クリーニング代の勘定科目と仕訳方法は? 経費にする注意点も押さえよう
従業員の制服や作業着、仕事で必要な衣服の洗濯やクリーニング代は、経費として認められます。
しかし、仕訳に使用できる勘定科目は複数あるため、事情に合わせて選択することが重要です。金額が小さい場合でも税務上の判断が必要になるため、経理担当者の方には適切な知識が求められます。
そこで本記事では、クリーニング代の勘定科目や仕訳例について解説します。クリーニング代の処理方法について悩んでいる、より理解を深めたいという人は、ぜひ参考にしてみてください。
クリーニング代の勘定科目と仕訳
クリーニング代の勘定科目としてよく使われるのは、下記の5つです。
- 福利厚生費:会社から支給された制服や作業着のクリーニング費用を負担する場合
- 外注費:定期的に外部の業者にクリーニングを依頼する場合
- 衛生費:職場を清潔に保つためのクリーニング代を負担する場合
- 雑費:クリーニングを使用する頻度が少なく負担額が少額の場合
- クリーニング費:社内で独自の勘定科目を使用して管理を行う場合
ここでは、それぞれの勘定科目と仕訳例について解説します。
福利厚生費
福利厚生費は、従業員の制服などのクリーニング費用などを処理する勘定科目です。
具体的には、会社で支給された制服や作業着などが対象で、従業員がクリーニング代を立て替えて負担した場合も精算できます。ただし、個人で使用する私服などは該当しないので、注意してください。
従業員の制服のクリーニング代3万円を現金で支払った場合の仕訳例は、以下のとおりです。
借方 |
貸方 |
||
福利厚生費 |
30,000円 |
現金 |
30,000円 |
外注費
外注費とは、業者や業務委託先にクリーニングを依頼した際にかかる費用です。
例えば、事務所や部屋のクリーニング費用や、大量の制服をまとめてクリーニングに依頼した際の費用などが該当します。定期的にクリーニングを依頼している場合に、外注費や業務委託費を使用します。
部屋や制服のクリーニング代5万円を、業者に依頼した際の仕訳例は以下のとおりです。
借方 |
貸方 |
||
外注費 |
50,000円 |
預金 |
50,000円 |
衛生費
衛生費に該当するクリーニング費用は、店舗や事務所の衛生面を維持するために必要な費用を支払った際に使う科目です。
例えば、飲食業や宿泊業で使用するタオルやおしぼりなどのクリーニングにかかる費用は、衛生費に該当します。
おしぼりやタオルのクリーニング代3万円を、現金で支払った場合の仕訳例は以下のとおりです。
借方 |
貸方 |
||
衛生費 |
30,000円 |
預金 |
30,000円 |
雑費
雑費として処理できるのは、普段はクリーニングに出さないものや支出が少額なクリーニング代です。
例えば、従業員の制服が汚れて急遽クリーニングに出す際などに、雑費を使います。
従業員の制服のクリーニング代3千円を現金で支払った場合の仕訳例は以下のとおりです。
借方 |
貸方 |
||
雑費 |
3,000円 |
預金 |
3,000円 |
クリーニング費
クリーニング代の仕訳を、クリーニング費という科目を使用して行うケースもあります。
クリーニングを行うのが頻繁で、年間の支出が高額になる場合にはクリーニング費として仕訳可能です。
従業員の制服のクリーニング代10万円を、預金から支払った場合の仕訳例は以下のとおりです。
借方 |
貸方 |
||
雑費 |
3,000円 |
預金 |
3,000円 |
個人事業主のクリーニング代の勘定科目
ここでは、個人事業主がクリーニング代を経費計上できるのか解説します。
結論からいうと、個人事業主は業務で使用する服のみ処理可能です。事業や業務で使用する服のクリーニング代のみ経費計上できるため、私服のクリーニングにかかる費用は処理できません。
飲食店で使用している制服や工事現場などでの作業着、個人で経営しているマンションの部屋のクリーニング費は、個人でも経費計上できます。
使う勘定科目は主に3つ
個人事業主がクリーニング代を仕訳するときに使う勘定科目は、次の3つです。
- 外注費
- 雑費
- クリーニング費
個人でクリーニング代を処理する場合は、適切な帳簿管理と明確な区分けが重要なので注意しておきましょう。
クリーニング代の勘定科目に関する注意点
クリーニング代の勘定科目に関して、以下の点に注意する必要があります。
- 勘定項目の統一が必要
- 個人事業主は仕事利用での証明が必要
- 領収書が発行されない場合
ここでは、それぞれの注意点について詳しく解説します。
勘定項目の統一が必要
クリーニング代の仕訳ルールとして、一度決めたクリーニング代の仕訳ルールは継続的に同じ勘定科目で記帳し続けなければいけません。
これは、企業会計原則の一つである「継続性の原則」に基づいています。この原則により、会計方針は安易に変更すべきではなく、一貫性が求められるのです。
もし説明のつく理由なしに勘定科目を変更して計上してしまうと、会計上不自然となり、不適切な処理と見なされる可能性があります。そのため、クリーニング代についても一度決めた勘定科目を守り、安易な変更は避けましょう。
個人事業主は仕事利用での証明が必要
個人事業主がクリーニング代を経費として計上する際には、仕事に関連する利用であることを証明する必要があります。
具体的には、経営する店舗内でのみ使用するタオルのクリーニング代は経費として認められますが、私用でも使う衣類や備品のクリーニング代は経費計上すべきではありません。
このように、仕事に欠かせないクリーニングと日常的な利用を明確に区別し、適切に処理することが重要です。
領収書が発行されない場合
無人のコインランドリーでクリーニングを行い、領収書が発行されない場合は注意しましょう。
経費としてクリーニング代を計上するには、領収書やそれに代わる書類が必要です。領収書が発行されない場合は、自身で出金伝票などに、日付・金額などを記入して保存しておくことも有用です。
近年では、領収書を発行できる機種が登場している無人のコインランドリーもあります。ただし、その場合でも別途手続きが発生することがあるので、事前に手続きの流れを確認しておくと良いでしょう。
クリーニング代の勘定科目についてのまとめ
企業で発生するクリーニング代は福利厚生費や外注費など、複数の勘定科目で処理可能ですが、同一の取引は同じ科目で継続して処理する必要があります。
それぞれの勘定科目に対して適切な支出があるため、会社の事情に合わせて選択しましょう。企業規模や業種によってもかかるクリーニング代は変わるため、柔軟な会計処理を行うことが重要です。
ぜひ、この記事を参考にして、クリーニング代の仕訳を正しく行いましょう。