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中小企業のための「介護離職防止」対策! 第3回 認知症予防の方法

~企業は「人」がいるから売上がある!をサポート~

著者:一般社団法人 日本顧問介護士協会 代表理事  石間 洋美

中小企業のための「介護離職防止」対策! 第3回 認知症予防の方法

要介護状態になるきっかけの第一位は認知症であることから、認知症になる原因、認知症の症状、認知症の方の気持ちと対応方法、認知症介護をするご家族の気持ちなどを前回までのコラムでお伝えしてきました。

認知症の深さを知っていただけたと思いますが、なるべくならば認知症や介護を必要な状態(要介護状態)にはなりたくないと思います。

そこで今回は、認知症予防に関してお伝えします。意識することで防げることはたくさんありますので、是非みなさんの人生のために知っていてほしいと思います。

基本的に認知症の予防には、脳・心・筋肉・内臓の4つのバランスを整えることが重要とされていますので、今からできる予防策を6つお伝えします。


1.脳

脳の機能低下とは、持続的に脳が電気活動をしなくなることで起きると言われています。簡単にお伝えすると、人との交流や、体を動かすなどの外部からの刺激を与えていれば脳の機能低下は防ぐことができます。つまり、人との会話やコミュニケーション、適度な運動が必要だということです。


2.水分摂取

水分摂取量は、最低でも、1日 1,300ml(目指す目安は、「体重×30ml」)と言われています。なぜ水分摂取量に気をつける必要があるかと言うと、体内に毒物や老廃物が蓄積されていくのを防ぐためです。体内の水分は内臓が動くときに潤滑油の働きをします。水分が少ないと内臓が硬くなり、滑らかに動かなくなります。すると、解毒機能を有する内臓の働きも落ちてしまい、体内に溜まりやすくなります。

また、体内の水分不足は血液循環にも影響し老廃物を溜めやすい環境を作ります。 血液循環は体内の毒物や老廃物を外部へ運ぶ役割がありますが、体内の水分量が低下すると、毒物や老廃物が外部へ出されるスピードが遅くなり、出しきれないまま体内に残ります。毒物や老廃物が残ると、全身の各細胞機能が低下し、もの忘れや抑制機能の低下、疲労感、倦怠感などの認知症状が直接現れやすくなりますので、水分摂取量を意識するように心掛けましょう。


3.栄養ある食事

栄養が不足すると、活動力、体力に影響を及ぼします。「内臓に負担がかかる食事」はたくさんあります。砂糖、サラダ油、食品添加物などですが、一番問題となる物は小麦で、腸に穴を空けると言われたりもしています。認知症の方はパン、麺類を好んで食べている方が非常に多いです。小麦に含まれているグルテン(グルジアンとグルテニンが水と合わさったタンパク質)が腸に穴を空け、腸内細菌や本来吸収されない成分が血管内に入り込み、腸を中心とした内臓や血管に炎症を起こすとされています。
食事のカロリーは1日約 1,500kcalを意識し、さらに内臓に負担を掛けない食事(栄養のバランスと小麦の摂取制限)が大切になります。


4.排泄・便秘の解消

便秘が続くと精神状態が不安定になります。便秘をするとイライラする回数が増え、気分(情緒)が変化してしまいます。直腸・下部結腸内にたまった便が腸壁を刺激して交感神経が優位になるため、気分が興奮した状態になり、不穏な精神状態に陥りやすくなります。水分や、食物繊維を多く含んだ食品を多く摂取することを心掛け、便秘予防を意識しましょう。


5.運動

体を動かし、日常生活での活動性を引き上げることが大切です。運動が体力、活動力の向上や維持をもたらして認知の働きに影響をあたえます。運動のポイントは、全身運動であること、軽い運動(有酸素運動)であることとされていますので、日常生活の中に意識して取り入れるようにしましょう。


6.心・生き方のバランス

心は考え方と言ってもいいかもしれません。もしご自身がネガティブだと感じたら、まずは行動から変えてみて、心のバランスを取れるようにしていくことが大切です。では、どのような行動を取ると、心に変化が起きやすいか例をあげます。

行動 :今までしたことないことを始める(テーブル拭き、ボール投げなど)
利他的:人のためになる直接的な行動を取る (家族が嫌がっている家事をするなど)
自力 :自分の力で解決する(薬をやめる、水を飲むなどの意識)
継続 :行動を続けているときに、途中でやめることが多いことを意識して継続する

