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リベラルアーツとは? 意味と必要性、学ぶ方法を解説

監修者:officeたまこぶ 代表 / 国家資格キャリアコンサルタント  宗像 陽子

リベラルアーツとは? 意味と必要性、学ぶ方法を解説

リベラルアーツは、グローバルな時代に対応するための学問です。価値観が多様化した現代社会で、固定観念に捉われることなく自由な発想ができることを目的とした学びであり、大学の授業でも取り入れられています。

今回は、リベラルアーツの意味や必要性、学ぶ方法について解説します。変化が激しい現代社会において必要とされる人材育成を行うために役立つ学問ですので、ぜひ参考にしてください。


リベラルアーツとは?

まずは、リベラルアーツとは何か、一般的な教養教育との違いについて解説します。

リベラルアーツの意味

リベラルアーツとは、「こうあるべき」という固定概念から解放され、生きるための力を身につけるための学問です。グローバルな時代を迎え、価値観が多様化した現代社会で、考える引き出しを増やし、人生を豊かにする学びとも言えます。

日本語では「教養教育」と訳されることが多いですが、実際は少し異なります。かつて大学で行われていた「教養教育」は、社会に出て働くために必要な知識や情報を獲得するために、専門教育の前に学びました。

一方のリベラルアーツは、明確な答えがない問題に対して、知識やスキルを用いて対処することを目的としています。課題解決型の実践的な学習スタイルで、専門学科として習得可能です。

大学でもリベラルアーツが取り入れられている

リベラルアーツの歴史は古く、古代ギリシャで生まれ、古代ローマに受け継がれました。言語系3学(文法・論理・修辞)と数学系4学(算術・幾何・天文・音楽)の自由7科から構成され、人が自由に生きるための学問が起源と言われています。

現在、英国、米国を経て伝わったリベラルアーツを取り入れる日本の大学が増えています。その背景には、現代社会を生き抜くために必要な知識や学びの変化が挙げられます。

かつて日本の大学では、専門教育を優先させ、スペシャリストを育成する傾向にありました。入試で学ぶための科目も限定され、「専門分野は詳しいが、専門外のことはあまり知らない」という人材が大量に生み出されました。

しかし、複雑化する社会では、いくつもの要因が絡み合う問題や課題を解決しなければならない機会が増加しています。さまざまな分野の知識を持ち、多角的に物事を捉えて考える力が必要になってきました。

そこで、課題解決型の実践的な学習スタイルで、「なぜ?どうして?」を大切にするリベラルアーツ教育を取り入れる大学が増えてきたのです。早稲田大、国際基督教大、上智大、立命館大など、さまざまな大学の授業で取り入れられています。


リベラルアーツはなぜ必要か

長い歴史を持つリベラルアーツが、なぜ現代社会で必要とされているのでしょうか。主に3つの理由がありますので、解説していきましょう。

グローバル社会に対応するため

リベラルアーツが必要とされているのは、グローバル社会に対応するためです。海外進出や外国人との交流機会の増加など、グローバル化が急速に進展しており、各国の文化や価値観の違いを受け入れる必要が出てきました。

しかし、現在起きている国際紛争の多くは、民族も宗教も違う人たちが「我々の考えは正しい」と主張し合った結果によるものが大半です。だからこそ、正解を見つけるよりも、ものの考え方や感じ方が違う人たちのなかで、それぞれの立場を理解し、主張を認め合ったうえで共存につなげる力が求められています。

他国の文化や価値観を理解するためにも、リベラルアーツの必要性は高まっているのです。

多面的に判断できる人材が必要なため

リベラルアーツが必要な理由として、「多面的に判断できる人材が求められている」ことも挙げられます。会社経営が複雑化するなか、企業は状況に応じて臨機応変に判断できる人材を重視しています。

たとえば、ロングセラーの商品の売り上げに陰りが出た場合、原因がアピール不足ならば、今までの販売手法に固執せず、対応していかなければなりません。今、何が必要で、どんな行動をすべきか、常に自分の頭で考え、ハートで感じ、自主的に判断することが求められます。その力を養うためにも、あらゆる知識をスキル化できるリベラルアーツが必要です。

