AI-OCR機能搭載の経費精算システム8選! 導入のメリットや選ぶポイントを解説

経費精算業務のデジタル化が加速するなか、AI-OCR機能搭載の経費精算システムへの注目が高まっています。領収書をスキャンするだけで自動的にデータ化できるAI-OCRは、経理業務の変革を目指す企業にとって非常に魅力的なのです。
本記事では、AI-OCR機能搭載の経費精算システムの特徴や導入するメリット、選定・運用時のポイントを詳しく解説します。おすすめのシステムも紹介するので、そちらを参考に、自社に合ったシステムを判断してください。
AI-OCR機能搭載の経費精算システムとは
AI-OCR機能搭載の経費精算システムとは、経費精算業務を効率化するソフトウェアです。人工知能を活用した高精度な文字認識技術により、領収書や請求書から自動的に情報を抽出します。
従来のOCRと違い、AIの機械学習によって文字認識精度が90%以上と高いです。使えば使うほど、企業固有の書類パターンを学習して精度が向上します。
スマートフォンのカメラで撮影するだけで、紙の領収書のデジタル化が可能です。電子帳簿保存法に準拠した形式で経費データが自動入力・保存されるため、経理業務を劇的に効率化できます。
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AI-OCR機能を搭載した経費精算システムを導入するメリット
では、AI-OCR機能を備えた経費精算システムを導入するメリットとは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
AI-OCR機能搭載経費精算システムを導入するメリットは、主に以下の5つです。
・手入力作業の負担を軽減する
・入力ミスによる差し戻しを削減する
・クラウド型で導入コストを削減できる
・多様な文書種類に対応できる
・認識精度がAIで向上する
ここでは、上記の導入効果を詳しく解説します。
手入力作業の負担を軽減する
AI-OCR機能の最大の魅力は、領収書のデータ化に伴う手入力作業を大幅に削減できる点です。従来の経費精算では、申請者が領収書の情報を1件ずつ手入力する必要があり、1枚あたり平均2〜3分の時間を要していました。OCRによる自動認識を活用すれば、わずか数秒で領収書の情報抽出が完了します。
特に営業職などの外出が多く、日々多数の領収書を処理する必要がある従業員にとって、OCR導入の恩恵は大きいです。月に数十枚の領収書を処理する場合、年間で数十時間もの工数削減効果が期待できます。
経費申請の先送りも防止でき、タイムリーな処理が可能なため、経理部門への月末の処理集中も緩和されるのです。
入力ミスによる差し戻しを削減する
OCRによる自動認識は、日付や金額の打ち間違い、勘定科目の選択ミスを大幅に減らすことができます。特に金額の誤りは、決算の信頼性に直結する重大な問題です。AIの力を活用することで、会計データの正確性が手作業のときよりも向上します。
また、差し戻しが減れば、申請者と経理担当者双方の手間も軽減できます。ミスの削減は業務効率の改善につながるだけでなく、月末の処理遅延リスクの低減にも貢献するのです。
クラウド型で導入コストを削減できる
AI-OCR機能を備えた経費精算システムの多くは、クラウド型サービスとして提供されています。これにより、導入コストを大幅に抑えられるのも大きな魅力です。
従来のオンプレミス型システムの導入費用は、数百万円になるケースも多くあります。しかし、クラウド型はサーバーや専用のスキャナーなどのインフラ投資が不要です。そのため、イニシャルコストの負担を最小限に抑えられます。
ユーザー数や利用量に応じた柔軟な料金体系を採用しているサービスが多いため、企業規模に合わせたスケーラビリティ(拡張可能性)が高いのです。
多様な文書種類に対応できる
AI-OCRは、手書きの領収書やレシートのように読み取りの難しい書類であっても、AIによる高度な認識処理ができます。日本特有の縦書きの文書や、ゴム印の押印、手書きのメモ書きなどにも対応可能です。
また、飲食店のレシートやタクシーの領収書、宿泊明細など、業種ごとに異なる文書フォーマットへの対応力も大きく向上しています。
認識精度がAIで向上する
