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寄付金の勘定科目の扱い方は? その分類や仕訳例、処理時の注意点を解説

監修者:もりやま会計事務所 公認会計士・税理士  守山 幸史朗

寄付金の勘定科目の扱い方は? その分類や仕訳例、処理時の注意点を解説

寄付金は、組織や団体に個人または法人から無償で提供される金銭や資産です。ただし、名目上は寄付だとしても、実際は寄付金として取り扱われない場合があります。

また、寄付金の処理方法は寄付の分類や個人や法人によっても変わるため、正しい知識が必要です。

そこでこの記事では、寄付金の正しい会計・税務上の処理や消費税の取り扱いなどの注意点について解説します。ぜひ参考にしてみてください。


勘定科目「寄付金」とは

寄付金とは、組織や団体に対して個人や法人が見返りを求めずに提供する金銭や資産などです。見返りを求めずに、無償で資産や経済的利益を提供するというのがポイントです。

金銭、その他の資産または経済的利益の贈与または無償の供与を行った場合は、協賛金や拠出金、見舞金などの名目に関わらず、寄付金として取り扱われることがあります。


寄付金は3つに分類される

ここでは、法人税法上の寄付金の分類について解説します。

1.国や地方公共団体への寄付金・指定寄付金

国や地方公共団体への寄付金とは、例えば国や地方公共団体が運営する公立学校や、図書館などに対しての寄付です。震災などによる支援金についても、国や地方公共団体へ直接寄付をした場合は、国や地方公共団体への寄付金に該当します。

指定寄付金は、財務大臣から指定された組織や団体への寄付金です。指定寄付金は一般に募集されていて、オリンピック開催や学校法人の教育研究など、公益性及び緊急性が高いものが該当します。

これらの寄付金は、寄付した全額を損金算入できるのが特徴です。また「認定地方公共団体のまち・ひと・しごと創生寄附活用事業」のものであれば、一定の税額控除も受けられます。

2.特定公益増進法人などへの特定寄付金

特定寄付金とは、特定公益増進法人などへの寄付が該当します。通常の寄付金とは別で計算するのがポイントです。

日本赤十字社、公益社団法人、公益財団法人、自動車安全運転センター、一定の学校法人などは特定公益増進法人に該当します。

また、公的活動への支援を目的にした、信託と財務大臣に認定されたものを指す特定公益信託や、公益性の高いNPO法人である認定法人に対する寄付なども特定寄付金とされます。

前述の、特定公益増進法人への寄付金と合わせて、以下の計算式を限度として損金として算入可能です。

〔(資本金の額+資本準備金の額)×当期の月数÷12×0.375%+所得金額×6.25%)〕×1/2

3.その他の寄付金

その他の寄付金は、これまでの分類に該当しない寄付金です。その他の寄付金は一般の寄付金として、損金算入の限度額が定められています。

以下の計算式で、損金算入限度額が計算できます。

〔(資本金の額+資本準備金の額)×当期の月数÷12×0.25%+所得金額2.5%)〕×1/4


寄付金が損金として認められるのはなぜか

ここでは、寄付金が損金として認められる理由を紹介します。

法人も社会の一員であるから

そもそも法人は個人のように人格を持つものではないですが、社会にとって法人は重要な存在です。

法人は社会全体を支えて、人々の生活にも貢献しているため、社会の一員と判断できるため寄付が認められています。

営利追求が前提のため上限がある

寄付金が損金として認められていますが、法人は営利追求が前提のため上限が設けられています。

というのも、限りなく寄付金を損金として算入できると、不適切な節税も実現できてしまうため、それを避けるために限度額が定められています。

税金を逃れるための寄付ではなく、本来の目的に沿った寄付をするためにも限度額が重要です。


寄付金の仕訳方法

ここでは、寄付金の仕訳方法を紹介します。

基本の仕訳例

A社は日本赤十字社に1,000,000円の寄付を行った。

▼その仕訳方法

借方

貸方

寄付金 1,000,000円

現金 1,000,000円

交際費としての仕訳例

A社は飲食業を営む得意先B社の新規出店の開店祝いとして花を贈った。

▼その仕訳方法

借方

貸方

交際費 10,000円

現金 10,000円

広告宣伝費としての仕訳例

A社は地元の花火大会のための協賛金1,000,000円を支払った。これは花火大会のホームページ・パンフレットにA社の社名が記載されることによる広告宣伝効果を見込んだものである。

▼その仕訳方法

借方

貸方

広告宣伝費 1,000,000円

現金 1,000,000円


寄付金を処理する際の消費税の取り扱い

寄付金を処理する際の消費税の取り扱いについて、結論から言うと寄付金自体に消費税がかかることはありません。

寄付金は対価を求めず無償で金銭や資産を譲渡するため、不課税取引として取り扱われるからです。

寄付金の法人税法上の取り扱いについては、寄付金の区分によっては損金算入限度額があります。

また、自社の行った支出が寄付であるのか、交際費であるのか、または、広告宣伝費であるのかなどによって所得に影響を与えるため、十分な検討が必要です。

寄付金であるかどうかは「見返りを期待しない支出」であるかどうかがポイントとなります。

また、時価より低い金額で物品の譲渡や、経済的利益の供与を行った場合にも、時価と対価との差額が寄付金として取り扱われます。低額譲渡等も寄付金になる可能性があることを、頭の片隅に置いておきましょう。


寄付金の勘定科目についてのまとめ

寄付金は見返りを求めず無償で提供する金銭や資産を指します。個人や法人が組織や団体に対して無償で経済的利益を提供するのがポイントです。

会計・税務上の処理は交際費や広告費との区別が必要になり、寄付でないものもあるため注意しておきましょう。寄付金を処理する際には、それぞれの分類を理解して、適切な処理を行う必要があります。

寄付金を正しく処理できるように、ぜひこの記事を参考にしてみてください。


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監修者プロフィール

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守山 幸史朗

もりやま会計事務所 公認会計士・税理士

2013年に公認会計士試験合格後、事業会社及び監査法人勤務を経て、2022年にもりやま会計事務所を開業する。

現在は主に関西地方の中小企業をメインに税務顧問のサービスを提供している。ITを積極的に取り入れ、顧客のビジネスのIT化・DX推進を得意としている。

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