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交際費等の損金不算入制度とは? 大企業・中小企業での上限や適用について解説

交際費等の損金不算入制度とは? 大企業・中小企業での上限や適用について解説

企業が支出する交際費等は、損金に算入できるものとできないものとに分けられます。税務上の経費(損金)に計上できないことを、「損金不算入」と言います。

この制度は、2014年の税制改正で一部の内容が変更になりました。企業の規模を問わず大きな変更となっているため、改正後の制度についてきちんと理解しておく必要があります。

変更点も踏まえて、制度の概要を解説します。


この記事の監修者
もりやま会計事務所  公認会計士・税理士 

交際費等の損金不算入制度とは

企業活動で発生する費用には、税務上の経費として計上できないものがあります。

この税務上の経費に計上できないことを、「損金不算入」と言います。

「交際費等の損金不算入制度」は、企業が支払った交際費や接待費を損金不算入にする制度です。

【導入当初】改正前の制度の内容

この制度の導入当初、交際費等の処理は以下のとおりでした。

法人の規模

処理の方法

期末の資本金額または出資金額が1億円超(中小法人以外)

交際費等の全額を損金不算入とする

期末の資本金額または出資金額が1億円以下(中小法人)

交際費等のうち、年間800万円を超えた部分のみを損金不算入とする

(交際費等が800万円以下なら全額が損金算入となる)

しかしこの内容では、中小法人で800万円以上の交際費等が発生した場合は経費として認められず、法人側の負担が大きくなっていたのです。

【現在】改正後の制度の内容

2014年の税制改正により、制度の内容が一部変更されました。

資本金額または出資金額1億円以下の法人(中小法人)は、以下のいずれかを事業年度ごとに選択できるようになったのです。

  1. 交際費等のうち、年間800万円を超えた部分のみを損金不算入とする
  2. 交際費等のうち、接待飲食費の50%相当額を超える金額を損金不算入とする

2は改正で新設された方法で、社内飲食費を除いた交際費に含まれる「飲食費」が帳簿書類に定められた項目を記載した飲食費であれば、その額の50%を損金に算入できるのです。

これにより中小法人は、自社の接待飲食費が800万円を超える場合、1と2を比較して損金になる金額が大きいほうを選択できる仕組みになりました。

中小法人以外も同様に内容が変更され、「全額損金不算入」から「交際費等のうち、接待飲食費の50%相当額を超える金額を損金不算入とする」になっています。

損金不算入制度の必要性

この制度が導入されているのは、公平な課税と税収を実現するためです。

損金は税務上の経費にあたりますが、経費が増えれば税金は減額されます。売上から経費を差し引いたものが利益であり、企業が収める税金はその利益に税率を掛けて算出されるためです。

もし、この制度がなければ、意図的に損金(経費)を多く計上し、税額を不正に抑えられてしまいます。

こうした事態を防ぐために、導入されているのです。


交際費等における損金算入の上限金額

損金算入可能な金額は、法人の規模に応じて上限が定められています。

中小法人以外

資本金1億円超の中小法人以外の場合は、接待飲食費の額の50%相当額までを損金として算入できます。

ただし、資本金100億円超の法人の場合は、交際費等の全額が損金不算入となる点に注意が必要です。

資本金100億円超の法人は、この制度の適用対象外であるためです。

中小法人

資本金1億円以下の中小法人の場合、以下のいずれかを上限額として設定できます。

  • 接待飲食費の額の50%相当額まで
  • 年間800万円まで

上記のどちらにするかは、事業年度ごとに選択できます。交際費等が多額になる年は前者、少なく収まりそうな年は後者といった使い分けも可能です。

個人事業主

個人事業主の場合、上限額はありません。個人事業主は、この制度の対象外であるためです。

ただし個人事業主であっても、適切な交際費の計上が求められます。

意図的に過大に計上していないかをよく考えて、日頃の処理を行ってください。


損金不算入の交際費等の記載ルール

交際費等にはさまざまありますが、よく使うのは接待飲食費でしょう。

接待飲食費は、以下の項目とともに帳簿書類に記載しなくてはなりません。

  1. 飲食等のあった年月日
  2. 飲食等に参加した得意先・仕入先や、その他の事業関係者の氏名・名称・関係性
  3. 飲食等にかかった金額、飲食店等の名前・所在地
  4. その他、飲食等に必要な費用であることを明確にできる事項

もし、実店舗がないといった理由で飲食等をした店の名前や所在地が明確にできないときは、領収書に記載された支払先の氏名や名称、住所などを記載します。

なお、「飲食等」は「飲食その他これに類する行為」と定義されており、以下のような行為にかかる費用も対象です。

  • 得意先の業務の遂行や行事の開催時に差し入れる弁当の費用(弁当代)
  • 店で飲食した後、その店で提供されている飲食物を持ち帰るときの費用(お土産代)

交際費等の損金不算入についてのまとめ

損金に算入できる交際費等の上限金額は、中小法人以外・中小法人とで異なります。

特に中小法人の場合、損金算入の上限額の計算方法が2種類あり、自社の状況に応じて選択可能です。

その事業年度にかかった交際費等の金額によって判断することで、経費として計上できる金額も多くなるかもしれません。

中小法人の方は、自社の交際費の金額を改めて確認してみてください。


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監修者プロフィール

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守山 幸史朗

もりやま会計事務所 公認会計士・税理士

2013年に公認会計士試験合格後、事業会社及び監査法人勤務を経て、2022年にもりやま会計事務所を開業する。

現在は主に関西地方の中小企業をメインに税務顧問のサービスを提供している。ITを積極的に取り入れ、顧客のビジネスのIT化・DX推進を得意としている。

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