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オフバランスとは? メリット・デメリット、具体例を紹介

オフバランスとは? メリット・デメリット、具体例を紹介

オフバランスは、企業の財務状況を改善する手段の一つです。

企業が持つ資産・負債を減らすことで対外的な企業の評価を高めるなどのメリットがある一方、デメリットもあるため、導入を慎重に検討する必要があります。

この記事では、オフバランスの定義やメリット・デメリット、具体例を紹介します。


この記事の監修者
  公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー 

オフバランスとは

オフバランスの「バランス」は貸借対照表(バランスシート)を意味し、事業運営に用いている資産・負債を貸借対照表に計上しないことをオフバランスといいます。

企業会計では、企業の財務状況を資産・負債・純資産に分けて貸借対照表に計上します。このことを「オンバランス」といい、通常、企業会計では財務状況を貸借対照表に正しく計上しなければなりません。

資産や負債を「オフ(消失)」させることは資金調達などでメリットがある一方、犯罪行為にも成り得るため、世界各国でルールが厳格化されています。


オフバランスのメリット

オフバランスにはどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

ROA(総資産利益率)の改善

ROA(総資産利益率)は、会社の総資産をいかに効率よく活用して利益を上げられたかを示すもので、企業の収益性を表す重要な指標の一つです。

オフバランスによって資産に計上するものが減り、貸借対照表がシンプルに整理されることでROAが改善します。その結果、財務状況に対する対外的な評価が高まる効果が期待できます。

資産の所有リスクの回避

資産は、所有しているだけでコストがかかります。

また、企業にとって資産は対外的な評価が高まる効果が期待できる一方で、負債のリスクを伴うことを意味します。

オフバランスによって資産を減らし、代わりにリースなどを活用することで、それらのデメリットを回避することにつながります。

資金調達コストの最適化

オフバランスによってROA(総資産利益率)が改善され、所有する資産が減ることで企業の収益性が向上します。

その結果、資金調達が有利になるというメリットがあります。資金調達にはコストがかかりますが、信頼性が高い企業ほど融資のリスクが低く、資金調達にかかるコストも下がる傾向にあります。

そのため、高い収益性を維持することは資金調達コストの最適化につながるのです。


オフバランスのデメリット

続いて、オフバランスのデメリットも見ていきましょう。

現金化できる資産の減少

オフバランスにより資産が減少することで、コストの削減や負債のリスク低減などの効果が期待できます。しかしその反面、資金が必要になった場合に現金化できる資産がなくなってしまいます。

現金化できる資産が少なくなると、資金調達の面で不利になる可能性もあるため、バランスを見ながら最適化することが重要だといえるでしょう。

トータルコストの増加

資産を減らすと、その代わりに機材のレンタルやリース、業務のアウトソーシングなどの新たなコストが発生することになります。

その分のコストも踏まえたうえで、減らす資産を検討する必要があります。

粉飾決算への悪用

オフバランス化は、貸借対照表に記載されない取引が出てくることから、粉飾決算に悪用されるケースがあります。

売上の水増しや損失の隠ぺいなど、オフバランスが不正会計につながらないように運用する仕組み作りが欠かせません。


【具体例】オフバランス化の方法

ここでは、オフバランス化の方法を具体的に解説します。

不動産の売却や証券化

企業が所有している不動産の売却は、オフバランス化のよくある手段です。

また、資金調達を目的として不動産を「証券化」する手法もあります。貸借対照表が改善されるだけでなく、不動産を管理するコストも一緒に削減できるのがメリットです。

売却した不動産を買主から賃貸する「リースバック」と呼ばれる方法を活用すれば、売却益を得たうえで物件の使用を続けることができます。

機材などをリース・レンタルする

業務に必要な機材などをリースもしくはレンタルすることで資産を減らし、オフバランス化する方法もあります。

リースやレンタルできるものとして、コピー機やOA機器のほか、自動車、工場の機械設備などがあげられます。

重機など、利用する機会が少なく高額なものほど、オフバランス化のメリットが大きくなるでしょう。

クラウドサービス

IT関連のオフバランス化の方法として、クラウドサービスの利用があげられます。

自社サーバーやソフトウェアを保有する代わりに、月額利用料を支払ってクラウドサービスを利用することで保守管理の費用を削減できます。

ソフトウェアのバージョンやセキュリティ対策が最新の状態に保たれるのも、クラウドサービスのメリットです。

アウトソーシング

業務のアウトソーシングもオフバランス化の手段として活用できます。

比較的作業の引き継ぎがしやすいルーティンワークだけでなく、経理や法務といった専門知識が必要な業務をアウトソーシングすることで、自社で専任の従業員を雇用する必要がなくなります。

その結果、人件費だけでなく、採用・教育にかかるコストの削減も期待できます。


オフバランスについてのまとめ

企業の財務状況を改善する手段の一つであるオフバランス。機材のリースやレンタル、アウトソージングなど、オフバランスを取り入れる方法はいくつかあるため、自社にとって費用対効果が高いものから実施を検討してみましょう。

ただし、オフバランスはその性質上、粉飾決算や売上の隠ぺいなどの温床になるリスクがあります。財務状況を適切に監視する仕組みもあわせて構築することが重要です。


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監修者プロフィール

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内山 智絵

公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー

大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人の地方事務所で上場企業の法定監査などに10年ほど従事した後、出産・育児をきっかけに退職。

2021年春に個人で会計事務所を開業し、中小監査法人での監査業務を継続しつつ、起業女性の会計・税務サポートなどを中心に行っている。

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