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資産管理における内部統制の進め方 消耗品管理のワークフロー

著者:株式会社月刊総務 代表取締役社長  戦略総務研究所 所長  豊田 健一

資産管理における内部統制の進め方 消耗品管理のワークフロー

無駄な入出荷や過剰在庫を抱えることを避けるためにも、消耗品の管理を徹底することが大切です。適切な保管や管理方法について確認しておきましょう。


消耗品管理と内部統制

消耗品の管理には、発注管理と在庫管理があります。ここでは在庫管理について、コスト削減の観点も含めて記していきます。

在庫管理とは、購入した消耗品の在庫分を、それらが使用されるまでの間、管理保存する業務です。

一般的に、消耗品は短期間のうちに入出荷され、また扱う品種やその数も多く、これらの業務が効果的・効率的に整理されていなければ、紛失や場合によっては盗難などが多発し、過剰在庫などを多く抱えることにもなります。適切な在庫管理や現物管理には、保管や管理のルールを守ることが大切です。

在庫管理を内部統制的な観点から考えると、次のポイントがあります。

  • 消耗品の実際の移動と受払記録管理を連携して行う。
  • 受払記録と会計データを一致させる。
  • 陳腐化・不良品等により、廃棄する場合の手続きを明確にする。
  • 在庫品の品質保持・防犯・防火等に対する処置を行う。

消耗品保管のポイント

消耗品がどこに保管され、いくつあるかを速やかに把握できれば、探す手間だけでなく欠品による業務上の無駄を省くことができます。以下、在庫管理のテクニックについて記します。

管理場所と方法

  • 事務文具の保管場所を一か所にまとめ、全社員に周知する。
  • 小出し用の保管場所と在庫品の保管場所を分ける。
  • 整理棚にラベルを貼って誰が見ても何があるかわかるように整理し、特定の物だけを置く。
  • 種々の棚等を機能的に利用するにはどのように物を配置したら良いか、定期的に数人の意見を聞き、配置換えを行う。
  • 箱に入っている物(スペアインクなど)は箱からバラして棚に出す(使用量節減に効果あり)。

在庫管理

  • 先入れ先出しが徹底できるように、棚の後ろから入れて前から取り出す。構造的に不可能な場合は、入庫の際に新しい物を後ろや下部に置くことを徹底する。
  • 在庫品は必要最小限にして、特別な物はその都度購入する。
  • 頻繁に使用するものは最小在庫数を決めておき、それより少なくなったら発注をかける。
  • 品名力-ドでデータ登録する。
  • 定期的に実地棚卸を行う。実際の個数と帳簿上の個数の差異の有無を調べ、差異が発生した場合はその原因を調べる。
  • 貼り紙等をして在庫切れを防ぐ(例、残り○○個になったら、事務職員に連絡ください)。

発注

  • 在庫を確認してから購入希望を出すようにする。
  • 大量に使うときは事前申請してもらう。
  • 年間の品目別の執行計画を立て、購入する消耗品を厳選する。
  • 物品を購入する時は必ず物品購入伺いを作成してもらい、管理職の承認を得てから購入する(在庫の確認も兼ねられるので無駄な購入をしなくて済む)。

管理者

  • 総務部員がすべて管理するのではなく、フロアごと等で管理責任者を決めることにより、適切な在庫管理の意識を高める。
  • 在庫の有無を誰に聞けば良いかわかるように、各消耗品の管理担当者を全員に周知させる。
  • 月一回から二回、日を決めて管理担当者に補充の必要がないか在庫確認を依頼する。
  • 事務用品がなくなったときは、最後の人が事務職員に必ず一声かけるようにする。
  • 消耗品一覧表を作成することで、必要な消耗品がひと目でわかり、注文や補充がスムーズに行える。

廃棄

  • 不要な物が場所を占めていることもあるので、ときには思い切って捨てることも必要。
  • トナーを交換したときは空箱に「使用済み」と記入し、事務職員に連絡する。

コスト削減

  • 物品に納入価を表示してコスト意識を高める。
  • 期初に朝礼、終礼等で消耗品の使用・節約について伝達する。
  • 行事や研修で必要な消耗品など特別な物は、必要なとき、必要な分だけ購入する。
  • 消耗品について単価を在庫棚に表示する。社員が物品の単価を認識することにより、消耗品の利用を抑制することができる。
  • 消耗品発注書にて申請させることにより、コストを意識してもらえるのと、次年度には振りかえって購入履歴が把握できる。

その他のコスト削減手法

  • 社内便に使用する封筒
    社内文書をやりとりする封筒に「○○課➙△△課」と記入する欄を多数印字しておき、その欄が埋まらなければ廃棄できないようにする。
  • 医薬品の購入管理
    自社で購入管理するのではなく、不足したらその都度補充してくれて、使用ペースにより代金が発生する置き薬方式を採用する。メジャーな薬が市価の七割程度で購入できる場合もある。
  • 中元・歳暮
    虚礼廃止の観点から全面廃止か縮小を考える。配送品を自社製品にするとか、毎年同じ物を贈るという前提で集中購買により値引きさせる。
  • 再生トナー
    メーカー系列以外のベンダーから販売されている、プリンターの再生トナーを利用する。純正品より割安だが、粗雑な品もあるのでよく確認して利用すること。
  • 文房具・消耗品
    使用する型の種類を極力少なくする。使用状況を把握して、1アイテム1種類とする。少品種での集中購買により、購入代金の低減を目指す。文房具や消耗品をクリアケースなどに入れて保管し、勝手に持ち出せるようにしている企業が多い。
    申請書を記入させることにより、各部署での使用量が計測できる。一か月ごとに締めて、各部署横断の会議の場で報告する。削減意識が高揚され、よく考えて申請するようになる。各自の机に眠っている文房具は大量にあるはず。定期的に、中古流用キャンペーンと題して、必要最低限の物を残して文房具を取り出させ、積極的に流用する。
  • ホワイトボードマジック
    ホワイトボードのマジックは別管理する。ホワイトボートに付けたままの状態だと、キャップがはずれたり、いつのまにかなくなってしまったりと適切に使用することができなくなる。
  • 用紙
    使用種類を極力少なくする。できればA4に統一。種類が少なくなれば、集中購買により価格も下げられるし、管理も容易となる。また用紙の統一により、ファイリングもしやすい。コピーする場合は、2in1、4in1機能、さらに両面コピーをすることにより、コピー用紙の使用削減ができる。
    あわせて、社内文書は裏紙を積極的に使用する。コピー用紙の在庫管理は、適正在庫数を明確にし、納入業者に在庫管理を委ねる。不足していれば、その都度補充さする作業を自社でやらずに委託してしまう。

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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

毎日投稿 総務のつぶやき 

毎週投稿 ラジオ形式 総務よもやま話

毎月登場 月刊総務ウェビナー

著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

講演テーマ:総務分野

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戦略総務の実現の仕方・考え方

総務のDXWithコロナのオフィス事情

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講演テーマ:営業分野

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