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セクショナリズムとは? 企業への弊害と原因・解決方法を紹介

セクショナリズムとは? 企業への弊害と原因・解決方法を紹介

セクショナリズムとは、組織の人間関係悪化や事業不振になりかねない思考傾向です。近年では企業の課題として注視されています。

この記事では、セクショナリズムに陥る原因や企業にもたらす弊害、解決策について解説します。経営者の方はぜひ参考にしてみてください。


この記事の監修者
北原中小企業診断士事務所  代表 

セクショナリズムとは

セクショナリズムとは、自分の属しているチームや部署の権限や利害、都合、立場などに固執し過ぎるあまり、他の部署に対して無関心や非協力的、否定的、排他的といった態度を取ってしまう思考傾向です。

わかりやすくいうと縄張り意識のことであり、明確な対義語は存在しませんが「連携」「協力」などの言葉が用いられます。

セクショナリズムは企業の規模が大きくなるにつれて起きる可能性が高いですが、近年では大企業に限らず中小企業でも発生するケースがあります。組織内部で人間関係の悪化などが起こり、生産性や顧客満足度の低下につながるのが特徴です。


セクショナリズムは大きく2種類ある

セクショナリズムには大きく分けて2つの種類があります。それぞれ詳しく紹介します。

無関心型・非協力型

無関心型・非協力型は自分の所属する組織ばかりに仕事の関心が向いていて、他の組織への無関心さが非協力的な態度に出るセクショナリズムです。

他の組織に無関心かつ非協力的なので、他部署との連携などを避ける傾向にあります。また、責任のあるポジションに着くことを嫌います。

他の部署に自ら悪影響を与えるわけではありませんが、連携が取りづらく不測の事態に陥ったときに対応の遅れやプロジェクトの進行が止まる可能性が高いです。

批判型・排他型

批判型・排他型は他の部署やチームに対する敵対心が先行してしまい、批判的な感情を持つセクショナリズムです。

ライバル部署の批判や排除を目的とする行動をとりやすく、誹謗中傷など直接的に攻撃するケースがあります。周囲のモチベーション低下に大きな影響を与え、重大な問題を発生させる恐れがあります。

本来互いに成長するべき部署同士が足を引っ張り合うなど、会社の利益を損ねる状況に陥る可能性もあるでしょう。放置していると不祥事にもつながるため、早めの解決が必要です。


セクショナリズムが企業にもたらす弊害

セクショナリズムは企業にどのような弊害をもたらすのでしょうか。ここでは5つの弊害について紹介します。

会社視点の欠落

セクショナリズムは会社視点の欠落を発生させます。会社視点が欠落すると、業務や他社との取引において、自社の視点で作業を進められなくなるでしょう。

本来の目的や作業を効率的に進める視点を忘れ、自分が所属している組織や部署の利益や成果ばかりを追い求めてしまいます。その結果、自社の利益損害や部署間の関係性悪化などの弊害につながるのです。

顧客満足度の低下

会社視点が欠落することで、さらに顧客満足度の低下を引き起こします。自分の部署の利益や成果ばかりを求めるだけでなく、他部署への協力を拒むため、自社サービスの品質低下の恐れがあります。

組織内でのセクショナリズムは、結果的に顧客満足度を低下させる可能性があるので注意が必要です。

生産性・業務効率の低下

生産性や業務効率の低下もセクショナリズムによる弊害の1つです。セクショナリズムには大きく分けて2つの種類がありますが、どちらのタイプでもこの弊害を引き起こします。

自分の組織や部署にしか興味のない場合は、他組織との連携を取れず部署を跨いで行われるプロジェクトなどの生産性が低下します。また、批判型であれば他部署が不利益になるように動くなど、トラブルに発展するケースもあるでしょう。

従業員のモチベーション低下

セクショナリズムは従業員のモチベーションを低下させる弊害があります。

というのも、会社視点が欠落していると自分や所属している組織・部署の損得ばかり考えるようになります。それにより、会社に貢献しようと考えるモチベーションが低下する恐れがあるでしょう。

モチベーションが低下すると仕事の成果が出にくくなるため、さらに業務への意欲が低下するなど、悪循環に陥ることも考えられます。

従業員のメンタルヘルスへの悪影響

セクショナリズムは従業員のメンタルヘルスへの悪影響を及ぼします。社内でセクショナリズムが発生していると、部署内外問わず人間関係の悪化や仕事へのモチベーション低下などが起こります。

それにより、周囲の社員へメンタル的な悪影響を及ぼすのが弊害です。社員のストレスが増加すると離職率も上がります。


セクショナリズムが起こる原因とは

ここではセクショナリズムの主な原因を紹介します。

部署内での仲間意識や他への敵対意識が強い

部署内での仲間意識が強すぎたり、他部署への敵対意識が強かったりすると、セクショナリズムが起きやすいです。

仲間意識があるのはよいことですが、あまりに強いと仲間内だけで全てを完結させようとしてしまい、他の部署を受け入れられない状況を作り出してしまいます。その結果、他部署との壁がうまれる可能性がでてきます。