固定概念にとらわれない人材が必要なため

固定観念に捉われない人材が求められていることも、リベラルアーツが必要な理由の1つです。グローバル社会は変化が激しく、柔軟で新しい考え方が不可欠です。

たとえば、学歴重視の固定観念が強い場合、企業は本当に必要な人材を確保できないかもしれません。また、以前の日本企業は「上司の指示や命令は絶対に従う必要がある」とされてきましたが、現在は行き過ぎた命令はパワーハラスメントとして問題視されています。

企業側が変化に対応し、さらなる成長をするためには、構成する人材こそ柔軟な発想の持ち主であることが求められているのです。


社会人がリベラルアーツを学ぶ方法

ここまでは、リベラルアーツを学ぶ必要性について解説してきました。ここからは、実際にリベラルアーツを学ぼうと考えたとき、どのような方法があるのかについて解説します。

専門知識を学ぶ

まずは、自分で考えていくための基準や軸を身につけるための専門知識を学びます。大事なのは、正確な情報を学ぶこと。精度が高ければ高いほど、物事の本質が見えるだけでなく、物事を判断するときに、「なんとなく」という曖昧さがなくなります。

「何から取り組んだらよいかわからない」という場合は、自分が興味を持った領域や詳しい分野の専門知識を深めましょう。興味のある分野の専門書を読んだり、講座や学校を活用したりして、精度の高い専門知識をストックしてください。

専門外の知識を学ぶ

リベラルアーツを学ぶには、専門外の知識を学ぶことも大切です。習得したスキルの判断や根拠を高めるために必要だからです。専門知識だけで「問題ない」と判断できたとしても、専門外の知識を学べば、視点の幅が広がるため、物事の捉え方や思考が柔軟になり、視野の広いアイデアや課題解決法につながる可能性が生まれます。

たとえば、今まで参加していたところとは別のコミュニティへの参加など、手軽にできることから始めてみましょう。自分の興味を広げるきっかけにもなります。また、興味があっても深掘りしたことがない領域の学びも、専門外の知識を広げるために有効です。

幅広い教養を身につける

幅広い教養を身につけることも、リベラルアーツを学ぶ方法の1つです。教養の蓄積こそ、物事を多角的に捉え、判断する力を養うことにつながるからです。

現代社会の問題は、さまざまな要因が絡み合っています。たとえば高齢化の問題は、心理、経済、社会福祉といったさまざまな分野の知識が必要です。特定の専門知識だけでは解決につながるわけではないからこそ、幅広い教養を身につけることが重要になってきます。

一見、関係ないような趣味の分野とビジネスの類似性を考えることや、哲学書や歴史書を読み、「なぜこのような思想や結果になったのか」を論理的に考えることが、自分の力に変わります。


リベラルアーツについてのまとめ

リベラルアーツは、「こうあるべき」という固定概念から解放され、生きるための力を身につけるための学問です。古代ギリシャで生まれた歴史の古い学問ですが、価値観が多様化する現代社会でこそ必要とされる学びとなっています。

大学の授業でも取り入れられつつありますが、広い視野を持って自由な発想が求められる社会人にこそ必要な学びです。会社のさらなる成長のためにも、人材育成の方法の1つとして取り入れてみてください。

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監修者プロフィール

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宗像 陽子

officeたまこぶ 代表 / 国家資格キャリアコンサルタント

大学卒業後、地方新聞社のスポーツ記者などを経て、キャリアコンサルタントに転身。

公共機関や都内私立大学で学生や既卒者の就職支援に当たった後、フリーランスとして独立。

現在は、「その人のありのままを受け止める」姿勢を大切に、複数の大学で学生のキャリア支援に従事するほか、氷河期世代や高校生向けの講座への登壇、ライティングと幅広い活動を展開している。

新聞記者経験で積み上げた文章力を活かした応募書類作成や講座が得意。

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