このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

経費精算の仕訳とは? 経理担当者が知っておくべき勘定科目と仕訳例

経費精算の仕訳とは? 経理担当者が知っておくべき勘定科目と仕訳例

正しい経費精算の仕訳は、正確な会計帳簿の記録や税務上のリスク回避のために不可欠です。しかし、経理業務に初めて携わる人にとっては、各費用を正しい勘定科目で仕訳することは簡単ではありません。

本記事では経費精算の仕訳について、よく使われる勘定科目とその選択基準、具体的な仕訳例、注意点などを詳しく解説します。経理担当者の方は、正確な経費精算の仕訳処理を実践するための参考にしてください。


この記事の監修者
ACLEAN会計事務所 代表  公認会計士・税理士 

経費精算の仕訳とは?

経費精算の仕訳処理は、経費申請書の提出から勘定科目の選択、仕訳帳への記帳までの一連の流れを指します。経費精算の仕訳は経費の内容を正確に記録し、会計処理を適切に行うために必要不可欠です。

経費精算の仕訳を正しく行うことで、企業の財務状況を正確に把握し、適切な経営判断に役立てることができます。

仕訳処理では、経費申請書の内容を確認し、適切な勘定科目を選択することが重要です。仕訳帳への記帳は、日付、勘定科目、金額、摘要などの必要事項を漏れなく記録する必要があります。また、適切な経費精算の仕訳は、税務申告の際の証拠資料としても重要な役割があるのです。

経費精算でよく使われる仕訳勘定科目と選択基準

経費精算の仕訳では、経費の内容に応じて適切な勘定科目を選択することが求められます。経費精算で頻出の仕訳勘定科目は、以下のとおりです。

・旅費交通費
・交際費
・消耗品費
・会議費
・通信費

ここでは、上記の勘定科目について、その概要と選択基準を解説します。

旅費交通費の勘定科目と選択基準

旅費交通費の勘定科目は、出張や営業活動に関連する交通費や宿泊費などの経費に使用されます。例えば、電車賃、航空券代、タクシー代、ガソリン代、高速道路利用料、出張先での食事代や宿泊費などです。

仕訳の際は、出張や営業活動の目的、日程、場所などを確認し、業務に直接関連する経費であることを確認する必要があります。

交際費の勘定科目と選択基準

交際費の勘定科目は、取引先との会食や贈答品などの接待に関する経費に使用されます。例えば、取引先との会食代、贈答品の購入費用、接待に関連する交通費や宿泊費などです。

仕訳の際は接待の目的、参加者、金額の妥当性などを確認し、業務上必要な経費であることを確認する必要があります。

消耗品費の勘定科目と選択基準

消耗品費の勘定科目は、事務用品や備品などの短期間で消耗するものの購入に使用されます。例えば文房具、コピー用紙、プリンターのインク、事務機器の小物類などです。

仕訳の際は、購入した消耗品が業務に必要なものであること、金額が妥当であることを確認する必要があります。

会議費の勘定科目と選択基準

会議費の勘定科目は、社内会議や取引先との打ち合わせに関する、飲食代や会場費などに使用されます。会議の飲食代、会場のレンタル代、会議に関連する交通費などです。

仕訳の際は、会議の目的、参加者、金額の妥当性などを確認し、業務上必要な経費であることを確認する必要があります。

通信費の勘定科目と選択基準

通信費の勘定科目は、電話代やインターネット利用料など、通信に関する経費に使用されます。例えば固定電話の基本料金や通話料、携帯電話の利用料金、インターネットの接続料金などです。

仕訳の際は業務上必要な通信手段であること、金額が妥当であることを確認する必要があります。なお、私的な通話料や接続料は、通信費ではなく、個人の経費として処理してください。

経費精算の具体的な仕訳例

ここまで、主要な勘定科目とその選択基準について解説しました。では、具体的にどのような方法で仕訳をしていけばよいのでしょうか。

ここからは前述した旅費交通費、交際費、消耗品費、会議費、通信費について、それぞれの仕訳方法を具体例を交えて解説します。

旅費交通費の仕訳例

旅費交通費は出張先への航空券代や宿泊費、営業先への電車賃やタクシー代などが挙げられます。仕訳の際は、出張や営業活動の目的、日程、金額などを明確に記録することが重要です。

