リフレクションとは? 意味や人材育成における活用方法・効果を解説
リフレクションは、人材育成に重要な教育方法です。過去の業務経験を客観的に振り返ることで、新しい知見を得ることを目的としていますが、具体的にどのように活用していけば良いのでしょうか。
今回は、リフレクションの意味や効果、活用方法について解説します。
従業員が効果的なリフレクションを行い、成長するための参考にしてください。
リフレクションとは?
まずは、リフレクションとは何かについて解説します。
企業におけるリフレクションの意味
企業において「リフレクション」は、人材育成の分野で使われる言葉です。
過去の仕事上の経験を振り返ることによって、学習を促す教育方法の一つとして知られています。
新しい知見や視点への気づきを促し、学びを深めるために、あえて日々の業務や現場から一旦離れ、過去の業務経験を客観的に振り返ることを意味します。
企業のリフレクション支援としては、大きく分けて二つの手法があると考えられます。
一つは、リフレクションの機会を通常業務から切り離し、特別なイベントとして従業員に実践させる方法です。
もう一つは、通常業務に、リフレクションの実践を習慣化させる行動をあらかじめ組み込んでおく方法です。
例えば、毎日の業務日報にリフレクションを促す質問や課題をあらかじめ用意しておいたり、社内ですでに導入済みのタレントマネジメントシステム(従業員の満足度調査や育成プログラムなど、幅広く活用可能)の中で日報の機能の一部として利用できる場合は、そのシステムの中でリフレクションを実践するルーチンを設定しておくこともできます。
そのようなシステムの中にリフレクション機能を組み込むことができると、後日蓄積されたデータを分析してリフレクションの実施頻度や、内容や効果の傾向を俯瞰してみることも可能になり、本人だけではなく組織としても活用価値の高いデータになります。
反省とリフレクションの違い
「リフレクション」に似た言葉である「反省」も、ビジネスで使われる言葉です。
どちらも振り返りを意味しますが、その目的やニュアンスには明確な違いがあります。
「反省」は、ある業務経験に関して良くない結果や事象を見つけて、改善することを目的に行う振り返りを意味します。結果が良ければ、反省自体が不要と認識される可能性も示唆される言葉です。
一方、「リフレクション」の振り返りには、対象の業務経験の結果の良し悪しは関係ありません。
一連の経験全体から得られた教訓や気づき、学びについて認識し、客観的に自分を見つめ直すことで、新しい知見を得ることが目的です。
リフレクションの具体的な活用方法
ここからは、リフレクションをどのように行っていけば良いか、具体的な活用方法について解説します。
ある出来事をピックアップして振り返る
ある社内プロジェクトをリフレクションの対象とする場合、基本的な手順は以下のとおりです。
- プロジェクトの具体的な工程や事象の流れを振り返る
- 同じ対象について、自分以外のステークホルダーや作業環境を振り返る
- 同じ対象について、自分の行動や考え方を振り返る
リフレクションを行う際は、その時の感情がよみがえることも十分ありえますが、客観的な振り返りを行うことが重要です。
起こった事柄と自分の感情を極力切り離して、振り返るようにしてください。
工程ごとに分解して振り返る
新企画のプロジェクトを立ち上げる場合、企画が実現するまでの全工程を、フェーズごとに分解して振り返ります。基本的な手順は以下のとおりです。
- プロジェクトの具体的な工程に沿って、細かい単位に分解する
- 各工程ごとに、事象と進行の様子をできるだけ客観的かつ詳細に振り返る
各工程ごとに振り返りを行うことで、課題が多く発生した工程と上手く進んだ工程が見えやすくなります。今後に向けての知見や、改善のポイントを把握しやすくなるでしょう。
「できたこと」と「できなかったこと」を振り返る
リフレクションでは、「できたこと」と「できなかったこと」を分けて振り返ります。
以下の点に注意して行うようにしてください。
- 「できたこと」または「良かったこと」については、次回以降により良くする方法を探る
- 「できなかったこと」については、何が良くなかったのか、客観的に事象や環境的な状況、自分を含めた関係者の感情を分けて整理します。「他者」を責めるのではなく、客観的な事実に焦点を当てましょう。何をどう改善するのが良いか、関係者と協力して見つけることが重要です。
次回につながる改善策を考える
リフレクションで振り返りを行う場合、次回につながる改善策を未来志向で考えることが重要です。
取り上げた出来事やプロジェクトでは問題なかったとしても、次回は同じ結果ではない可能性も十分考えられます。
また、同じ結果を出すためには、別の方法もあるかもしれません。
ある出来事やプロジェクトについて、先入観を持たずに多面的かつ客観的に振り返ることが、次回に役立つ改善策の発見につながります。
心理学を活かしたリフレクション
「ジョハリの窓」は自己分析に使われる手法であり、 リフレクションに用いられる心理学として一般的に知られています。
自分が自分自身を見る「窓」と、他者が自分を見る「窓」があると考え、それぞれの窓から見た自己の情報を4つの窓に分けて、自分自身の理解を深める考え方です。
開放の窓: 自分も他者も知っている自分
盲点の窓: 自分は気づいていないが、他者は知っている自分
秘密の窓: 自分は知っているが、相手は知らない自分
未知の窓: 自分も他社も知らない自分
「ジョハリの窓」でリフレクションを行い、盲点の窓や秘密の窓にいる自分に気づくことで、開放の窓が広がり、より客観的に自己を振り返ることができます。
リフレクションの効果
ここまではリフレクションの活用方法について、解説してきました。
ここからは、企業の有益な人材育成につながる、リフレクションの効果を見ていきましょう。
リフレクションによって気づきが得られる
リフレクションは振り返りをする人や振り返りの対象によって、さまざまな気づきを得る効果があります。
リフレクションは慣習的な固定観念や先入観を手放し、対象となるイベントやプロジェクトに対して、客観的な視点で丁寧に行われる振り返りだからです。
上手くいかなかったことだけではなく、上手くいったことのなかにも、新たな気づきを得ることができます。
その小さな気づきが、新しい自分自身を発見するような気づきにつながることもあるでしょう。
考え方や行動に変化が起こる
リフレクションによって得られたさまざまな気づきは、自分にとって必ずしも気持ち良く受け止められるものとは限りません。
自分の価値観や信じていたことが否定されるような事実に、気づかされることもあるでしょう。
しかし、リフレクションによる気づきを客観的に受け止める勇気と向上心を持つことができれば、自分自身の考え方や行動に大きな変化をもたらします。
改善策を導き出せる
リフレクションによって得た気づきを基に、考え方や行動が変化することで、改善策を導き出すヒントを得られる可能性が広がります。
未来志向の改善策を導くためには、課題に対する改善策を見つけることに焦点を当ててはいけません。
対象全体について、丁寧かつ詳細に客観的な振り返りを行うことに意識を向けるのがポイントです。
リフレクションについてまとめ
リフレクションは、過去の業務経験を客観的に振り返ることで学習を促す教育方法です。
従業員が新たな気づきを得て、考え方や行動を変化させることができる手法であり、業務の改善や人材の育成に役立ちます。
リフレクションの効果を得るためには、具体的な活用方法についての理解が欠かせません。
正しい手順や手法を理解したうえで、従業員に対するリフレクション支援を行うようにしてください。
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