タイムスタンプとは? 電子帳簿保存法の改正ポイントを詳しく紹介!
電子帳簿保存法対応の一環として、これまで多くの企業で利用されてきた「タイムスタンプ」。法改正により、その要件が緩和され、実務レベルでもさらに利用しやすくなっているのをご存知ですか?
今回の記事では、タイムスタンプの仕組みと、法改正後にどのような変更があったのかを詳しく解説します。
電子帳簿保存法に対応しようとしている企業担当者の方は、ぜひご一読ください。
タイムスタンプとは
タイムスタンプとは、電子文書を日付と時刻で記録する仕組みのことです。ある時刻にその電子文書が存在していたことと、その後、改ざんされていないことを証明します。
タイムスタンプの目的
電子文書は紙の文書と比べて、検索がしやすいことやメールで簡単に送ることができるというメリットがあります。一方で簡単に書き換えられる上に、どこが書き換えられたかが見つけにくいという点がデメリットです。
タイムスタンプは、電子文書がいつから存在し、その後改ざんされていないことを証明するために付与されます。
今までは紙に印鑑を押すことで、その書類の信頼性を保証していましたが、紙に押す印鑑の代わりに、文書データにタイムスタンプを付与しているのです。
タイムスタンプの仕組み
電子文書にタイムスタンプを付与する時に、電子文書から「ハッシュ値」という唯一無二の情報を取得します。
これを時刻認証局(TSA)という機関に送った時点で、日付と時刻情報を取得し、タイムスタンプとして利用できる仕組みです。
電子文書の内容が1文字でも変われば、ハッシュ値も変わってしまいます。この特徴を活用して、タイムスタンプではデータが改ざんされていないかを検証できるようになっています。
2020年の法改正で一部不要に
改正前は、電子文書を送る側と受け取る側の両方のタイムスタンプが必須と、要件がとても厳しく定められていました。
しかし、2020年の法改正により、発行者のタイムスタンプのみでも認められるように変わりました。
要件が緩和したことにより、電子化へのハードルがさらに下がったため、ペーパーレス化による業務効率のアップも狙えるようになりました。
2021年の法改正で、スキャナ保存や電子取引のタイムスタンプ要件の緩和も
2021年の法改正前は、受領者本人がスキャナ保存により電子化する場合は、自署の上おおむね3営業日以内にタイムスタンプを付与する必要がありました。
2021年の法改正によって、最長2ヶ月とおおむね7日以内という余裕のある期間に変更となっています。さらに、電子文書を正しく保存できるシステムを利用すれば、タイムスタンプも不要になるなど、要件の緩和が進みました。
改正前は要件が厳しく、実務レベルで導入できる企業も限られていました。しかし、法改正によって作業負担が軽減されたため、これまで導入できなかった企業も取り入れやすくなりました。
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電子契約システムとは? 導入メリットや選び方を徹底解説タイムスタンプの利用方法
電子文書にタイムスタンプを付与するには、専用のシステムが必要です。電子帳簿保存法や電子契約の普及により、様々なシステムが登場しています。
これらのシステムを利用してタイムスタンプを付与するには以下の手続きが必要です。
- 認められた事業者(TSA)との契約
- 対応した会計システムの導入
上記の手続き後、次の流れでタイムスタンプが付与されます。
- 対象となる書類を準備
- 書類をスキャン
- 画像データを会計システムにアップロード
- 画像データにTSAがタイムスタンプを付与
日本データ通信協会から認定を受けている事業者
一般財団法人日本データ通信協会から「タイムビジネス信頼・安心認定制度」の認定を受けているタイムスタンプ事業者(TSA)とサービスは、以下の通りです。
- アマノ(株)ー アマノタイムスタンプサービス3161
- セイコーソリューションズ(株)ー セイコータイムスタンプサービス
- (株)TKC ー TKCタイムスタンプ
- 三菱電機インフォメーションネットワーク(株)ー MINDタイムスタンプサービス
- (株)サイバーリンクス ー サイバーリンクス タイムスタンプサービス
タイムスタンプは、認定を受けている上記の事業者のみが付与可能となっています。
タイムスタンプは、電子帳簿保存法に必要な技術
電子データの信頼性を証明するために必要な技術である「タイムスタンプ」は、今後さらに利用の加速が予想される技術です。
デジタルデータを唯一無二の信頼できる存在にできるタイムスタンプは、今後もさまざまな場面で活用が期待されています。
業務上のコスト削減や、業務の効率化、さらにはデータ改ざんからの防御手段としても、タイムスタンプを活用した電子帳簿保存法への対応を進めましょう。