AI-OCRの機械学習とディープラーニングによって、認識精度も飛躍的に向上します。従来のOCRでは、事前に読み取り対象となる項目の位置や文字サイズを、厳密に設定する必要がありました。そのため、想定外のレイアウトには対応できなかったのです。
これに対し、AI-OCRではレイアウト分析により文書構造を自動的に理解するため、事前の細かな設定は不要です。手書き文字や特殊フォントの認識においても、AIの強みが存分に発揮されます。
AI-OCR機能を搭載した経費精算システム8選
数多くのAI-OCR機能を搭載した経費精算システムが登場するなか、自社に最適な製品をどう選んだらよいのでしょうか。
ここでは、代表的なシステムを厳選してご紹介します。価格や主要機能、導入企業の規模感など、さまざまな角度から比較検討しながら、選定の指針としてください。
自社の経費処理の課題解決に適したシステムを見つけ出し、業務効率化を加速させましょう。
HRMOS経費
項目 |
内容 |
料金 |
初期費用:0円 |
無料トライアル/プラン |
〇 |
主な機能 |
など |
従業員規模 |
中小企業 |
提供形態 |
クラウド型 |
HRMOS(ハーモス)経費は、経費精算業務の効率化とペーパーレス化を実現するシステムです。基本プランで主要機能が利用でき、低コストで導入できます。サポート体制も充実しており、導入から運用まで安心して利用できます。
ICカード連携や領収書AI-OCR、自動仕訳、FBデータ出力など、業務効率化を支援する機能が豊富です。
freee経費精算
項目 |
内容 |
料金 |
月額10,000円(税抜) |
無料トライアル/プラン |
〇 |
主な機能 |
など |
従業員規模 |
小規模 |
提供形態 |
クラウド型 |
freee(フリー)経費精算の強みは、申請の容易さ、承認の迅速さ、そして経理業務の効率化です。スマホアプリによる領収書の自動読み取りやICカード連携、交通費自動計算、AI-OCRによる自動入力で、申請者の手間を大幅に削減します。
承認者はスマホからいつでも承認でき、Slack連携で通知やコメントも可能です。
ジョブカン経費精算
項目 |
内容 |
料金 |
初期費用・サポート費用:0円/月
※1ユーザあたりの料金 |
無料トライアル/プラン |
〇(30日間) |
主な機能 |
など |
従業員規模 |
中小企業 |
提供形態 |
クラウド型 |
ジョブカン経費精算は、特にスマートフォンでの申請・承認が可能で、リモートワーク時の対応もスムーズ。さらに、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応し、ペーパーレス化を実現できます。シンプルな操作画面で、初心者でも導入しやすい点も魅力。
バクラク経費精算
項目 |
内容 |
料金 |
月額30,000円〜(税抜) |
無料トライアル/プラン |
〇 |
主な機能 |
など |
従業員規模 |
中小企業 |
提供形態 |
クラウド型 |
バクラク経費精算は、AIによる領収書の自動入力と、最大100枚の領収書を数秒でデータ化できる高精度AIが特徴です。重複検知や税率、登録番号の判定機能による不正防止、電子帳簿保存法対応のタイムスタンプ付与によるペーパーレス化も実現します。
TOKIUM経費精算
項目 |
内容 |
料金 |
初期費用 |
無料トライアル/プラン |
× |
主な機能 |
など |
従業員規模 |
中小企業 |
提供形態 |
クラウド型 |
TOKIUM(トキウム)経費精算システムは、スマートフォンで簡単に経費申請ができるクラウドサービスです。領収書の撮影からデータ化、原本の確認、保管まで一括管理でき、経費精算の手間を大幅に削減します。出先からでも申請や承認状況が確認可能で、全員の負担を軽減できます。
マネーフォワード クラウド経費
項目 |
内容 |
料金 |
|
無料トライアル/プラン |
〇(1ヶ月) |
主な機能 |
など |
従業員規模 |
小規模 |
提供形態 |
クラウド型 |
マネーフォワード クラウド経費は、交通系ICカードやクレジットカードとの連携による明細データの自動取得、領収書やレシートのOCR入力に対応しています。スマホアプリやWebでの申請・承認、添付された領収書画像と明細データの一括確認が可能です。