他部署との交流や異動がない

セクショナリズムが起こる原因の1つに、他部署との交流や移動が少ないことがあげられます。人事異動がない会社などでは他部署との交流が少なくなり、他部署で行われている業務を把握できないため、視野が狭くなってしまうケースもあるでしょう。

他部署の状況を把握しないまま、ネガティブな感情を持って不満や批判につながる可能性があります。可能な限り、部署間の交流を増やすことでセクショナリズムを防げるでしょう。

成果主義が浸透している

過度な成果主義が浸透している会社では、組織内の競争をあおってしまい、セクショナリズムが発生するかもしれません。成果主義が浸透していると、自分の部署の成果を周りと比較し、周囲を蹴落として上に上がろうとする意識がうまれます。

結果的に他部署への敵対心がうまれ、セクショナリズムにつながるケースがあります。


セクショナリズムを解決・改善する方法

セクショナリズムには様々な弊害がありますが、どのように解決すればよいのでしょうか。ここでは4つの改善方法を解説します。

定期的に人事異動を行う

定期的に人事異動を行うと、セクショナリズムの対策になります。セクショナリズムの原因に、他部署の業務や役割などを詳しく知らずに視野が狭くなり、所属している組織のことだけを考えることが挙げられるからです。

定期的に人事異動を行うことで、多くの社員が各部署の役割を理解し、それぞれが協力しやすい体制を整えられます。

部署間の交流の場を儲ける

人事異動だけでなく部署間の交流の場を儲けるのも、1つの解決・改善方法です。他部署の業務を理解していないことでセクショナリズムが起こるケースが多いため、物理的に交流を増やすことで解決につながります。

部署間の交流やコミュニケーションが頻繁に行われると、組織内の縄張り意識などが低下し、会社視点が向上するメリットも考えられます。

人事・評価制度を見直す

成果主義が浸透している会社では、セクショナリズムを防ぐためにも人事・評価制度の見直しが有効です。

特に、部署間で競争する仕組みになっている場合は注意が必要です。適度な競争はポジティブな影響を与えますが、過度に成果を気にするとセクショナリズムが発生します。

会社の成果を意識できる制度を作ると、組織の団結力も高まるでしょう。

部署を横断したプロジェクトを実施する

部署を横断したプロジェクトを実施するのも、セクショナリズムの解決方法です。

複数の部署が協力してプロジェクトを進めることで、それぞれのチームへの理解を深め、交流を増やせます。特に会社の発展につながるようなプロジェクトであれば、より部署間の関係性向上を期待できるでしょう。

とはいえ、すでにセクショナリズムが発生している部署同士では、逆効果になる可能性もあるので注意が必要です。


セクショナリズムを解消した企業事例

ここでは、セクショナリズムを解消した企業事例について紹介します。

NTTデータ

NTTデータはセクショナリズムを解消した企業の1つです。

主な例としては、2006年に招待制の社内SNSを立ち上げました。この社内SNSでは登録者が10,000人を超えた時期もあり、部署や役職にかかわらずコミュニケーションが発生したことで、従業員同士の関係性向上を手助けしました。

多くの社員に利用されていたものの、サービス自体は2019年3月に終了しています。

シャープ

シャープでは社員のモチベーション向上や職場環境の改善、業務の生産性向上を目指しS&Tツリーを作成し、社内で共有しました。

S&Tツリーでは部署や役割ごとの戦略と戦術を見える化することで、各チームのやるべきことや行動指針の統一が可能です。

社内で共有することでチーム間の垣根を超えた情報共有が実現し、よりビジネスの発展につながります。


セクショナリズムについてのまとめ

セクショナリズムは企業に対して、生産性や業務効率、顧客満足度の低下や従業員のモチベーション低下など、様々な弊害をもたらします。

定期的な人事異動や部署間の交流を増やすことで、セクショナリズムの解決や改善につながるでしょう。自社がセクショナリズムに陥らないよう、改めて社内を見直してみてはいかがでしょうか。


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監修者プロフィール

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北原 竜也

北原中小企業診断士事務所 代表

2017年に中小企業診断士を取得。補助金等の事業計画書作成支援を中心にコンサルティングを開始。

ITコーディネータ、健康経営エキスパートアドバイザーの資格も保有しており、中小企業を中心に幅広い知見を活かした支援・助言を行っている。

カウンセラーとしての側面もあり、カウンセリングの聴く技術を活かし、クライアントが望む姿を明確にし、具体的な行動に移せるコンサルティングを得意としている。

【保有資格】

・認定経営等革新支援機関 中小企業診断士

・ITコーディネータ

・健康経営エキスパートアドバイザー

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