例えば、従業員の通勤のために定期代5,000円を支給した場合、以下のように仕訳をします。

借方 貸方
旅費交通費 5,000円 現金 5,000円

なお、旅費交通費の仕訳では、出張者や営業担当者の氏名、出張先、移動手段なども合わせて記録しておくことが望ましいでしょう。

交際費の仕訳例

交際費には取引先との会食の飲食代や、取引先への贈答品の購入費用などが挙げられます。仕訳の際は、接待の目的、参加者、金額などを明確に記録することが重要です。

例えば、取引先の接待で会食費30,000円を支払った場合、以下のように仕訳をします。

借方 貸方
交際費 30,000円 現金 30,000円

また、交際費の仕訳では、接待先の会社名や担当者名、会食のメニューや贈答品の内容なども合わせて記録しておくことが望ましいでしょう。

消耗品費の仕訳例

消耗品費は、文房具やコピー用紙、プリンターのインクなどが挙げられます。仕訳の際は、購入した消耗品の内容、数量、金額などを明確に記録することが重要です。

例えば、プリンターのインク購入費用30,000円を支払った場合、以下のように仕訳をします。

借方 貸方
消耗品費 30,000円 現金 30,000円

消耗品費の仕訳では、購入先の会社名や納品日、購入者の氏名なども合わせて記録しましょう。

会議費の仕訳例

会議費には、会議での飲食代や会場レンタル代、会議に関連する交通費などが挙げられます。仕訳の際は、会議の目的、参加者、金額などを明確に記録することが重要です。

例えば、会議でお茶とお弁当を提供するために20,000円を支払った場合、以下のように仕訳をします。

借方 貸方
会議費 20,000円 現金 20,000円

会議費の仕訳では、会議の議題や配布資料、会場の名称なども合わせて記録してください。

通信費の仕訳例

通信費には、固定電話の基本料金や通話料、携帯電話の利用料金、インターネットの接続料金などが挙げられます。仕訳の際は、通信手段の内容、利用期間、金額などを明確に記録することが重要です。

例えば、インターネット利用料として25,000円を支払った場合、以下のように仕訳をします。

借方 貸方
通信費 25,000円 現金 25,000円

通信費の仕訳では、通信サービスの提供会社名や契約者名、通信機器の種類なども合わせて記録しておいてください。

経費精算の仕訳処理で注意すべきポイント

ここまで、経費精算の仕訳について、具体的な例を交えながら解説しました。実際、経費精算の仕訳処理を適切に行うためには、以下の注意点を押さえておく必要があります。

・適切な勘定科目を選択する
・私的経費の混入を防止する
・証憑書類は適切な方法で保管する
・経費申請内容を精査する

ここでは、上記の注意点について詳しく解説します。

適切な勘定科目を選択する

不適切な勘定科目の選択は財務諸表の信頼性を損なうリスクがあるため、適切な勘定科目の選択が重要です。不適切な勘定科目選択は、税務調査での指摘事項となる可能性が高く、追徴課税などのペナルティを受けるリスクがあります。

勘定科目選択の基準を明確にし、経理担当者への教育を徹底することが対策として有効です。また、経費の内容に疑義がある場合は、税理士や監査人に相談し、適切な処理方法を確認することが重要になります。

私的経費の混入を防止する

私的経費の混入を防ぐためには、経費申請の内容と証憑書類の照合や、申請者へのヒアリングが有効です。私的経費の混入は会社の経費を不正に支出したとみなされ、税務上のペナルティを受ける可能性があります。

経費申請内容と証憑書類に不整合がないか、申請者に経費の内容や目的を確認するなど、複数の観点からチェックしましょう。

証憑書類は適切な方法で保管する

証憑書類の的確な紐付けと保管は経費精算の正確性を担保し、税務調査等に備えるために必要です。証憑書類は経費申請内容と一致していることを確認し、仕訳帳や経費明細書と紐付けて保管してください。

証憑書類は法定保存期間(通常7年間)、適切な方法で保管しなければなりません。電子帳簿保存法に対応した電子保存も有効な手段ですが、法令に則った適切な運用が求められます。

経費申請内容を精査する

経費申請内容の精査と確認作業は不適切な経費計上を防止し、会社の財務健全性を維持するために重要です。経費申請内容が会社の規定に沿っているか、金額や内容に不自然な点がないかなど、多角的な観点から精査してください。

疑義のある申請内容については、申請者に確認を取り、必要に応じて修正や再提出を求めることが重要です。

正確な経費精算の仕訳処理を実践するために

正確な経費精算の仕訳処理を実践するためには、勘定科目の適切な選択、証憑書類の的確な紐付け、経費申請内容の精査が不可欠です。経費精算では会社の経理規定や税法に関する知識を深め、適切な判断ができるように努める必要があります。

頻出の勘定科目については定型化するなどして、効率と正確性を高めるのも有効です。

経理担当者は日々の仕訳処理を通じて、正確な経費精算の重要性を認識し、会社の財務管理に貢献していくことが求められます。本記事で解説した内容を参考に、正確な経費精算の仕訳処理を実践し、会社の経理業務の質の向上に努めましょう。

この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

監修者プロフィール

author_item{name}

辻 哲弥

ACLEAN会計事務所 代表 公認会計士・税理士

1998年愛知県一宮市生まれ。2017年愛知県立一宮高等学校卒業後、2018年公認会計士試験受験。2019年有限責任監査法人トーマツに同年最年少の20歳で入社し、製造業・建設業・不動産業・銀行・運送業・製薬業・IT・官公庁等、幅広い業種で延べ20社以上の監査業務に従事。

2022年同法人を退社後、慶應義塾大学大学院法務研究科に入学。大学院で法律を勉強する傍ら、会計事務所にて税務を学ぶ。同年8月公認会計士登録(登録番号:42636)。同年9月税理士登録(登録番号:149486)、ACLEAN会計事務所設立、再生可能エネルギー電力会社のCFO就任。美ボディコンテスト優勝経験あり。

この監修者の他の記事(全て見る

テーマ/キーワードから記事を探す

カテゴリ別テーマ一覧へ

フリーワードで探す

bizoceanジャーナルトップページ