販売管理システムと会計システムの違い|目的や機能の違いを解説

販売管理システムと会計システムは、管理する範囲に違いがあります。販売管理システムは、お金と商品の流れを管理し、売上状況や販売状況を把握できます。
一方で、会計システムはお金の流れを管理し、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を一目で把握できるシステムです。
本記事では、販売管理システムと会計システムの機能や目的、利用者の違いを分かりやすくご紹介します。
販売管理システムと会計システムの基本的な違い
販売管理システムは、お金と商品の動きを管理し、会計システムは、お金の動きのみを管理するシステムです。ここでは、各システムの機能の違いについて詳しく説明します。
販売管理システムの主な機能
販売管理システムは受注から出荷、請求まで、お金と商品に関する流れを管理するシステムです。販売管理システムには、販売に関する機能・在庫管理に関する機能・購買に関する機能の3つがあります。
対応できる内容は、それぞれ以下の通りです。
機能 |
できること |
販売に関する機能 |
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在庫管理に関する機能 |
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購買に関する機能 |
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販売に関する機能では、見積書、受注書などの書類を作成したり、検索したりできます。在庫管理に関する機能では、自動で在庫数や入荷数を計算できるため、棚卸時の在庫管理にかかる負担を軽減できます。
また、購買に関する機能では、商品をいつ、どのくらい仕入れるのかを自動で算出できるうえ、それに伴う支払に関する業務も管理が可能です。お金・商品の動きを一元的に管理することで、在庫管理などが容易になります。
会計システムの主な機能
一方、会計システムはお金の動きを管理するシステムで、財務諸表の作成に役立ちます。販売管理システムのように、お金の動きに付随する在庫管理などの業務は行えません。会計システムでできることは、以下の通りです。
- お金の動きや決算
- 日々の支出・売上の記録
- 財務諸表の作成
お金の動きや決算では、会社の資金が何にどのくらい使われたのかを記録します。日々の支出・売上では、取引で発生するお金の動きを仕訳として記録します。
また、会計システムでは財務諸表の作成もでき、決算業務にかかる負担の軽減が可能です。システム上で管理することで、人的ミスも減らせるため、業務効率の向上に役立ちます。
販売システムと会計システムの処理内容と利用者の違い
販売管理システムと会計システムは、利用者にも違いがあります。ここではそれぞれのシステムを誰が主に利用しているのか、詳しく見ていきましょう。
販売管理システムの主な利用者
このシステムの利用者は、主に以下の三者です。
- 営業担当者
- 販売管理者
- 物流担当者
これらの担当者が随時データを入力・参照することで、販売状況を共有できます。
会計システムの主な利用者
このシステムは、以下のような人たちが多く利用します。
- 経理担当者
- 財務責任者
- 経営者
販売システムと会計システムから得られる情報の違い
販売管理システムと会計システムは、それぞれ異なる種類の情報を提供します。ここでは、各システムから得られる情報を詳しく紹介します。
販売管理システムが提供する経営情報
販売管理システムでは、売上動向や在庫状況など、日々の営業活動に直結する情報を確認できます。具体的には以下の通りです。
商品別売上情報 |
どの商品がよく売れているか、売上の季節変動はあるか |
在庫情報 |
商品ごとの在庫状況・回転率 |
受注管理 |
受注の進捗状況、納品状況 |
これらの情報を活用することで、売れ筋商品を把握して重点的に在庫を確保したり、顧客の購買パターンに合わせてキャンペーンを企画したりできるでしょう。
会計システムが提供する財務情報
会計システムでは、企業全体の財務状況が確認できます。主に作成される書類は、損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書などです。
それぞれの表から読み取れることを、以下の表でまとめました。
損益計算書 |
会計期間中の売上、費用、利益 |
貸借対照表 |
会計期間中の資産、負債、純資産 |
キャッシュ・フロー計算書 |
現金の動きと、なぜ動いたのか(理由) |
また、外部の利害関係者へ提出することを目的とした財務会計のほかに、企業の経営者の意思決定を目的とした、管理会計書類の作成も可能です。
両システムを効果的に活用しよう
販売管理システムと会計システムには、管理できる情報に大きな違いがあります。販売管理システムは、見積や請求、仕入などお金と商品に関する動きを管理し、会計システムは財務諸表の作成に関するお金の流れを管理するシステムです。
これらのシステムを活用することで人的ミスが減り、より正確で迅速に、経営状況を把握できます。さらにデータが自動化されることで、業務効率の向上も期待できるでしょう。
本記事を参考にそれぞれの違いを理解し、各システムを有効活用してください。