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減価償却累計額とは? 求め方や仕訳方法をわかりやすく解説

減価償却累計額とは? 求め方や仕訳方法をわかりやすく解説

建物や設備などの固定資産を計上する際に使用する減価償却費。

減価償却累計額は、減価償却費を仕訳する際に使用される勘定科目です。日常的に扱うものではなく、基本的には毎年同じような処理の繰り返しとなります。

誤った場合は長期的に影響が残ってしまうため、正確な知識を身につけておく必要があります。

本記事では、減価償却累計額の概要や、減価償却費との違い、2種類の処理方法、仕訳の手順などを解説していきます。


この記事の監修者
  公認会計士 

減価償却累計額とは?

減価償却累計額とは、過去に計上した減価償却費を合計したものです。固定資産を減価償却する際、間接控除法で仕訳する場合に使用されます。

例えばある資産に対して、最初の年に発生した減価償却費が10万円の場合、減価償却累計額も10万円です。その翌年の減価償却費も10万円発生した場合、減価償却累計額は20万円になります。

そもそも減価償却とは

減価償却では、固定資産を取得した際、購入にかかった金額をその年だけの費用とせず、耐用年数ごとに分割して、毎年計上します。

減価償却を何年にわたっておこなうかは、資産の種類によって決められています。

たとえば、鉄筋コンクリート造かつ事務所用の建物であれば50年、金属製の事務机・椅子は15年、パソコンならば4年というようにそれぞれ決められています。

減価償却累計額の目的

資産の取得価額から減価償却累計額を控除すれば、その固定資産に現在どの程度の価値が残っているかを把握することができます。

また、前述のとおり減価償却の年数はその製品の耐用年数によって決められているため、減価償却累計額を買い替えや更新の目安とすることもできるでしょう。

なお、取得価額から減価償却累計額を差し引いた後の金額のことを帳簿価額といいます。


減価償却累計額と減価償却費の3つの違い

減価償却累計額は、過去に計上した減価償却費の合計金額ですが、両者のあいだにはいくつか明確な違いがあります。それぞれ見ていきましょう。

1.勘定科目

減価償却累計額と減価償却費は勘定科目が異なります。減価償却累計額はいわゆる評価勘定といわれるもので、有形固定資産のマイナスの項目として「資産」に計上します。

一方で減価償却費は固定資産の価値の減少として「費用」に計上します。

2.財務諸表の記載箇所

減価償却累計額と減価償却費は、財務諸表における記載箇所がそれぞれ異なります。減価償却累計額は先に述べたように評価勘定として資産のマイナス項目に該当するので、貸借対照表に記載する勘定科目です。

それに対して減価償却費は費用ですから、記載する箇所は損益計算書となります。

3.財務諸表の記載方法

減価償却累計額は、購入した年から計上した金額の累計を記載します。一方で減価償却費は、その年に計上した金額のみを記載します。


減価償却累計額の表示方法は2種類

減価償却費を処理する際の方法には次の2種類あります。

  • 直接法(直接控除法)
  • 間接法(間接控除法)

一つずつ解説していきます。

直接法(直接控除法)

直接法とは、固定資産の取得価額から、減価償却費を直接差し引く方法を指します。直接法は、固定資産の価値がどの程度残っているかがすぐに分かる点や、計算が単純なため扱いやすい点がメリットです。

一方でもともとの取得価額や、計上した減価償却費の金額が一見して分かりにくい点がデメリットです。

なお、ソフトウェアや知的財産権など、無形固定資産に該当するものについては、直接法で処理しなければなりません。

間接法(間接控除法)

間接法では、減価償却累計額の勘定科目に、購入時からその年までに計上した減価償却費の合計が集計される方法です。

間接法は、資産の取得価額がすぐに分かる点がメリットです。反面、現在の帳簿価額が分かりにくい点はデメリットだといえます。


減価償却累計額の仕訳方法

続いて、減価償却累計額の使用例として以下の3ケースをご紹介します。

  1. 決算期に減価償却費を計上した
  2. 固定資産を売却した
  3. 固定資産を除却した

各ケースで、直接法と間接法、それぞれの例を見ていきましょう。

1.決算期に減価償却費を計上した

決算にあたり、建物の減価償却費を1,000,000円計上した場合の例は以下のとおりです。

  • 直接法の場合
    (減価償却費)1,000,000円 / (建物)1,000,000円
  • 間接法の場合
    (減価償却費)1,000,000円 / (減価償却累計額)1,000,000円

2.固定資産を売却した

事業活動に使用している車(取得価額2,000,000円、減価償却累計額1,500,000円)を、1,000,000円で売却した場合は、以下のように記載します。

  • 直接法の場合
    (現金預金)1,000,000 / (車両運搬具)500,000
              (固定資産売却益)500,000
  • 間接法の場合
    (現金預金)1,000,000 / (車両運搬具)2,000,000
    (減価償却累計額)1,500,000 /(固定資産売却益)500,000

3.固定資産を除却した

パソコン(取得価額400,000円、減価償却累計額350,000円)を除却した際の記載例は以下のとおりです。

  • 直接法の場合
    (固定資産除却損)50,000 / (工具器具備品)50,000
  • 間接法の場合
    (固定資産除却損)50,000 / (工具器具備品)400,000
    (減価償却累計額)350,000

減価償却累計額についてのまとめ

減価償却累計額とは、対象となる固定資産の取得から、現在までに計上した減価償却費の合計金額を指します。

また、減価償却累計額は減価償却費と混同されやすいですが、会計においては明確に異なるものです。

減価償却累計額の会計処理を一度間違えてしまうと、その影響は数年〜数十年に及ぶおそれもあるため、適切な扱いを心がけてください。


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監修者プロフィール

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前田 昂平

公認会計士

2013年公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人に入所し、法定監査やIPO支援業務に従事。

2018年より会計事務所で文化芸術を事業として行う法人・個人への税務顧問業務を行う傍ら、非営利法人専門の監査法人で公益法人・一般法人の会計監査、コンサルティング業務に従事。

2022年9月に独立開業し現在に至る。

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