このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

ウェルビーイングの意味は? 効果や取り入れ方・成功事例を紹介

著者:   bizocean編集部

ウェルビーイングの意味は? 効果や取り入れ方・成功事例を紹介

近年、「幸福」や「充実した状態」を意味する「ウェルビーイング」という言葉が世界的に注目を集めています。

この記事ではその意味をはじめ、注目されている社会的背景やビジネスに取り入れた際の効果、さらにウェルビーイングを取り入れた企業の成功事例について紹介します。


ウェルビーイングの意味

ウェルビーイング(well-being)とは「幸福」とも翻訳されますが、瞬間的な幸せではなく、身体的・精神的・社会的に良好な状態や充実した状態、持続的な幸せを意味する概念です。

ウェルビーイングは、1946年の世界保健機関(WHO)の憲章前文で初めて言及されました。

そしてウェルビーイングに関する調査を行っているアメリカのギャラップ社では、ウェルビーイングは「キャリア」「ソーシャル」「フィナンシャル」「フィジカル」「コミュニティ」の5つの要素で構成されていると提唱しています。

また、ウェルビーイングに似た言葉としてよく「ウェルフェア(welfare)」が挙がりますが、ウェルフェアは「福祉」や「福利厚生」などを意味する言葉で、ウェルビーイングとは異なります。

しかし、ウェルフェアがあって、ウェルビーイングが実現できるため、まったくかかわりのない言葉というわけではありません。


ウェルビーイングが注目される5つの背景

現在、ウェルビーイングはさまざまな社会的背景によって注目を集めています。その主な社会的背景とは以下の5つです。

1. SDGsにおける言及

世界の共通目標であるSDGs(持続可能な開発目標)には17の目標があり、その中の目標3が「GOOD HEALTH AND WELL-BEING(すべての人に健康と福祉を)」を掲げています。

昨今、SDGsに取り組む企業が増加しており、このSDGsにおける言及によってウェルビーイングも関心を集めているのです。

2. 国をあげた働き方改革の推進

近年、政府が推進しているのが「働き方改革」です。

厚生労働省では「働き方改革」の目指すものを

❝(一部抜粋)働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがよりよい将来の展望を持てるようにすること❞

としています。

(引用:厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

要するに政府が推進している働き方改革の目指すものと、ウェルビーイングな働き方は近いところにあり、働き方改革を進める企業を中心にウェルビーイングについて関心が高まりつつあるのです。

3. 労働力減少と人材の流動化

日本を含む先進国では、少子高齢化に伴う労働人口の減少で、労働力の不足が深刻化しています。

そのため、企業は優秀な人材の確保および人材の流出を防ぐために、従業員が働きやすく、働きがいのある職場づくりを行わなければなりません。

すなわち、人材の定着にはウェルビーイングを意識した職場づくりが必要不可欠なのです。

4. 多様な価値観やバックグラウンドへの意識向上

グローバル化が進む現代社会において、人々の価値観も急速に多様化しています。

また、年齢、性別、人種、宗教など、あらゆるバックグラウンドをもつ人たちとかかわりを持つ機会も増えました。

このような状況下において企業でも多様な価値観やバックグラウンドを尊重し、従業員の能力を最大限発揮できる環境づくりが求められています。つまりは多様性を受け入れる意識改革とウェルビーイングを重視した労働環境の改善が求められているのです。

5. コロナ禍における健康意識の高まり

新型コロナウイルスの感染拡大は、人々が健康であることの大切さを知るきっかけとなり、健康への意識が高まりました。

また、自分や家族にとっての幸せとは何かを振り返る機会となり、今までの働き方を見直す人も出てきました。

一方で感染対策として多くの企業でテレワークが導入されましたが、テレワークによってコミュニケーション不足や心身の不調を訴える人が増えるなど、新たな問題も生まれました。こうしたコロナ禍で自分を見つけ直した結果、心身と社会的な健康を目指すウェルビーイングな働き方に注目が集まっています。


幸福度に見る国内外でのウェルビーイング状況

国際連合がこのほど発表した2022年度版「世界幸福度ランキング」によると、日本は146カ国中54位でした。そして5年連続で1位を獲得したのがフィンランドです。フィンランドではウェルビーイングの考え方が尊重されており、ウェルビーイングの社会モデルとして注目されている国です。

そして2位デンマーク、3位アイスランド、7位スウェーデン、8位ノルウェーと上位10カ国中にワークライフバランスや社会保障制度の整備が進み、暮らしやすいとされる北欧5カ国がランクインしています。

