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従業員満足度とは? 高める方法やメリット、企業の成功事例を解説

監修者:西岡社会保険労務士事務所 代表  西岡 秀泰

従業員満足度とは? 高める方法やメリット、企業の成功事例を解説

職場や仕事に対して、従業員がどのくらい満足しているかを表す「従業員満足度」。

何に満足を感じるかは人によって異なりますが、企業が押さえておくべきポイントがいくつかあります。

この記事では、従業員満足度を高める方法やメリット、成功事例を解説します。マネジメント層の方は、ぜひご一読ください。


従業員満足度とは?

従業員満足度(Employee Satisfaction、略してES)とは、職場や仕事に対する従業員の満足度を表すものです

従業員によって何に満足を感じるかは異なりますが、給与などの待遇や企業理念、業績、仕事内容、職場内の人間関係、社内での評価などが考えられます。

国民生活金融公庫が中小企業を対象にした従業員満足度の調査では、従業員が働くうえで重視していることの上位項目は次の通りです。

  • 給与水準
  • 労働時間・休暇
  • 雇用・給与の安定
  • 職場の雰囲気や人間関係
  • 自分の能力を発揮できること
  • 仕事の達成感 
  • 適正、公正な人事評価

給与などの待遇に関する項目を重視する人が多いですが、「企業の業績や将来性」や「経営者の人柄」をあげる人も一定数います


従業員満足度が高い会社と低い会社

従業員満足度が高い会社と低い会社には、どのような違いがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

高い会社の特徴

従業員満足度が高い会社は、離職率が低下し、人材が定着します

それにより、頻繁な人材募集や初期教育を減らすことができるだけでなく、社内に中核となる人材が育ちやすくなるため組織が活性化します。

人材育成と組織の活性化が進むと、従業員同士が連携して積極的に業務に取り組むようになるため、会社の生産性も高くなります。

これらの成果が実感できれば、従業員満足度はさらに向上し、会社業績に貢献するという好循環も期待できます。

また、提供する商品やサービス、接客などのレベルアップにより、顧客満足度も高まります。

低い会社の特徴

従業員満足度が低い会社は、従業員の定着率が低くなるため、人材の育成が進まず、業務遂行に必要な組織作りが難しくなります

会社の生産性は高まらず、会社業績も伸び悩むことでしょう。

顧客に対して十分な商品やサービスが提供できなくなり、顧客満足度の低下も引き起こします。商品やサービスの質の低下が、口コミによって短期間で世間に広まることもあるでしょう。

さらに、従業員満足度の低い会社は、転職サイトの口コミなどの影響で採用が難しくなるなど、新規採用にも影響を与えます。


従業員満足度を高める要素

従業員満足度を高める次のような要素を理解しておけば、適切に対策できるようになります。

企業への期待や誇り

企業への期待や誇りは、従業員満足度に影響します。

従業員が企業理念に共感すれば、会社から与えられた仕事と自分のやりたいことが一致したり、近づいたりするからです。

また、企業が社会に役立っていると感じられれば、自分の仕事に誇りを持てるでしょう。

企業の成長が見込まれる場合、会社の発展とともに自分も成長し給与が増えたり重要な仕事を任されたりすることがイメージしやすくなります。

やりがい

仕事のやりがいも、従業員満足度を高める重要な要素です。

仕事や目標をやり遂げたときの達成感や、社会や会社業績に貢献できたときの満足感や喜びは、従業員満足度を大きく高めます。

このような経験を積むことで、従業員が自分の成長を感じたり、承認欲求を満足させたりする効果も期待できます

仕事に対するモチベーションが高まり、仕事を提供してくれる会社の重要性もアップします。

人間関係

企業や仕事に対する満足度が高くても、職場内の人間関係が悪ければ従業員の満足度は低下します。

従業員の働きやすさには、人間関係が大きく影響するのです。

人間関係が良好で、何でも話せる同僚と協力して仕事ができれば、業務効率もアップするでしょう

頑張りが評価されることにもつながります。

報酬や処遇

報酬や処遇は、従業員満足度を高める大きな要素です。

国民生活金融公庫が中小企業を対象にした従業員満足度の調査では、従業員が働くうえで重視していることのトップは「給与水準」、次いで「労働時間・休暇」という結果になっています。