MOT経費精算
項目 |
内容 |
料金 |
初期費用31,500円+月額費用3,980円/20ID ※21ID以上のプランを希望の場合は要問合せ |
無料トライアル/プラン |
〇 |
主な機能 |
など |
従業員規模 |
小規模 |
提供形態 |
クラウド型 |
MOT(もっと)経費精算は、モバイル端末での経費申請、AIによる領収書の自動読み取り、迅速な承認フロー、さらには多彩なレポート機能を備えており、企業の規模に関わらず導入が簡単です。請求書や領収書のデータを自動で処理し、インボイスに必要な情報を正確に管理できます。
ジンジャー経費
項目 |
内容 |
料金 |
初期費用+ご希望サービスの利用料月額300円〜×利用人数 |
無料トライアル/プラン |
〇(1ヶ月) |
主な機能 |
など |
従業員規模 |
小規模 |
提供形態 |
クラウド型 |
ジンジャー経費は交通費、経費、交際費、出張費、支払依頼など、さまざまな申請に対応し、電子帳簿保存法や請求書システムにも対応しています。ユーザーインターフェースが直感的で、スムーズな導入が可能。多機能ながら、シンプルな操作性が魅力です。
AI-OCR機能を搭載した経費精算システムを選ぶときのポイント
自社に最適なAI-OCR機能搭載の経費精算システムは、単に価格の安さだけで選んではいけません。
AI-OCR機能搭載経費精算システムを選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。
・データ連携機能があるか
・自社文書に対する認識精度は高いか
・修正インターフェースは使いやすいか
・AIの学習能力が高いか
ここでは、上記のポイントを解説します。
データ連携機能があるか
経費精算システムを導入するうえで、OCR処理したデータを会計システムなど、他の基幹システムとAPI連携やCSV出力ができる、柔軟な連携機能が業務効率化の鍵となります。
特に会計ソフトとの連携では、勘定科目の自動マッピング機能や仕訳の自動生成機能があると、さらなる工数削減が可能です。多くのシステムではRESTful API(レストフル エーピーアイ)やWebhook(ウェブフック)を提供しており、既存の社内システムとの連携の容易さも重要な選定基準となります。
※RESTful API:Webアプリケーションやサービスが情報を共有したり操作したりするための「共通の言語」のようなもの。
※Webhook:Webアプリケーションで特定のイベントが発生したときに、他のアプリケーションにリアルタイムに情報を送信する仕組みのこと。
自社文書に対する認識精度は高いか
業種や企業によって、取り扱う書類のフォーマットは大きく異なります。そのため、OCR機能の選定において、自社で頻繁に扱うレシートや領収書の種類に対する具体的な認識精度を、無料トライアルで実際にテストすることが重要です。
建設業なら現場の請求書、飲食業なら仕入れ伝票など、業種特有の書式への対応力をチェックすることが求められます。さらにインボイス制度では、登録番号の正確な抽出や消費税の区分記載など、法的要件を満たす情報を正確に認識できるのかも、重要な判断基準です。
修正インターフェースは使いやすいか
いかに高性能なOCRシステムであっても、認識が100%正確ということはありません。そのため、誤認識が発生した際の修正作業のしやすさは、システムの使い勝手を大きく左右する要素です。
理想的なインターフェースでは、修正が必要な箇所を自動でハイライト表示、信頼性スコアの低い認識結果の警告機能などの機能が実装されています。特にスマートフォンでの操作性が重要で、外出先でも素早く処理できるモバイルインターフェースの使いやすさが、実際の利用率に大きく影響します。
AIの学習能力が高いか
優れたAI-OCRシステムは、ユーザーによる修正内容を学習データとして蓄積し、自社固有の取引先名や勘定科目の認識精度を継続的に向上させる機能を持っています。導入直後は認識精度が低くても、数ヶ月の利用で自社特有の文書パターンを学習し、90%以上の精度に達するシステムが理想的です。
学習データの共有範囲(自社内のみか、サービス全体でのグローバルな学習か)によっても改善スピードが異なるため、確認が必要になります。
