就業規則の届出期限はある? 届出をしなかった場合の罰則や届出手順も解説
就業規則とは、労働条件をはじめとする、社内のルールをまとめたものです。
常時10人以上の従業員がいる事業所は、就業規則を作成して労働基準監督署に提出することが、労働基準法によって定められてます。
本記事では就業規則について、届出期限や提出が必要なケース、具体的な提出の手順などを紹介していきます。
就業規則の届出期限はない
就業規則の届出に、明確な期日は定められていません。
しかし、労働基準法規則の第49条には、常時10人以上の従業員を雇うようになった場合に、「遅滞なく」就業規則を届け出るようにとされています。
ただし、届出がない場合の罰則は別途定められているため、期日が決まっていないからといって先延ばしにせず、できるだけ速やかに届け出るようにしましょう。
就業規則の届出が必要なケース
就業規則の届出が必要になるのは、従業員が10人以上になったときと、就業規則に変更があったときです。それぞれ見ていきましょう。
従業員が10人以上になったとき
常時雇用している従業員の人数が10人以上になった際は、就業規則の作成と届出が必要です。
届出は会社単位ではなく事業所単位で行うため、既に本社で届出ているとしても、新たな事業所で従業員が10人を超えた場合、別途届出が必要です。
また、ここでいう従業員とは、毎日出勤する正社員だけではなく、パートやアルバイト、契約社員などの非正規労働者も含まれます。
就業規則が変更になったとき
就業規則を変更した場合も届出が必要です。
変更した際には、「就業規則(変更)届」を作成し、就業規則を変更した旨と、変更内容をそれぞれ記載します。
また、就業規則を変更する際には、労働者の過半数を代表する者の意見書も併せて必要です。
就業規則の届出をしなかった場合の罰則
就業規則を提出しなかった場合、労働基準法120条により、30万円以下の罰金が定められています。
前述のとおり、届出に明確な期限は設けられていませんが、あまりにも届出が遅くなったり、失念した場合は罰則の対象となります。
従業員数が10人を超えることが見込まれたら、できるだけ速やかな作成を心がけましょう。
就業規則の届出に必要な書類
就業規則を提出する際には、就業規則そのものに加えて、労働者の意見をまとめた「意見書」と、「就業規則(変更)届」がそれぞれ必要です。
なお、いずれの書類も2部ずつ用意し、1部は会社側の控えとなります。
就業規則
就業規則に記載する内容には、必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」と、定めがある場合に記載しなければならない「相対的必要記載事項」があります。
それぞれの内容は以下のとおりです。
絶対的必要記載事項
- 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
- 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
相対的必要記載事項
- 退職手当に関する事項
- 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
- 食費、作業用品などの負担に関する事項
- 安全衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰、制裁に関する事項
- その他全労働者に適用される事項
就業規則(変更)届
画像出典:就業規則(変更)届 | 栃木労働局
就業規則(変更)届は、提出する労働基準監督署の所長宛に作成します。
記載する内容は、業務規則を作成(変更)したという旨に加え、会社の所在地や名称、代表者名などの基本情報になります。
また、業務規則を変更する場合は、変更点についての記載も必要です。決まった様式はありませんが、ビズオーシャンのテンプレートからダウンロードすることも可能ですので、ぜひご利用ください。
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意見書
画像出典:意見書(就業規則) | 栃木労働局
就業規則の作成や変更の折には、労働者の意見も聞くことが必須です。
届出の際に提出する意見書には、労働者の過半数を代表する人に、就業規則についての意見を記載してもらいます。
このとき、もしも反対意見を書かれたとしても、届出は問題なく受理されます。
ただし、手続き上問題がないといっても、従業員が就業規則に納得できていない状態は望ましくありません。
納得してもらえるよう、できるかぎり丁寧な説明を心がけましょう。
就業規則の届出手順
就業規則を届け出る際の手順は、以下のとおりです。
- 就業規則の作成、または変更
- 従業員の過半数を代表する者による、意見書の作成
- 就業規則(変更)届の作成
- 管轄の労働基準監督局に提出
各書類は、前述のとおり2部ずつ提出し、そのうち1部は会社控えとして返却されます。労働基準法により保管が義務付けられているため、紛失しないよう適切に扱いましょう。
就業規則の届出期限についてのまとめ
就業規則の届出について、届出が必要なケースや、必要書類、手順などを紹介しました。
就業規則とは、労働条件をはじめとする、社内のルールをまとめたもので、常時雇用する従業員が10人以上になったら作成して届け出る必要があります。
提出期限に具体的な定めはありませんが、提出しない場合は罰則があるため、できるだけ早く届け出るようにしましょう。