給与水準が高ければ、生活が豊かになることが期待できます。また、仕事だけでなく、私生活も充実させる働き方を求める人が増えています。

労働時間が過重でなく、休暇が十分に取れれば、ワークライフバランスの実現も可能です。

仕事の成果が適切に給与アップや昇給に反映されること、福利厚生制度が充実していることなども、従業員満足度のアップに寄与します。

上司によるマネジメント

上司の適切な指示やフォローがあれば、従業員は業務をスムーズに行えます。

上司に評価されたり、大事な仕事を任されたりすると、従業員もやる気になって積極的に仕事ができるようになるものです。

上司のマネジメントも職場環境のひとつといえます。


従業員満足度を高める方法

ここでは、従業員満足度を高める方法を解説します。

企業ビジョンを共有する

企業ビジョンを従業員と共有すると、組織に一体感が生まれ、働くモチベーションが高まります

まずは、ビジョンを従業員に周知します。経営トップが発信するだけでなく、スローガンを掲示するなどの方法も有効です。

次に、ビジョン実現に向けた具体策を立てます。

部署ごとにやるべき業務や目標を定めるとともに、実施状況などをフォローし、従業員と共有しましょう。

また、企業ビジョンの実現に向けたプロジェクトチームや貢献した人を評価する仕組みにするなどの方法もあります。

職場環境を見直す

職場環境を見直して、従業員が働きやすい環境を整えることで、従業員満足度を高めることが期待できます。

オフィス環境を整えること以外にも、仕事のやり方を変える、職場内のコミュニケーションを密にするなどの方法があげられます。

仕事のやり方を変えて業務を効率化できれば、残業が減り、休暇が取りやすくなります。

私生活で時間のゆとりができると、仕事にも集中しやすくなるでしょう。

また、打ち合わせの機会を増やし、役割分担を定期的に見直すなどして、コミュニケーションが取りやすい環境を作ることも大切です。

報酬や処遇を見直す

報酬や処遇は、従業員満足度に直結します。

すぐに給与アップすることは難しくても、従業員の働きを公平に評価する人事評価制度を設けたり、評価をフィードバックする仕組みを整えたりすることによって、従業員の納得感を高めることは可能です。

また、リフレッシュ休暇や法定外の育児休暇など企業独自の休暇制度を設けたり、家賃や資格取得費を補助する仕組みを設けたりする方法もあります。

ワークライフバランスを重視する

ワークライフバランスを整える主な方法は、従業員の残業を減らし、休暇を取りやすくすることです。

「原則定時に帰る」「仕事が終わったらすぐに帰る」など、残業に対する習慣や意識を変えることで、残業を減らす効果が期待できます。

また、業務を効率化して仕事量を減らすことも必要です。

休暇については、企業が休暇取得を推進する、育児・介護休暇に関する研修を行うなど、休暇を取りやすい雰囲気作りが重要です。

また、休暇中の従業員の業務をフォローする仕組みがあれば、安心して休暇が取得できます。


従業員満足度が高いメリット

従業員満足度が高いと、次のようなメリットがあります。

生産性が向上する

満足度の高い従業員は、積極的に業務に取り組み、効率的に仕事をするようになります。

そのような従業員が多ければ、生産性の向上につながります。

また、満足度の高い従業員が増えると組織が活性化し、従業員間のコミュニケーションが活発になります。

効率的に業務が行われるようになるだけでなく、創造的な商品やサービスが生まれることも期待できます

人材流出が抑えられる

満足度の高い従業員は、退職する可能性が低くなります。

従業員の離職率が下がり、勤続年数が長くなると、経験やスキルが豊富で会社の中核となる人材が育ちます

また、離職率が低いことによって採用がしやすくなり、優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。

顧客満足度が高まる

従業員が積極的に業務に取り組み、組織が活性化すれば、企業が提供する商品やサービスの質が高まります。結果的に、顧客満足度も向上するでしょう。

また、満足度の高い従業員ほど、自社の商品やサービスの長所を理解し、他社に負けないように改善を図ろうとします

営業や販売を行う従業員は、自信を持って自社の商品やサービスを紹介できるため、顧客にも好印象を持たれやすいでしょう。


従業員満足度向上の事例

ここでは、従業員満足度の向上に成功した企業の事例を紹介します。自社での取り組みを考える際の参考にしてください。

株式会社セールスフォース・ジャパン

株式会社セールスフォース・ジャパンは、GPTWの2022年版 日本における「働きがいのある会社」のランキングベスト100で、従業員1,000名以上の企業の第1位に選出されました。

さまざまな項目で高い評価を受けていますが、特に従業員の意見をよく聞いて、迅速に諸施策に反映させる点が評価されています

自分の考えが会社の施策に反映することで、従業員はやりがいを感じているようです。

また、リモートワークでもオンラインイベントを行うなど、社内のコミュニケーション促進にも取り組んでいます。

Sansan株式会社

Sansan株式会社は、従業員満足度を高めるために社員同士のコミュニケーションの活性化に取り組んでいます。

コミュニケーションの場として「Sansan One」というオフィスを設け、従業員が仕事や休憩などで自由に使えるスペースを提供しています。

午後6時以降はバーとして開放されています。

また、別の部署の人と同席が必須の「Knou Me」と呼ばれる、1回3,000円の飲み会補助制度などで、部署間の交流を図っています。

株式会社Speee

株式会社Speeeでは、従業員満足度の向上策として、オフィスの各フロアに「仮眠・集中スペース」を設置しています

従業員の自主性を重んじて、時間や回数の制限なく自由に利用できます。

仮眠だけでなく、体調が悪くて休みたいときや仕事に集中したいときなど、利用目的も制限がありません。

利用率が高く、従業員の満足度も高いといいます。

オフィス環境の整備が、従業員満足度に好影響を与えている事例です。


従業員満足度についてのまとめ

従業員満足度を高めるには、押さえておくべきポイントがあります。

特に、報酬や処遇は従業員満足度に直結するため、評価制度を整えるなど、できることから始めていきましょう。

中長期的には、ライフワークバランスの改善や給与アップなど、従業員が公私共に満足できるような働き方を考えることが重要です。

実際に従業員の意見も聞きながら改善を進めると、より効果的な施策につながります。


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監修者プロフィール

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西岡 秀泰

西岡社会保険労務士事務所 代表

生命保険会社に25年勤務し、FPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。
2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。
得意分野は、人事・労務、金融全般、生命保険、公的年金など。

【保有資格】社会保険労務士/2級FP技能士

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