OCR機能を使用した経費精算の流れ
OCR機能を使用した経費精算の流れは、主に以下の2段階に分けられます。
・領収書を撮影する
・画像から構造化データへ変換する
ここでは、上記の段階でOCR機能がどのように働いているのかを解説します。実践的なテクニックも併せて紹介するので、参考にしてください。
領収書を撮影する
OCRの認識精度を最大化するためには、読み取るべき領収書の画像を適切に撮影することが重要です。まず、領収書全体をフレームに収め、四隅まで見える状態で平らに伸ばします。影をなくし、均一な明るさを確保するために、できるだけ明るい場所で撮影をしましょう。
特に光沢のある紙の領収書は、光の反射を抑えるために、角度に注意が必要となります。背景とのコントラストを高めるために、黒や紺色など、濃い色の下敷きを利用するのも効果的です。
画像から構造化データへ変換する
OCR機能は「画像キャプチャ→歪み補正・ノイズ除去→文字領域特定→AI文字認識→構造化データ変換」という、5段階のプロセスで処理されます。特に前処理段階では、画像の解像度調整、傾き補正、影やノイズの除去などが行われ、これが認識精度に大きく影響するのです。
文字認識後は、日付、金額、宛名、品目といった意味的な構造に変換され、経費項目として適切に分類される処理が行われます。
AI-OCR機能を搭載した経費精算システムの運用のポイント
AI-OCR搭載の経費精算システムを導入したら、いよいよ実運用のフェーズに入ります。AI-OCRの価値を最大限に引き出すためには、適切な運用が欠かせません。
AI-OCR搭載の経費精算システムを運用する際のポイントは、以下のとおりです。
・フィードバックで継続的に精度を向上させる
・運用ルールを標準化する
・導入初期のデータ品質を管理する
ここでは、上記のポイントを詳しく解説します。
フィードバックで継続的に精度を向上させる
AI-OCR導入効果を最大化するには、単に誤認識を修正するだけでなく、その修正内容をシステムの学習データとしてフィードバックする、運用プロセスを確立することが重要です。
特に頻出する取引先や特殊な表記のある領収書については、初期段階で集中的に修正フィードバックを行うことで、早期に高精度化が実現できます。
修正内容の学習を促進するため、同じ修正を複数の担当者が別々に行うのではなく、一貫した修正ルールを定めることが効果的です。
運用ルールを標準化する
OCR搭載の経費精算システムの利用効果を高めるには、全従業員に対する標準化された教育を実施することが不可欠です。領収書撮影方法や修正手順などの、社内ガイドラインを作成しましょう。
特に照明条件や撮影角度、背景の選び方など、画像品質に関するルールを明確にすることで、OCR精度が大きく向上します。定期的な研修やリマインダーの発信により、全社的な運用品質を維持することが、長期的な効果につながるのです。
導入初期のデータ品質を管理する
AI-OCRシステムの導入初期は、短期間で認識精度を向上させましょう。特に頻繁に発生する取引先の領収書や請求書に対して、集中的に修正フィードバックを行うことが効果的です。
導入当初の1〜2ヶ月は経理担当者が全ての処理結果をチェックし、認識エラーパターンを分析して改善策を検討するデータ品質管理体制が重要になります。経理担当者と現場の申請者の双方が協力し、認識精度向上のためのデータを共有する文化を構築することが、成功の鍵なのです。
AI-OCR搭載の経費精算システムで、経理業務を変革しよう
AI-OCR技術を活用した経費精算システムの導入は、経理部門を単純作業から解放してくれます。データ分析や戦略的意思決定支援といった、より付加価値の高い業務へのリソース転換が可能なのです。
2024年の電子帳簿保存法完全施行やインボイス制度本格化という法改正のタイミングは、経費精算フローを見直す絶好の機会であり、先進企業はこれを契機に業務改革を実現しています。
今後はさらに他の業務システムとの連携拡大や、経費データの分析による予算管理の高度化など、単なる省力化を超えた経理DXの中核としてAI-OCR技術の活用が進むでしょう。
今回の記事を参考に、OCRによる経費精算で効率的な管理をしましょう。