中小企業のための「介護離職防止」対策! 第2回「介護はある日突然やってくる……」
~企業は「人」がいるから売上がある!をサポート~
介護は、ある日突然やってきます。残念ながら。
認知症や脳血管疾患、骨折や転倒などから、急に「介護がある生活」に変わります。
「まさか自分が介護することになるとは……」「何から手をつけて良いのかわからない」となる前に、あなた自身が親の介護とどう向き合っていくのか、あなたが果たすべき役割は何なのかを今のうちに考えておきましょう。
急病や怪我で親が突然入院した場合、救急治療で一命をとりとめ、ほっとしたのも束の間、これまでどおりの生活ができなくなると医者から伝えられたら、どうしますか?
突然、介護生活が始まることになります。在宅での生活を続けるのか、施設に入居するのか、本人と家族は短期間での決断を迫られることになります。
どっちを選ぶ!?「在宅生活?」「施設入居?」
急病や怪我でまず搬送されるのは、「急性期病院」と言われる病院です。主に集中治療をする場で、平均在院日数は約16日です。急性期を脱しても経過観察やリハビリが必要な場合、「地域包括ケア病棟」や「回復期リハビリテーション病棟」への病棟移動や、近隣の「リハビリ専門の病院」へ転院となります。疾病や症状によって在院日数は60日から180日までと決められていますが、おおよそ2か月~3か月の入院を経たあと、在宅生活か施設入居かを選択することになります。退院する前に家族会議において決めなければなりません。在宅生活であれば、住宅改修をしたり福祉用具を整えたり、少しでも安全に在宅生活ができる準備をしなければなりません。施設入居であれば、数多くある施設から「サービス内容」「費用」「家族の担うこと」などを確認し、比較し、選択をして、病院から直接施設入居ができる準備をしなければなりません。「うちの親はまだまだ大丈夫」と安心するのではなく、元気なうちに、いつか始まる介護に備えた準備をしておくことを強くお勧めします。
8つの準備ポイント
そこでポイントとなることが8つあります。
1.健康状態を知っておく
元気なうちに親や家族の健康状態を知っておくことや介護が必要になったときの意思を確認しておくことです。抱えている病気や、飲んでいる薬、かかりつけの病院なども把握しておくとよいでしょう。かかりつけ医がいないのであれば、なるべく近所で定期的に健康チェックなどを受けられる、かかりつけの病院を作りましょう。将来、介護保険の申請を行うことになった場合でも、主治医として意見書を書いてもらえるので助かります。また、処方箋薬局もなるべく一つのところにして、どんな薬を飲んでいるかがわかる「お薬手帳」を作っておくと、いざというときに役立ちます。そして、大切な保険証などはいつでもまとめておくとよいです。急な病気などであわてているときに限って、保険証が見つからないことがあります。そんな事態を避けるためにも、健康保険証や老人医療受給証、診察券、お薬手帳などは袋などにまとめて、いつでも持ち出せるようにしておくと便利です。救急車のお世話になることを想定して、かかりつけ病院の病院名・受診科・主治医・診察券番号・主な症状などをまとめたメモを用意しておくと、さらに安心です。
2.リスクチェック
親や家族の生活環境に転倒リスクがないかチェックしておくことです。生活動線の確保は、転倒リスクを軽減できますので、片付けや整理整頓が大切になってきます。
3.介護予防
生活習慣の改善、足腰を鍛えるなど、本人が日頃から介護予防に努めているかチェックし、さらに促すことも大切です。
4.大切な書類の確認
大切な書類の共有です。通帳、印鑑、保険証券等、本人でないと取引ができないものも多くあります。急に認知症になってしまうとそれすらわからなくなってしまいますので、意外と共有されておらず困る方が多いです。ぜひ共有することをお勧めします。
これらをまとめて記入することができる「介護事前シート」などがありますので、活用してみてもいいかもしれません。
5.最寄りの介護相談窓口の確認
介護保険申請の相談窓口を知っておくことです。基本的には、生活圏域ごとに「地域包括支援センター」があります。お年寄りが住み慣れた地域で暮らせるよう、さまざまな相談に乗ってくれるのが、地域包括支援センターです。保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが所属しており、介護予防マネジメントをはじめ、高齢者への総合的な支援を行っています。どこにあるのかを確認しておき、少しでも気になる点や悩みがあれば相談に行ってみるのもよいでしょう。
6.お金のこと
費用について知っておくことです。介護が始まった場合、在宅で生活を続けるのか、施設に入居するのかの決断も必要になります。どちらも介護保険サービスを利用しながら生活をするわけですが、サービスを利用するには費用がかかります。実際にどれくらい費用がかかるのか把握しておくことも重要です。在宅サービスを利用する場合は、おおよそ月3万円から8万円の費用がかかります。施設サービスを利用する場合は、おおよそ月10万円から35万円の費用がかかります。介護サービス費以外にも、医療費、介護用品の購入費、通院等の交通費、さらにおむつなどの生活用品などさまざまな費用が発生します。親や家族の経済状況も把握しておくことも重要なポイントになります。費用がかかることを想定して、今からできる介護用貯蓄も考えておくことをお勧めします。
7.家族や地域とのコミュニケーション
家族や近所との付き合いを大切にしておくことも大切です。何かあったときに支えてくれるのは、身近にいる存在です。家族同士で気軽に話ができるというのは、いざ介護を行うことになったとき、大きな力となります。特に兄弟同士で、自分の家族や将来について話し合うような機会を作ることをお勧めします。家族によってはコミュニケーションがはかれていない場合もあり、そのような会話は難しいとおっしゃる方もいると思いますが、何かあったときに必ず家族には連絡がきて、何かを決定しなければならない状況がきます。そのときのために、どこかのタイミングで話をする機会をうかがってみてください。また、近所に住む人たちとのコミュニケーションも大切です。普段、家族が見落としてしまうような、親のちょっとした変化に気付いてもらえることも珍しくありません。
8.地域のサービスを知る
市町村のサービスを知ることです。住んでいるところでどんな高齢者福祉サービスが行われているかを知るには、市町村の高齢福祉課を訪ねるのが一番です。サービスメニューや申請方法が書かれたパンフレットをもらっておけば、必要になったときにすぐ確認することができます。
頑張りすぎない「心構え」
心構えとして大切なことは、「一人や家族で抱え込まない」「頑張りすぎない」ことです。いったん始めると、いつまで続くのかまったく予測できないのが介護というものです。すべてを一人で抱え込んでしまうと、心身ともに疲れ切ってしまい、共倒れになりかねません。まずは家族とよく話をして、介護におけるそれぞれの役割分担や協力体制を築くことが大切です。突然やってくるからこそ、介護に備えた意識と準備を今から始めましょう!