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固定資産除却損とは? 対象資産や計算・仕訳方法をわかりやすく解説!

固定資産除却損とは? 対象資産や計算・仕訳方法をわかりやすく解説!

廃棄などの理由によって、減価償却期間中に固定資産を使用しなくなった場合は、帳簿から取り除く必要があります。また、減価償却が終了した場合にも、同様の対応が必要です。

このことを「固定資産除却」といい、「固定資産除却損」の勘定科目を用いて処理します。

固定資産除却損の仕訳は、処分費の有無や耐用年数経過後に、資産を除却するかどうかによって異なります。

この記事では、経理担当者の方向けに固定資産除却損の概要や、損益計算書上の位置付け、計算方法、仕訳例などをわかりやすく解説します。


この記事の監修者
  公認会計士 / SAP-FI認定コンサルタント / 基本情報技術者 

固定資産除却損とは

固定資産の減価償却が終了した場合や、減価償却期間中の固定資産を使わなくなって破棄した場合などに帳簿から取り除くことを、固定資産除却といいます。

固定資産除却によって発生した損失は、固定資産除却損の勘定科目で処理します。

除却できる固定資産は、現在使用しておらず、今後も使用見込みがないものに限られます。

耐用年数が過ぎている車両や、価値がなくなった不動産などの場合でも、使用が見込まれるのであれば除去はできません。

貸借対照表での位置付けは「特別損失」

固定資産の除却損は、損益計算書上、特別損失として扱います。

バランスシートに計上されている固定資産のうち、使用しなくなった固定資産の帳簿価額相当分を、特別損失に計上します。

節税との関係

固定資産台帳を定期的にチェックし、使用していない固定資産があれば除去するというプロセスは、資産管理の観点において重要といえます。

例えば、新しい資産を購入した時に、以前に使用していたものを使わなくなるケースです。その都度、除却対象となる資産がないかを、確認する習慣をつけておくとよいでしょう。

また、固定資産の適切な管理は、節税にもつながります。

除却を実行した年は、残存簿価相当分が損金算入されることとなり、税金の支払いが少なくなるためです。

節税の観点からは、耐用年数が比較的長く、残存簿価がある資産を優先的に確認すべきといえます。


固定資産除却損の対象資産

固定資産除却損の対象となるのは、次のような固定資産です。

  • 建物(不動産)
  • 建物付属設備
  • 機械装置
  • 車両運搬具
  • 工具器具備品
  • ソフトウェア

除却する際は、対象資産の名称で「◯◯除却損」とします。

ただし、その固定資産を使っていないことが証明できない場合は、税務調査に引っかかることがあります。

除去してあることが証明できない場合も同様なので、注意しましょう。


固定資産除却損の計算方法

ここでは、具体的な例をあげて固定資産除却損の計算方法を解説します。

<取引の前提>
取得原価:1,000万円
耐用年数:10年
減価償却方法:定額法
償却率:0.100

上記の固定資産を、取得から8年後の年度末に除却した場合、帳簿価額である200万円が固定資産除却損として計上されます。

1,000万円 - (1,000万円 × 0.100 × 8年分)= 200万円

また、耐用年数経過後に除却をした場合には、残存簿価である1円が固定資産除却損として計上されます。

なお、期中に除却を行う場合には、月割計算が必要となりますので注意しましょう。


固定資産除却損の仕訳方法

ここでは、固定資産除却損の仕訳方法を紹介します。

耐用年数経過後に除却する場合の例が、最も一般的なケースです。その他、処分費の有無などによる仕訳方法の違いも見ていきましょう。

取引の前提は、すべての仕訳例に共通して次の通りとします。

<取引の前提>
取得原価:1,000万円
耐用年数:10年
減価償却方法:定額法
償却率:0.100

仕訳例:耐用年数経過後に除却する場合

例)耐用年数経過後に除却する場合は、残存簿価1円を「固定資産除却損」とします

借方

貸方

減価償却累計額 9,999,999円

有形固定資産 10,000,000円

固定資産除却損 1円

仕訳例:処分費が発生しない場合

例)8年後の年度末に除却した場合

借方

貸方

減価償却累計額 8,000,000円

有形固定資産 10,000,000円

固定資産除却損 2,000,000円

仕訳例:処分費が発生する場合

例)8年後の年度末に除却し、処分費用10万円が発生する場合

借方

貸方

減価償却累計額 8,000,000円

有形固定資産 10,000,000円

固定資産除却損 2,100,000円

現金預金 100,000円

仕訳例:廃材に価値がある場合

例)8年後の年度末に除却し、廃材に30万円の価値がある場合(廃材は除却と同時に売却)

借方

貸方

減価償却累計額 8,000,000円

有形固定資産 10,000,000円

固定資産除却損 1,700,000円

現金預金 300,000円


損金算入に重要な「固定資産除却の証明」

固定資産を除去してあることが証明できない場合は、税務調査に引っかかることがあります。

廃棄証明書や廃車証明書は、固定資産を除去した証明になるため、大切に保管しておきましょう。

廃棄証明書が取得できない場合は、廃棄後の写真や、除却に関連する稟議書・議事録、廃棄にかかった費用の請求書・領収書なども、廃棄を証明する書類として活用できます。

固定資産を処分する費用が捻出できない場合や、帳簿上は除去されていても形が残っている場合などは、「有姿除却」を行うことになります。

この場合は、該当の固定資産を今後使用しないことを、証明しなければなりません。


固定資産除却損についてのまとめ

固定資産除却損の仕訳方法は、条件によって異なるため、内容をよく確認しながら計上することが大切です。

また、定期的に固定資産台帳をチェックし、使用していない固定資産を除去することで、適切な資産管理や節税にもつながります。

この機会に、社内で固定資産を適正に管理するための体制を構築してはいかがでしょうか。


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監修者プロフィール

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赤羽 応介

公認会計士 / SAP-FI認定コンサルタント / 基本情報技術者

公認会計士として10年以上にわたり、監査業務やコンサルティング業務(IFRS導入支援、BPR支援、J-SOX対応支援、システム導入支援等)といった実務に従事。

その他、専門誌への寄稿やセミナー講師等を経験し、ブログ「公認会計士によるわかりやすい解説シリーズ」にて会計、税金、ITに関する情報を発信している。

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