基本となる部分6つをお伝えしましたが、水分摂取は非常に大切です。水分を摂るとトイレに行く回数が増えることを気にして、積極的に摂取することに躊躇される方もいます。しかし、しっかり摂取して、しっかり排泄することは、体内を循環させ、臓器を正常な働きに戻していきますので、躊躇せず摂取していただきたいと思います。


介護状態になるきっかけの第二位は脳血管疾患ですが、脳血管疾患の予防方法も認知症予防と重複している部分があります。それは、水分と食事です。ですので、食事についてもう少し深くお伝えします。


まず、「脳卒中予防10か条」というものがありますので、ご紹介します。

【脳卒中予防10か条】
1. 手始めに 高血圧から 治しましょう
2. 糖尿病 放っておいたら 悔い残る
3. 不整脈 見つかり次第 すぐ受診
4. 予防には たばこを止める 意志を持て
5. アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
6. 高すぎる コレステロールも 見逃すな
7. お食事の 塩分・脂肪 控えめに
8. 体力に 合った運動 続けよう
9. 万病の 引き金になる 太りすぎ
10. 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ

健康経営に取り組んでいる企業であれば、社員に周知することも一つの取り組みだと思います。
そして、脳血管疾患の予防になる食べ物が6つありますので、効果も含めご紹介します。これらはいろいろなところで目にすることが多いと思いますが、復習も兼ねて見てください。

1 青魚

脳血管疾患(脳梗塞・脳内出血・くも膜下出血)予防になる食べ物は、鯖、鯵、鰯などの青魚です。青魚に含まれるDHAやEPAは血栓をできにくし、LDLコレステロールを下げる働きがあります。

2 野菜

緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンやビタミンCには抗酸化作用があり、活性酸素を除去する働きがあります。動脈硬化の原因は、血管壁のLDLコレステロールが活性酸素によって酸化して固まること(アテローム)です。抗酸化作用によってLDLコレステロールが酸化されるのを防いでくれます。

3 海藻類

水溶性食物繊維やカリウムを多く含みます。水溶性食物繊維は腸内でコレステロールや中性脂肪を吸着し、便と一緒に排泄してくれます。またカリウムは血液中の余分なナトリウムを排泄し、血圧を下げる働きがあります。低カロリーなので、ダイエットにもオススメな食べ物です。

4 果物

ブルーベリーやいちごに含まれるポリフェノールも抗酸化作用があります。また果物はカリウムが多いため、ナトリウムを排泄する働きがあります。ただし糖分も多いため、食べすぎると中性脂肪が増え、血糖値も上昇するので糖尿病の方や血糖値が高めの方は控えます。

5 オリーブオイル、菜種油

オレイン酸を含む油はLDLコレステロールを下げる働きがあり、動脈硬化を予防します。

6 大豆

大豆はマグネシウムとカリウムを含みます。マグネシウムは筋肉と血管の収縮を防ぎ、血液が凝固しすぎないよう保つ働きがあります。

いかがでしたでしょうか。水分と食事は毎日の生活に欠かせません。意識することは大変ですが、少しでも意識して予防をしていただきたいと思います。要介護状態にならないために、家族にも会社にも迷惑を掛けないために、是非強く意識して、長く健康でいてほしいと思います。

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著者プロフィール

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石間 洋美

一般社団法人 日本顧問介護士協会 代表理事

子どもの頃から「人の役に立つ仕事がしたい」という想いを強く持っていて、高校生活のボランティア活動で福祉・介護の世界と出会う。福祉・介護に関わる仕事を目指したく、静岡福祉医療専門学校医療福祉情報科へ入学。卒業後は、介護施設にて様々な経験をする。その後、自身のスキルアップのために介護事務業務、相談業務、マネジメント業務、管理業務を行う。医療福祉接遇インストラクターの資格も取得し、お客様満足度向上のための研修講師も務める。介護の業界に携わり「誰にでも介護はある日突然やってくる」現実を目の当たりにしたとき、もっと多くの方の救いや力になりたいという想いがさらに強くなり、その想いを実現すべく、2020年4月に当協会を立ち上げ、現在は「介護で困る人と困る量を圧倒的に少なくする!」を目標に掲げ活動している。

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