中小企業のための「介護離職防止」対策! 第6回 「ケアマネジャーの探し方と付き合い方」
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家族を介護しながら働く状況になった時、速やかに介護保険サービスを利用することは前回(中小企業のための「介護離職防止」対策!「在宅介護と施設介護について」)までにお話ししてきました。
そして、在宅介護サービスを利用する際や、仕事と介護を両立する上で、欠かせない相棒となる存在は「ケアマネジャー」と呼ばれる方です。
ここでは、そんな重要ポジションとなるケアマネジャーと上手に連携を取るポイントをお伝えしていきます。
ケアマネジャーとは
ケアマネジャーとは、介護・医療・福祉分野の何らかの資格を持ち、実務経験が5年以上等あり、ケアマネジャー試験に合格した人がなれる職業です。
そして、介護保険サービスを利用する時に、必要な存在です。正式名称は「介護支援専門員」と言い、介護保険法に規定された専門職です。要介護認定を受けた人が適切な介護サービスを利用するために、ケアマネジャーは「介護サービス計画書(ケアプラン)」を作成し、市区町村や実際に介護サービスを提供する事業者との連絡や調整を行い、本人の介護サービス全体をマネジメントします。
ケアマネジャーは、本人や家族が必要としている介護サービスを過不足なく利用できるように、本人や家族の立場に立って総合的な支援をする役割を担っています。ケアプランの作成と介護サービス事業者との連絡や調整を行う事業所を「居宅介護支援事業所」と言い、ケアマネジャーはそこに所属しています。適切な介護サービスの提案の他に、介護保険の申請代行、介護に関わる各種手続きなども行う、いわば利用者や家族の立場に立って、総合的な支援をする役割の仕事をしている方たちです。
ケアマネジャーの探し方
まず、ケアマネジャーを探すには、利用者が住んでいる市区町村の介護保険課もしくは地域包括支援センターに行き、居宅介護支援事業所のリストをもらい、そこから探すことが一般的です。
その他にも、かかりつけ医に相談して医療との連携が得意なケアマネジャーを教えてもらったり、同じ地域で実際に介護サービスを利用している人たちの口コミを参考にしたり、友人や知人に介護業界で働いている人がいたら、どんなケアマネジャーが良いかのポイントを聞いたりするのもいいかもしれません。
また、ケアマネジャーになる方は、それ以前に、介護福祉士、ホームヘルパー、看護師、社会福祉士など福祉や医療の仕事を経験しています。利用者が医療に重点を置く必要があれば看護師資格を持つケアマネジャーを、身体介護や家事支援の必要性が高い場合は介護福祉士やヘルパーの資格を持つケアマネジャーを探すのも、ポイントの1つです。
実際にケアマネジャーを選ぶポイントとしては、「人柄」と「能力」を見ることです。
選ぶポイントは具体的に以下の通りです。
・話を親身になって聞いてくれること
・利用者本人と家族の両方に対して公平であること
・介護サービスの専門的な知識を持っていること
・納得できるケアプランを立てられること
・理解しやすい(根拠のある)説明をしてくれること
・介護サービス以外の支援サービスについての知識があること
・守秘義務があることをきちんと説明してくれること
・電話がつながりやすいこと
・すぐに行動してくれること
・常に気にかけてくれていること
・新しい情報を持っていること
などをポイントにして判断することですが、何よりも重要なことは、
「信頼関係を築くことができるか?」
です。
ケアマネジャーと契約する前であっても、介護保険制度の説明を受けたり、相談をしたりすることができます。そのケアマネジャーの人柄・能力を一度で見抜くことは難しいかもしれませんが、この段階である程度伝わってくるものがあると思います。
良いと思うケアマネジャーを見つけたら、ケアプランの原案の作成を依頼します。その時に最初の面談が行われます。そして、ケアプランの原案が良ければ、ケアマネジャーと「居宅介護支援」の契約を締結し、いよいよパートナーとなって介護生活の始まりとなります。
ケアマネジャーとの面談は、介護サービスの利用開始時のみでなく、介護サービス利用中、何度も行われます。面談は、本人や家族、ケアマネジャーにとっても、とても大事です。ケアマネジャーにとっては本人の状態や家族の介護力を計る機会であり、本人と家族にとっては自分たちの希望を伝えて介護サービスを理解するための機会になります。このように大事なパートナーとなるケアマネジャーを探すことが第一の関門となります。
ケアマネジャーの付き合い方
次に、 ケアマネジャーと上手に付き合っていくためには、本人の状況や介護する方を含めた家族の状況や希望をしっかりと具体的に伝えることが大切です。
「何となくわかってくれているはず」「任せてしまえば大丈夫」という考えでは、適切な介護サービスを受けることは難しくなります。ケアマネジャーには厳格な守秘義務がありますから、本人の性格や生い立ち、苦手なこと、癖など多くの情報をケアマネジャーに伝えて、それらを知ってもらうことでより良い介護サービスに繋げていただくことが一番です。
なお、家族が遠方に住んでいる場合は、ケアマネジャーと電話でこまめに連絡を取り合うことが大切です。ケアマネジャーも、離れている家族に本人の状態を常に知ってもらいたいと思っています。慎重に選んだはずのケアマネジャーであっても、うまくいかないこともあります。ケアプランの立て方に不満があったり、利用した介護サービス事業所が気に入らなかったり、ケアマネジャーとの連絡がスムーズに取れないなど、利用者がストレスに感じることは人それぞれです。そういう時は、しっかりと話し合えるかどうかが大きなポイントになります。
そして、ケアプランの内容やサービスの手配の仕方に力量不足や不誠実さを感じたり、信用できないと感じたりした場合は、我慢しなくて構いません。
ケアマネジャーは、利用者が自由に選ぶことが基本なので、変更ができます。
同じ居宅介護支援事業者の中に複数のケアマネジャーがいれば他の人に変更することができますし、事業所を変更することも可能です。ケアマネジャーや居宅介護支援事業者を変更しても、原則として利用中の介護サービスは継続できることになっています。ケアマネジャーを変更したい時は、居宅介護支援事業所に変更したい旨を伝えるのが一般的です。「何となく嫌だから」といったあいまいな理由にせず、具体的に困っていることを伝えることが大切です。また、別の居宅介護支援事業所や地域包括支援センターに相談してみるのも1つの方法です。
介護サービスは生活を支えるためのものです。効果的に利用するためには、本人と家族とケアマネジャーが同じ目標を持っていることが大切です。在宅介護がスムーズにできるかどうかは、良いケアマネジャーが担当するかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。