一方、日本はここ数年でやっと「ワークライフバランスの改善」「ウェルビーイングの向上」といったことが叫ばれるようになり、「ウェルビーイングが浸透した」という状態ではないと考えられます。

(参照元:https://worldhappiness.report/ed/2022/happiness-benevolence-and-trust-during-covid-19-and-beyond/#ranking-of-happiness-2019-2021


ビジネスにおけるウェルビーイング

ウェルビーイングはこれまで社会福祉や医療分野で使われていた言葉でした。

しかし昨今、ビジネスシーンにおいても働き方や多様な価値観への意識向上に対応する概念として重視されています。

また、従業員の心身の健康維持・向上を目指し、業績向上につなげる「ウェルビーイング経営」も近年、注目を集めています。


企業がウェルビーイングに取り組んだ場合の効果

企業がウェルビーイングに取り組むことは、従業員だけでなく企業においても多くのメリットがあります。

例えば、医療費の削減や生産性の向上、離職率の低下などが期待できます。

医療費の削減につながる

組織全体でウェルビーイングに取り組むことで、従業員は心身ともに健康的な暮らしが維持できるため、体調を崩すことが減って医療費の削減につながります。

また、身体的・精神的に満たされて仕事をしていることから、休職者の発生防止も期待できます。

生産性の向上が期待できる

ウェルビーイングの推進によって働きやすい環境が整えば、従業員一人ひとりのモチベーションやワークエンゲージメントが高まり、生産性向上が期待できます。

生産性が上がるということは企業業績アップにもつながります。

離職率の低下が期待できる

ウェルビーイングの取り組みによって従業員満足度が向上すれば、退職したいと考える従業員は減るため離職率低下につながります。

また、従業員の心身状態を注視することで不調を早い段階で察知できるため、人材定着にもつながります。

成功事例から学ぶウェルビーイングの取り入れ方

では、企業はウェルビーイングをどのように取り入れればよいのでしょうか、ここでは4つの成功事例を紹介します。

国内大手インターネット関連企業A社の事例

A社では独自の健康宣言「Well-being First」を掲げ、ウェルネス部を設置。このウェルネス部を中心として、ステークホルダーすべての健康をサポートしています。

また、心身の健康分析のために「ウェルネスサーベイ(調査)」を実施し、従業員参加型のウェルネスセミナーやイベントを積極的に行い、従業員の健康維持・向上に取り組んでいます。

さらに新型コロナウイルスの存在を前提とした「ニューノーマル時代」に合った持続可能なチームのあり方も示しています。

国内老舗オフィス家具メーカーB社の事例

独自の健康経営宣言を制定し、健康経営に関する取り組みとして「運動報奨金」の導入や朝礼を活用しての社員全員でのストレッチを実施しています。

また、禁煙の推奨や健康ランチの販売、就業時間中の休憩スペース「リチャージルーム」の設置など、従業員の心身を健やかに保つためのサポートも充実させています。

そして心身の健康に配慮した空間づくりにも力を入れており、本社オフィスはWELL認証の「ゴールド」レベルを取得しています。

国内コンビニエンスストアチェーンC社の事例

C社では従業員本人だけでなく家族を含めた健康へのサポートを行っています。

社長自らが健康ステーション推進委員会委員長として「健康推進委員会」を設立。健康への取り組みや成果を分析した「健康白書」の作成や、健康に関するタスクを実行するたびにポイントを付与する「ヘルスケアポイント」など、さまざまな取り組みを行っています。

また、「復職者支援プログラム」を導入するなど、よりよい職場環境の実現を目指しています。

外資系一般消費財メーカーD社の事例

地球の健康改善や人々の健康、ウェルビーイング改善を掲げ、取り組みを行っているのがD社です。

まず、地球環境改善に向けて、CO2排出量実質ゼロへのアクションや、循環型経済への移行などを実施。

また、いつでもどこからでも働ける「WAA」制度や世界共通の公正な人事制度を導入し、従業員が自由で自分らしい働き方ができるように取り組んでいます。

さらに従業員一人ひとりの人生の目的を重視した人材育成も行っています。


まとめ

ウェルビーイングは、SDGsにおける言及や働き方改革の推進などさまざまな社会的背景があり、近年広く知られるようになりました。

そしてビジネスにおいてもウェルビーイングを意識した環境整備を行うことで多くのメリットが期待できることから、大企業を中心にウェルビーイングを実現する取り組みが進んでいます。

この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

著者プロフィール

author_item{name}

bizocean編集部

この著者の他の記事(全て見る

bizoceanジャーナルトップページ