経費精算の「めんどくさい」を解消!業務効率化する方法とは?

経費精算は、どの企業でも必要な処理ですが、件数が多いとミスが発生しやすくなります。
経理担当者に負担がかかるだけでなく、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応も必要になり、マンパワーでの対応に難しさを感じている方も多いのではないでしょうか。
新制度の開始を機として、経理のDX(デジタル・トランス・フォーメーション)が加速しており、多くの企業で経費精算システムの導入が進んでいます。
経費精算システムは、経費の申請や承認、支払いといった一連の業務の効率化に役立ちます。申請内容の不備やミスを指摘してくれるものもあり、経費精算の「めんどくさい」を解消してくれるでしょう。
本記事では、経費精算システムの概要や導入するメリット、おすすめのシステムなどを解説します。
経費精算のよくある悩み・リスク
経費精算では、次のような悩みや不安が現場からよく聞かれます。
- 申請内容に不備や誤りが多い
- 書類を保管するスペースがない
- 新たな法制度への対応に追われている
まずは、経費精算のよくある悩み・リスクを理解しましょう。それによって、経費精算システムの導入で、経理業務がどのように変わるのかがイメージしやすくなります。
申請内容に不備や誤りが多い
経費精算は、一般社員から経理に経費精算書や領収書を提出する流れが一般的です。
しかし、経費精算書の入力ミスや、領収書に宛名がないなどの不備によって、書類を提出した一般社員に差し戻しをすることも珍しくありません。
ミスがあると、再提出された経費精算書や領収書に問題がないかを、経理担当者が改めて確認する手間も増えます。単純な書類の書き間違いであれば、すぐに対応できることもあるでしょう。
しかし、一般社員が忙しく、なかなか対応してもらえない可能性もあります。また、そもそもの経費精算のフローが複雑で、一般社員が正しく理解できていないケースもあるでしょう。
書類を保管するスペースがない
一般社員から提出された経費精算書や領収書などは、原則7年間の保管が必要です。
しかし、日々提出される経費精算書や領収書を保管すると、それだけでかなりのスペースを確保しなければなりません。
スペースに余裕がないオフィスの場合は、保管場所を作るだけでも大きな労力がかかります。
新たな法制度への対応に追われている
経理に関する法制度は頻繁に変更されていますが、なかでもインボイス制度は現場へのインパクトが大きい制度変更といえます。
課税事業者と免税事業者を区分し、受領したインボイスが要件を満たしているかどうか確認が必要になるため、経理担当者の負担が以前より大きくなっています。
また、「電子帳簿保存法」の改正によって、企業には次の対応が求められています。
保存区分 | 対応する内容 |
---|---|
①電子帳簿等保存 | 自社で電子的に作成した帳簿や決算関係書類などをすべて電子データで保存する |
②スキャナ保存 | 紙で受領・作成した書類(注文書・請求書・領収書など)を画像データで保存する |
③電子取引データ保存 | 電子的に授受した取引情報(注文書・請求書・領収書など)をデータで保存する |
参考:経済産業省 どうすればいいの?「電子帳簿保存法」
参考:国税庁 電子帳簿保存法 電子取引データの保存方法をご確認ください
上記のうち、2024年1月からは③の電子取引が義務化されました。
紙でやり取りした注文書や請求書をデータ化する必要はありませんが、データで受け取った書類に関しては、印刷したものではなく元のデータを保存することが定められています。
ルール違反が発覚すると、青色申告を行う資格が取り消されるほか、追徴課税や過料が科される場合があります。
経費精算システムとは?
ここからは、経費精算システムについて詳しく解説します。
経費精算システムを導入すると、経費精算書や領収書の不備・不足への対応、書類の保管場所の確保、新しい会計制度の遵守といった悩みが解消され、経理担当者が煩雑な精算業務を行う必要がなくなります。
経費精算システムでできること
経費精算システムの機能はツールによって異なりますが、一般的には次のような機能が備わっています。
- 領収書の自動読取・入力
- 申請された経費の自動仕訳
- 経費の振込データの自動作成
- 申請された経費の承認のデジタル化
- ほかの会計ソフトとの連携
- クレジットカード・ICカードとの連携
経理担当者が紙の領収書を見ながらパソコンに金額などを入力する手間を省けるのはもちろん、一般社員による経費申請や、経費の内容を確認・承認するフローもシステム上で完結させることが可能です。
経費精算システムのしくみ

経費精算システムは、一般社員と管理職(決裁権限者)、さらには、管理職と経理担当者との間に介入し、経費の入力から処理までをサポートしてくれるツールです。
経費精算は、一般的に次のようなフローで実施されます。
- 一般社員が必要書類をそろえて、管理職(決裁権限者)に経費の申請をする
- 申請された経費の内容を管理職がチェックし、問題なければ承認する
- 承認された内容を踏まえて、経理担当者が経費の仕訳と一般社員への払い戻しをする
各工程で発生する、一般社員・管理職・経理担当者間のやり取りがシステムで一元化されるため、大幅な業務効率化が実現します。
経費精算システム導入のメリット3つ
経費精算システムを導入する代表的なメリットは、次の3点です。
- 経費処理の正確性・効率性・透明性がアップする
