デリバティブ取引とは? 意味や特徴、種類を初心者にもわかりやすく解説!
デリバティブ取引とは、株式や債券、為替などの現物取引から派生した金融取引です。先物取引、オプション取引、スワップ取引など、リスクとリターンのバランスを調整しながら利益を狙うことができるため、投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
しかし、その複雑さやリスクに不安を感じる方も多いのではないでしょうか?
本記事では、デリバティブ取引の基本的な仕組みや種類、メリット・デメリットについて徹底解説します。金融取引でさらなる利益を上げたいと考えている方は、ぜひご覧ください。
デリバティブ取引とは?
金融商品のリスク軽減や収益性向上を目的に、現物取引から派生したデリバティブ取引。さまざまな種類があり、その多様性が一つの特徴となっています。
小さな資金で大きなリターンを狙え、値上がり時に限らずさまざまなタイミングで利益を獲得できるデリバティブ取引をご紹介します。
デリバティブ取引の意味
デリバティブ(Derivative)という英単語の意味は、「派生物、派生的」です。金融の世界において、デリバティブは株式・債券・為替などの現物取引から「派生」して生まれた金融商品の総称を意味し、「金融派生商品」とも呼ばれています。
デリバティブ取引は、金融商品のリスクを低下させたり、リスクを覚悟して高い収益性を追求したりする手法として考案されたもので、先物取引、オプション取引、スワップ取引などがあります。
デリバティブ取引の特徴
デリバティブ取引の特徴として、まずは「多様性」が挙げられます。
株式などの一般的な金融商品への投資は安い時に買い、高い時に売るという値上がりを狙った取引です。対してデリバティブ取引は値上がりだけではなく、値下がりによって利益が得られるものや、あるいは価格が上がりも下がりもしない時に利益を得られるものなどがあり、多種多様です。
またデリバティブ取引では、証拠金を入れてそれを担保に取引することができます。一般的な金融商品の取引と比べ、小さな資金で効率的な資産運用が可能であるという特徴もあるのです。
デリバティブ取引の種類
多様性が特徴のデリバティブ取引には、さまざまな種類の取引が存在しています。先物取引やオプション取引、スワップ取引など、デリバティブ取引で代表的なものを、わかりやすい例とともに紹介します。
先物取引
先物取引とは、将来の定められた期日において、特定の商品を取引時点で取り決めた価格で売買することを約束する取引です。
価格の変動がある金融商品などの価格を取引時点に確約することで、将来取引する際の価格を気にすることなく取引することができます。
商品を買いたい場合には、先物取引であらかじめ決めた価格と数量で買う約束をします。反対に商品を売りたい場合には、先物取引で売りたい価格と数量で売る約束をします。どちらも約束した期日が来たら、売買取引を実行します。
例えば、金の現物取引で1グラム6,000円で取引されていた場合に、値上がりを予想して先物取引で1年後に6,000円で買うことを約束したとします。1年後、予想通り金が値上がりして6,500円となっていれば、差額分が利益となるのです。逆に5,800円に値下がりした場合には、差額分が損失となります。
オプション取引
オプション取引とは、将来の定められた期日に特定の商品を、取引時点に取り決めた価格で売買する「権利」の取引です。
先物取引は将来売買することを約束するものでしたが、オプション取引はある商品を特定の価格で買うこと、または売ることができる権利を取引します。期日が来た時点で権利を行使する、あるいは権利を放棄するかのいずれかを選択できます。
例えば、株式の現物取引でA社の株が1株5,000円で取引されていた場合に、値上がりを予想してオプション取引で半年後に5,000円で買うことができる権利を200円で購入したとします。半年後、予想通り6,000円に値上がりしていれば、権利を行使して5,000円で購入します。
反対に4,500円に値下がりしていた場合には権利を放棄し、オプション取引で支払った200円のみを損失とすることができるのです。
スワップ取引
