第12回:確定申告に間に合わなかったらどうなる? 対応方法は?<1/2>
確定申告のコラムも、今回で最終となる第12回を迎えることとなりました。確定申告期限を過ぎてしまった場合の対応方法などについて、2回に分けて説明します。
今回は、まずは確定申告期限を過ぎたときのペナルティを中心に説明します。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響など、「やむを得ない理由」により遅れた場合には、申請を行うことを条件に期限が延長されます。それが「個別延長」です。
確定申告期限を過ぎてしまった場合
確定申告の期限は、申告年度の翌年3月15日と決められています。ただし、その日が平日でない場合は、3月15日以降の初めての平日が提出期限になります。
なお、納税の期限も提出期限と同じです。
確定申告の期限を過ぎてしまった場合、すみやかに申告することが必要になります。ただし、原則として期限後申告として取り扱われます。
期限後申告のペナルティ
期限後申告を行うと、原則として次のようなペナルティが課されます。
青色申告の承認取り消し
2年連続で確定申告の申告期限に遅れてしまうと、青色申告の承認を取り消されてしまいます。
青色申告特別控除が65万円(55万円)から10万円へ減額
法定期限までに確定申告を行わないと、青色申告特別控除65万円もしくは55万円を適用できず、10万円に減額されてしまします。
延滞税
申告期限の翌日から、実際に納付した日までの日数に対する利息的性格の税金です。
なお、現在の延滞税割合は、期限から2カ月は年2.4%、それ以降は年8.7%となっております(令和4年1月1日から令和4年12月31日までの期間に適用される税率で、今後変動する可能性あり)。
無申告加算税
申告しなかったことに対するペナルティです。加算税の割合は、次のようになっております。
①税務署の調査を受けて、期限後申告を行った場合
納付すべき税額 | 加算税割合 |
---|---|
50万円以下の部分 | 15% |
50万円超の部分 | 20% |
②調査の事前通知の後に、期限後申告を行った場合 ※1
納付すべき税額 | 加算税割合 |
---|---|
50万円以下の部分 | 10% |
50万円超の部分 | 15% |
③法定申告期限から1月経過後、税務署の調査前に自主的申告を行った場合
納付すべき税額 | 加算税割合 |
---|---|
50万円以下の部分 | 5% |
50万円超の部分 |
④法定申告期限から1カ月以内に自主的申告を行った場合で、期限内申告をする意思があったと認められる場合 ※2
納付すべき税額 | 加算税割合 |
---|---|
50万円以下の部分 | なし |
50万円超の部分 | なし |
※1 「事前通知」とは、税務調査を行う場合、税務署の職員が電話等によって、その旨を税理士や納税者に行うことをいいます。したがって、通知後、調査が始まる前までに修正申告を行った場合、本来の過少申告加算税が軽減されることになります。
※2 「期限内申告をする意思があったと認められる場合」とは、法定納期限までにその期限後申告の税金全額を納付し、かつ、過去5年間に加算税等を課されたことがないこと等をいいます。
法定期限までに申告をしなかったことにより、無申告加算税が課されます。
たとえ申告するつもりであったとしても、期限までに申告をしなければ無申告です。したがって、何としても申告することが重要になります。
円滑な申告ができるように、日々の取り引きの証拠書類(請求書、領収証等)の保存をしっかりしておくことが大切です。
コロナの影響等によって、申告期限に遅れてしまう場合
令和4年分の確定申告期限は、令和5年3月15日(水)となっております。上記のとおり、この期限を超えて確定申告書を提出すると期限後申告となり、加算税などの対象となる可能性があります。
ただ、その遅延する理由が新型コロナウイルス感染症の影響など「やむを得ない理由」によるものである場合については、申請を行うことを条件に、期限が延長されます。
これを「個別延長」といいます。
コロナの影響等とは
「やむを得ない理由」とは、次のような場合が考えられます。
- 納税者や経理担当者、関与税理士、税理士事務所担当職員などが、新型コロナウイルスに感染して、申告業務が滞ってしまった場合
- 新型コロナウィルスに感染し、もしくは濃厚接触者になってしまった等の理由により、外出自粛を行っていたことから、必要書類の取得に時間がかかってしまった場合等
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