査などが含まれます。

2つ目は、取引先の評価に基づいて設定された信用枠と、売上債権残高を比較し、取引先を評価することです。


与信管理が重要視される理由とは

与信管理が重要視される理由をまとめました。

  • 連鎖倒産を防ぐため
  • 貸倒損失を回避するため
  • 資金繰り対策として
  • 営業先の拡大

ぜひ参考にしてください。

連鎖倒産を防ぐため

与信管理は取引先の経済的な安定性や信用力を評価し、その結果を基に取引条件を設定します。

与信管理が不十分な場合、取引先が経済的に困難に陥り、その結果として未回収の売掛金が大量に発生する可能性があります。

さらに、未回収の売掛金が多いと自社も資金繰りに困難を伴い、最悪の場合、連鎖倒産につながる恐れがあるのです。

例えば、2008年のリーマンショックでは、与信管理を徹底すれば防げた倒産が一部あると考えられます。

貸倒損失を回避するため

与信管理は、未回収の売上代金による損失(貸倒損失)を回避するために重要です。

取引先が経済的に困難になったり、倒産したりすると、売上代金が回収できなくなる危険性が存在し、企業は大きな損失を被るでしょう。

与信管理は取引先の信用力を評価し、取引条件を決定しますので、貸倒損失のリスクを軽減し、企業の経済的な安定性を維持しやすくなります。

資金繰り対策として

取引先の信用を確認し、適切な取引条件を設定すると、売上債権の回収がスムーズに行われ、企業のキャッシュフローが安定します。

一方、与信管理が不十分であると、未回収の売掛金が増加し、それが企業の資金繰りを圧迫するリスクがあるでしょう。

企業の生命線である資金繰りを安定させ、利益を確保するためにも、与信管理は重要な役割を果たしています。

営業先の拡大

与信管理により信用力があると判断された取引先とは、安心して取引を進められます。

しかし、信用力が不足していると判断された取引先に対しては、取引条件を厳しくしたり、場合によっては取引を控えたりするなどの対策を取れます。

与信管理を適切に行えると、安全性の高い企業が取引先企業に加わりますので、営業先が拡大しやすくなるでしょう。


与信管理方法の方法

与信管理の方法は以下のとおりです。

  1. 与信管理のルール設定
  2. 取引先の選定
  3. 与信限度額の設定
  4. 債権管理

それぞれ順番に解説します。

1.与信管理のルール設定

まず、社内の与信管理体制を整備し、全体として一貫性を持たせるために与信管理のルールを設定しましょう。ルール設定では、次のような項目を定めてください。

  • 信用リスクの評価基準
  • 取引先の選定基準
  • 与信枠の設定方法
  • 社内での情報共有の方法
  • リスクが発覚した際の対応フロー

ルールをもとに社内での与信管理を進められると、信用リスクを最小限に抑えられるはずです。

2.取引先の選定

次に、設定したルールに基づいて取引先を選定しましょう。次のような項目を踏まえて、取引するかどうかを決めるとよいです。

  • 業績
  • 財務状況
  • 取引実績
  • 業界の動向
  • 地域情報
  • 財務諸表の分析
  • 格付け情報の確認
  • 倒産予測値などのリスク指標

