電子帳簿保存法を導入するまでのステップを紹介! 導入時の注意点はある?
電子帳簿保存法は、過去数回の改正により活用しやすい環境が整ってきました。
ただ、利便性が高いからと言って闇雲に導入することはおすすめできません。導入するまでのステップをしっかりと踏み、効率よく導入する必要があります。
では、電子帳簿保存法を導入するまでにどのようなステップを踏めば良いのでしょうか?
この記事では、導入までのステップを紹介するとともに、注意点について詳しく解説します。
電子帳簿保存法導入の流れ
電子帳簿保存法導入の流れとして、以下のステップを踏んで進める必要があります。
- 導入する目的を明確にする
- 業務フローを決める
- 社内ルールを作成する
- 電子保存システムの導入
- 運用を開始する
各ステップについて、詳しく解説します。
導入する目的を明確にする
電子帳簿保存法に対応すると、一定の帳簿や書類の電子保存が可能になり、電子取引に係る電子データの電子保存が義務化されます。
しかし企業の中にはそれ以外の紙の書類や、電子データもたくさんあるでしょう。
電子帳簿保存法だけに注視し、それだけに対応するのか、はたまた、ペーパーレスの実現や、全社的なシステム改革を行うための1つの手段として電子帳簿保存法への対応を行うのか、社内で議論を深め、導入する目的をしっかりと検討する必要があります。
これを機に、ペーパーレスの実現や、全社的にシステム改革をするなど、電子帳簿保存法だけに目を向けるのではなく、全社的に取り組むのも良いでしょう。
業務フローを決める
電子帳簿保存法を導入する目的を明確にしたら、実際に導入後にどのように運用するのかを決定します。
なぜなら、電子帳簿保存法の導入に伴い、大きく業務フローの変更が必要となるからです。
例えば、従来ファイリングして保存していた紙の書類を電子データとして保存する場合、タイムスタンプの付与など、電子帳簿保存法の求める一定の要件を満たした電子データで保存する必要があります。
対応しているデバイスが限られたり、保存する際のシステムが一部のデバイスでしか行えないと、多くの方が一斉に作業できずに、順番待ちしなければならないなどの問題点も想定されます。
業務フローを明確にして、運用の前に効率の良い制度設計をしておきましょう。
社内ルールを作成する
近年、会計の不正が多発しており、企業のガバナンスの強化が求められています。そのため、電子帳簿保存法導入時にも、社内で不正が起きないような社内ルールを作成しましょう。
電子保存システムの導入
電子保存したものを容易に検索・管理できる、電子保存システムの導入も検討が必要です。
自社開発することも可能ですが、規模の小さな企業でシステム開発部門がない場合は、市販の電子保存システムを導入すると、簡単に電子帳簿保存法に対応できるでしょう。
業務を効率よく進めるためにも、なるべく使いやすいものを選ぶことが重要です。1つの目安として、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証を受けているシステムを選ぶのもおすすめです。
運用を開始する
電子保存システムの運用開始にあたって、関連社員への教育が必要です。また、実際に運用を開始した後にもし問題点が見つかれば、使い方のルールなどを適宜改善しましょう。
電子帳簿保存法を導入する際の注意点
電子帳簿保存法を導入する際の注意点として、次のような点があります。
導入コストをしっかりと試算する
電子帳簿保存法の導入にあたり、ソフトの導入やスキャナーなどハード面の導入が必要な場合もあります。導入にかかるコストの試算を適切に行い、費用対効果もしっかり考えて導入してください。
また、管理ソフトの場合は月額費用がかかる場合もあるので、ランニングコストも考慮する必要があります。
セキュリティ対策をしっかり行う
電子データが漏洩してしまい、社会的信用を失うことは、企業にとって大きな損失です。
例えば、重要な電子データに対してはパスワードをかけたり、持ち出した場合に記録が残るようなシステムを導入し、厳重なセキュリティ対策を行いましょう。
管理者や責任者を明確にする
導入および実運用においては、実務者と責任者を明確にすることが重要です。
責任と権限が明確になっていない状況で運用してしまうと、トラブルが発生した際に誰に相談すれば良いのかが分からないといった事態に陥る可能性があります。
こうしたトラブルを起こさせないためにも、あらかじめ管理者や責任者を明確に定めて運用しましょう。
流れを把握し、電子帳簿保存法を効率よく導入しよう!
電子帳簿保存法の導入に向けては、事前準備や確認などをしっかりと行うことが重要です。事前準備を適切に行えば、効率よく導入まで進めることができ、また本来の導入目的を果たせる可能性も高まります。
今回の記事を参考に電子帳簿保存法を導入し、業務効率化などの恩恵を受けましょう。