スワップ(Swap)という英単語は元来「交換する」という意味で、金融取引におけるスワップ取引とは、将来のキャッシュフローを交換する取引です。交換される対象によって金利スワップと通貨スワップの2つに分けられます。
金利スワップ
金利スワップは、同じ通貨で異なるタイプの利息を交換することです。主に変動金利と固定金利を交換します。
例えば、住宅ローンを借り入れている場合に、金利スワップを利用して金利変動リスクを軽減することができます。金利が下がると予想する場合、固定金利を変動金利と交換します。
反対に金利が上がると予想する場合には変動金利では不利になると考え、固定金利と交換するのです。
通貨スワップ
通貨スワップとは、ドルと円など異なる国の通貨間で、将来の金利および元本の受取を交換することです。
例えば、ドル建ての社債を購入した際に通貨スワップを同時に利用することで、将来受け取る金利と元本をあらかじめドルではなく円で受け取ることができます。
為替変動リスクを軽減することができ、円建ての債券投資を行ったのと同じ効果が得られるのです。
デリバティブ取引のメリット・デメリット
投資のリスク軽減や利益獲得機会の拡大などを狙って登場したデリバティブ取引には、メリットとデメリットがあります。投資の幅と可能性を広げるデリバティブ取引の代表的なメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
メリット
- 価格変動リスクの回避
先物取引を利用して取引時点で価格を確定しておくことで、商品価格の変動による損失リスクを抑えることが可能です。
商品価格の値上がりを予想する場面において取引しておけば、将来価格が上がった場合でも約束した価格で購入ができるなど、何もしない場合と比較して商品価格の変動による影響を受けない取引が行えます。
- レバレッジ効果の発揮
現物取引と比較して、デリバティブ取引では少ない資金で大きな取引をすることができます。
先物取引では「証拠金」という担保を差し入れる、オプション取引では「オプション料」を支払う、スワップ取引では「金利」の交換で取引をするなどの方法で、元本に相当する資金をすべて用意する一般的な取引よりも、少額で大きな取引が可能となるのです。
- 多様な取引が可能
従来の取引に加えてデリバティブを活用することで、利益を出せる機会を増やせます。
例えば、オプション料を払い一定額で売り買いする権利を購入するオプション取引では、利益が出せる時だけ権利行使し、損失が出る時は権利放棄するという作戦が可能となるのです。
また、日中だけでなく夜間に取引できるデリバティブ商品も生まれるなど、さらに取引の選択肢が増えています。
デメリット
- 大きな損失が出る恐れ
少ない資金で大きな取引ができるメリットは、予想が外れた場合には、大きな損失を出してしまうデメリットになります。
例えば、先物取引における証拠金を担保とした取引は、証拠金以上の多額の取引が可能であるため、損失も多額となります。自己の支払い能力以上の莫大な損失が発生してしまう恐れがあるのです。
- 仕組みが複雑でわかりにくい
これまで説明したように、デリバティブ取引は現物の商品そのものを対象とする取引ではなく、商品の現物取引から派生した取引です。例えばオプション取引のように「売買する権利」を取引するなど、取引の対象やルールにさまざまな違いがあるのです。
また、顧客ニーズに合わせ、デリバティブとデリバティブを組み合わせた商品なども多く開発されており、利益が出るか損失が出るか予測が複雑になっているものもあります。
デリバティブ取引についてまとめ
先物取引やオプション取引、スワップ取引などさまざまな種類があるデリバティブ取引は、新しい商品も続々登場しており、金融取引の選択肢を増やしています。
従来の現物取引から派生したデリバティブ取引は、投資のリスク軽減や利益獲得の機会拡大に役立ち、新たな投資の可能性を広げてくれるものです。
多様な取引が可能で、リスクを避けながら小さな資金で大きな利益を得ることもできるデリバティブ取引ですが、メリットの反面デメリットもあります。デリバティブ取引に挑む際はその特徴や種類、良い点や悪い点などをしっかり理解してからチャレンジしましょう。