クリーニング代の勘定科目と仕訳方法は? 選ぶ際の注意点も押さえよう

従業員の制服や作業着、仕事で必要な衣服の選択やクリーニング代は、経費として認められます。
しかし、仕訳に使用できる勘定科目は複数あるため、事情に合わせて選択することが重要です。金額が小さい場合でも税務上の判断が必要になるため、経理担当者の方には適切な知識が求められます。
そこで本記事では、クリーニング代の勘定科目や仕訳例について解説します。クリーニング代の処理方法について悩んでいる、より理解を深めたいという人は、ぜひ参考にしてみてください。
クリーニング代の勘定科目と仕訳
ここでは、それぞれの勘定科目と仕訳例について解説します。
- 福利厚生費
- 外注費
- 衛生費
- 雑費
- クリーニング費
福利厚生費
福利厚生費は、従業員の制服などのクリーニング費用などを処理する勘定科目です。
クリーニング費用として該当するものは従業員に対する制服のみで、仕事で使用する服しか認められません。個人で使用する私服などは該当しないので、注意してください。
例えば、従業員の制服のクリーニング代3万円を現金で支払った場合の仕訳例は、以下のとおりです。
借方 |
貸方 |
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福利厚生費 |
30,000円 |
現金 |
30,000円 |
外注費
外注費とは、業者や業務委託先にクリーニングを依頼した際にかかる費用です。
例えば、事務所や部屋のクリーニング費用や、大量の制服をまとめてクリーニングに依頼した際の費用などが該当します。
定期的にクリーニングを依頼している場合に、外注費や業務委託費を使用します。
今月の部屋や制服のクリーニング代5万円を、業者に依頼した際の仕訳例は以下のとおりです。
借方 |
貸方 |
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外注費 |
50,000円 |
預金 |
50,000円 |
衛生費
衛生費に該当するクリーニング費用は、店舗や事務所の衛生面を維持するために必要な費用を支払った際に使う科目です。
例えば、飲食業や宿泊業で使用するタオルやおしぼりなどのクリーニングにかかる費用は、衛生費に該当します。
おしぼりやタオルのクリーニング代3万円を、現金で支払った場合の仕訳例は以下のとおりです。
借方 |
貸方 |
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衛生費 |
30,000円 |
預金 |
30,000円 |
雑費
雑費として処理できるのは、普段はクリーニングに出さないものや支出が少額なクリーニング代です。
例えば、従業員の制服が汚れて急遽クリーニングに出す際などに、雑費を使います。
従業員の制服のクリーニング代3千円を現金で支払った場合の仕訳例は以下のとおりです。
借方 |
貸方 |
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雑費 |
3,000円 |
預金 |
3,000円 |
クリーニング費
クリーニング代の仕訳を、クリーニング費という科目を使用して行うケースもあります。
クリーニングを行うのが頻繁で、年間の支出が高額になる場合にはクリーニング費として仕訳可能です。
従業員の制服のクリーニング代10万円を、預金から支払った場合の仕訳例は以下のとおりです。
借方 |
貸方 |
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雑費 |
3,000円 |
預金 |
3,000円 |
個人事業主のクリーニング代の勘定科目
ここでは、個人事業主がクリーニング代を経費計上できるのか解説します。
結論からいうと、個人事業主は業務で使用する服のみ処理可能です。
事業や業務で使用する服のクリーニング代のみ経費計上できるため、私服のクリーニングにかかる費用は処理できません。
飲食店で使用している制服や工事現場などでの作業着、個人で経営しているマンションの部屋のクリーニング費は、個人でも経費計上できます。
使う勘定科目は主に3つ
個人事業主がクリーニング代を仕訳するときに使う勘定科目は、次の3つです。
- 外注費:定期的に外部の業者にクリーニングを依頼する場合
- 雑費:少額かつ頻度が少ないクリーニングの場合
- クリーニング費:頻繁に支出があり費用が高額な場合
個人でクリーニング代を処理する場合は、適切な帳簿管理と明確な区分けが重要なので注意しておきましょう。
クリーニング代の勘定科目に関する注意点
クリーニング代の勘定科目についての注意点は、同一の取引の場合には、会社内で勘定科目を統一することです。
会社全体で使用する勘定科目を統一しないと、管理が難しくなるだけでなく、税務署から不審な目で見られる可能性があります。
同一の取引について、部署によって違う科目を使用することがないように会社内で情報共有しておくことが重要です。
また、個人の場合には仕事だけで使用していることが証明できなければ経費計上できません。
仕事に必要でプライベートでは使用していない場合のみ、クリーニング代を処理できるので注意が必要です。
クリーニング代の勘定科目についてのまとめ
企業で発生するクリーニング代は福利厚生費や外注費など、複数の勘定科目で処理可能ですが、同一の取引は同じ科目で継続して処理する必要があります。
それぞれの勘定科目に対して適切な支出があるため、会社の事情に合わせて選択しましょう。
企業規模や業種によってもかかるクリーニング代は変わるため、柔軟な会計処理を行うことが重要です。
ぜひ、この記事を参考にして、クリーニング代の仕訳を正しく行いましょう。