取引先の選定の際には、取引実績や財務諸表などの可視化できる情報だけでなく、取引先の評判や影響力などの可視化しにくい情報も分析することが重要です。

3.与信限度額の設定

与信限度額とは、企業が取引先に対して設定した売掛債権の上限額を指すもので、この限度額を超えた取引は原則として行わないという管理方法です。

売掛債権とは、顧客からまだ受け取っていない代金の請求権利のことです。
与信限度額の設定基準には、企業の純資産の一部や一定のパーセンテージなどがあります。

たとえば、信用評価が低い企業と取引する際は、自己資本の3%を与信限度額にしたり、新規取引先との取引では、月商の10%を与信限度額にしたりします。

前述の取引先の選定基準や信用リスクの評価基準など、社内で事前に策定したルールを基に与信限度額を設定しましょう。

4.債権管理

与信管理においては、信用だけでなく、実際の債権のやり取りも併せて管理しましょう。

債権管理とは、企業が取引先からの未回収の売掛金(債権)を適切に管理し、その回収を確実に行うための一連の活動です。

売掛金の回収が遅れると現金流が悪化し、企業の資金繰りに影響を及ぼす可能性があるのです。

具体的な債権管理の方法には、売掛金の回収スケジュールの作成や回収状況のモニタリング、滞納者への催促などがあります。債権管理の効率化にも与信管理が活用されます。


与信管理を実施する際の注意点

与信管理を実施する際の注意点をまとめました。

  • 現場との連携が重要
  • 与信調査の範囲とコストの考慮
  • 取引先管理の継続
  • 取引先とのコミュニケーション

現場との連携が重要

経営層と現場レベルの間で情報共有と連携が円滑に行われないと、与信管理の効果が減少します。

たとえば、現場レベルでは、取引先との日々の接触を通じて得られる信頼性や、迅速な支払い履歴などの情報が、与信管理における意思決定に大きな影響を及ぼすかもしれません。

経営層のみならず、現場レベルからの適切な情報共有とフィードバックが、与信管理において必要不可欠です。

与信調査の範囲とコストの考慮

過度な与信調査は、企業の金銭的・人材的リソースを過剰に消費するリスクがあるでしょう。それに対して、不十分な与信調査は重大な信用リスクを見落とす可能性があります。

取引先の規模や取引の重要度、その他のリスク要因に応じて、与信調査の範囲と深度を適切に調整しましょう。

また、与信調査にかかる費用相場は、1社あたり1万〜5万円ほどです。ただし、企業規模や調査期間などにより変動はあります。

有名な信用調査会社は、帝国データバンクや東京商工リサーチなどがあるでしょう。

  • 帝国データバンク:1社あたり7,500円〜3万円
  • 東京商工リサーチ:1社あたり15,000円~5万円

取引先管理の継続

継続的な取引が行われる場合、取引相手の財務状況やビジネスの動向によっては、与信の限度額の見直しが必要になるでしょう。

取引期間の長さで安心かどうかを決めず、取引相手の信用情報を定期的に更新し、新たなリスクを評価するのが大切です。

支払期限を過ぎても代金が支払われなかったことが一度でもある取引相手に対しては、与信を低く設定するなどの対応が必要となるでしょう。

取引先とのコミュニケーション

取引先とのコミュニケーションは、取引先との信頼関係を築く上で非常に重要であるとともに、与信管理に重要です。

取引先との定期的なコミュニケーションを通じて、取引先の状況にアンテナを張り、変化を感じ取れるよう注意を払い、与信管理に活かすことも大切です。


与信についてのまとめ

ビジネスにおける与信とは、取引先の企業に信用を与えることで、その信用を上手にコントロールすることを与信管理といいます。

適切に与信管理できなければ、さまざまな場面においてデメリットが生じるでしょう。

この記事を参考にしながら、ぜひ自社の与信管理のシステムを見直してみてはいかがでしょうか。


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監修者プロフィール

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北原 竜也

北原中小企業診断士事務所 代表

2017年に中小企業診断士を取得。補助金等の事業計画書作成支援を中心にコンサルティングを開始。

ITコーディネータ、健康経営エキスパートアドバイザーの資格も保有しており、中小企業を中心に幅広い知見を活かした支援・助言を行っている。

カウンセラーとしての側面もあり、カウンセリングの聴く技術を活かし、クライアントが望む姿を明確にし、具体的な行動に移せるコンサルティングを得意としている。

【保有資格】

・認定経営等革新支援機関 中小企業診断士

・ITコーディネータ

・健康経営エキスパートアドバイザー

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