- コストとスペースの削減につながる
- インボイス制度や電子帳簿保存法への対応がしやすくなる
経費処理の正確性・効率性・透明性がアップする
紙による経費処理を、経費精算システムでの処理に変更すると、次のような効果が期待できます。
- 経費精算書や領収書などの不備・誤り防止
- 経費処理フローの簡略化・明確化
- 申請内容の透明性向上(不正防止)
経費精算システムでは、領収書の写真を撮るだけで内容が反映されるなどの自動化機能が備わっています。また、入力漏れがあると経費処理の申請ができないなど、ヒューマンエラーを防止するための機能も充実しているのが大きなメリットです。
経費の透明性が向上し、一般社員による不正利用の防止にも役立つでしょう。
コストとスペースの削減につながる
経理処理がスムーズになり、電子化が進むことで、次のような費用を削減しやすくなります。
- 経理担当者の残業代
- コピー用紙代
- 書類の保管に使う収納ボックスやスペース代
月末・月初や年度末などに発生しやすくなる経理担当者の残業時間が短縮されると、人件費の削減だけでなく、働き方改革にもつながるでしょう。また、紙の注文書や請求書が減ることで、コピー用紙代や保管場所の賃料などの経費も削減可能です。
インボイス制度や電子帳簿保存法への対応がしやすくなる
経費精算システムは、インボイス制度や電子帳簿保存法に対応しているものが数多くあります。
インボイス制度に対応しているシステムを使えば、煩雑な確認作業や計算をする手間が省けるだけでなく、処理や計算ミスも発生しづらくなるでしょう。
電子帳簿保存法に対応しているシステムなら、領収書や請求書といった書類の電子データをシステム上にアップロードできます。管理の手間やコストの削減が可能になり、データの紛失にも備えられる点がメリットです。
経費精算システムの選び方
経費精算システムを選ぶ際は、「自社の企業規模」と「求める機能」の2つの視点を意識するとよいでしょう。
経費精算システムには、さまざまな種類がありますが、細かく見ると次のように対象としている企業の規模が異なります。
- 大企業・中堅企業向け
- 中小企業向け
- 小規模事業者向け
大まかな傾向として、大企業・中堅企業向けのものほど、機能性・カスタマイズ性が高く、費用も高めに設定されています。中小企業向けや小規模事業者向けのものは、安価なものが多くなっていますが、使用できる機能やアフターサポートに制限が設けられていることが多いので注意が必要です。
自社の企業規模と予算を踏まえたうえで、経費精算システムに求める機能を明確にしておきましょう。
現場の経理担当者にヒアリングを行い、希望する機能をピックアップして優先順位を付けておくと検討がスムーズです。
経費精算システムを導入する際の注意点
経費精算システムは便利なシステムですが、導入を検討する際は、次の点に注意して選びましょう。
- 導入時にはコストと時間がかかる
- 連携可能な外部システムは経費精算システムによって異なる
- セキュリティ対策にも注意を払う
特に、紙の申請書で経費精算を行っている企業の場合、社内全体にシステムの使い方が浸透するまでには相当の時間がかかると考えたほうがよいでしょう。
デジタルツールの利用に慣れていない社員がシステムを使いこなせず、かえって経費申請が遅れるなどの影響があるかもしれません。
自社で使用中の会計システムや基幹システムと連携させたい場合は、導入を検討中の経費精算システムとの連携が可能かどうかも確認が必要です。
また、経費精算システムは、一般社員の個人情報や社内の財務情報といった重要な情報を管理するシステムであることから、セキュリティ対策もしっかりとチェックしましょう。インターネット上にデータが保存されるクラウド型のシステムは、使いやすい一方で、不正アクセスの懸念もあります。
【おすすめ】経費精算システム2選
経費精算システムは、経理担当者のみならず、一般社員・管理職の手間も省ける便利なツールです。しかし、非常に種類が多く、導入候補を絞り込むだけでも一苦労でしょう。
ここでは、特におすすめの経費精算システムを2つ紹介します。参考情報として、それぞれのシステムに合った企業規模も記載しました。
freee経費精算Plus - freee株式会社
- スマホで領収書などの写真を撮るだけで申請、オンラインで承認まで完結できる
- レポート機能でプロジェクトや部門ごとにレポート作成や分析ができる
- 稟議、承認、申請などのワークフローも対応可能
マネーフォワード クラウド経費 - 株式会社マネーフォワード
- クレジットカードと連携し、明細データを自動取得できる
- スマホカメラで撮影で日付や金額も自動データ化
- 申請・承認者間でやり取りできるチャット機能
- 二重申請は重複アラートで事前検知
まずはどのような経費精算システムがあるかを知ろう
経費精算システムは、経理担当者・一般社員・管理職(決裁権限者)の業務負担を低減できるツールです。また、経理業務の自動化・電子化によってヒューマンエラーを未然に防ぐことで、人件費の削減にもつながるでしょう。
経理担当者の負担を減らし、社内全体の業務効率化・コスト削減を推進するためにも、経費精算システムの導入を検討してはいかがでしょうか。
数ある経費精算システムの中からビズオーシャンがおすすめのシステムを厳選し、比較資料にまとめました。
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