オーセンティックリーダーシップとは? 重視される理由と必要な特性
企業や組織には、多様なリーダーシップのスタイルがあります。
近年、上から下へ処理する従来のトップダウン型から変化し、オーセンティックリーダーシップが重要視されています。
この記事では、企業でリーダー的ポジションにいる従業員に対して、オーセンティックリーダーシップの概念や注目される背景、必要な特性を解説します。
また、この記事の後半部分では、メリットやデメリット、オーセンティックリーダーシップの習得方法をまとめたので、ぜひ最後までご覧ください。
オーセンティックリーダーシップとは
オーセンティックリーダーシップは、自分自身の考えや価値観に基づいて、倫理的にリーダーシップを発揮するスタイルを指します。
従来のリーダーシップ理論とは異なり、個人の真の自己を尊重し、自身の考えに基づいて行動することが特徴です。
2003年にビル・ジョージ氏が発表した著作「ミッション・リーダーシップ」がきっかけで、オーセンティックリーダーシップが世界的に注目されるようになりました。
オーセンティックリーダーシップが重視される理由
オーセンティックリーダーシップが重視される理由は、主に2つあります。
- 従来のリーダーシップが通じない
- 時代の変化が著しい
従来のリーダーシップが通じない
従来のリーダーシップは、リーダーが率先して行動したあとに続くような形式でした。
会社の意向を重視してリーダーシップを発揮することで、会社一丸となって取り組むことができ、生産性の向上などに寄与すると考えられているのが要因です。
しかし、現代社会においてこのようなリーダーシップの在り方では、社員の自主性が育ちにくく、多様性のある成長が見込めなくなってきています。
一定の水準まで達すると、それ以上は伸び悩んでしまうことがあるでしょう。
そこで、オーセンティックリーダーシップという自身の考え方や、倫理観を重視した新たなリーダーシップの在り方が生まれたといえます。
時代の変化が著しい
時代の変化の速さに伴い、従来のリーダーシップの在り方では対応しきれないところが出てきています。
今までのリーダーシップの在り方では、働き方改革やハラスメント対策などの時代の変化に対応する際に、スピーディな対応が難しいといえます。
オーセンティックリーダーシップでは、自身の考え方や価値観などを今の時代に合わせる形での新しいリーダーシップの在り方を形成しているでしょう。
オーセンティックリーダーシップに必要な特性
オーセンティックリーダーシップに必要な特性を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
自分が果たすべき目標が明確化している
真のオーセンティックリーダーは、自身の役割やビジョン、目標を明確に理解しています。
いろいろな側面から目標を明確化することで、チームや組織全体の方向性を適格に示せるためです。
また、目標がはっきりしていると効率的な作業が実現し、さまざまな事柄で迷いなく決断を下せるでしょう。
自分の価値観や倫理観に基づいて行動する
オーセンティックリーダーシップを持つリーダーは、自分自身の価値観や倫理観を持っています。
自分で定めた価値観や倫理観は、彼らの行動や決断の基盤になります。
組織のメンバーやステークホルダー(利害関係者)との信頼関係をスムーズに築けるでしょう。
また、困難な状況でも自分の価値観を守れば、チームや組織全体を正しい方向に導くことができるはずです。
情熱的に真心をもって人をリードする
オーセンティックリーダーシップの中核には、情熱と真心があります。
単に自らが情熱を持つだけではなく、その情熱をチームや組織のメンバーと共有することが重要です。
リーダーが真心を込めて行動することで、その情熱はメンバーにも伝わり、一丸となって目標に向かう原動力になるでしょう。
リーダーは信頼と尊敬を得られ、組織の持続的な成功に繋がります。
支え合うことができる人間関係の構築
オーセンティックリーダーシップは、組織やチーム内の人間関係の質にも深く関わっています。
リーダーが信頼と尊敬の基盤上で関係を築くことで、困難な時期や課題に直面しても、互いに支え合って乗り越えられるでしょう。
また、メンバーの意見や考えを尊重し、リーダーが成長と成功をサポートすることで、より強固な人間関係が築かれます。
セルフマネジメントと継続的な学習
セルフマネジメントは、自分の感情や行動、時間などを効果的に管理する能力です。
オーセンティックリーダーシップリーダーは、日常のストレスやプレッシャーに対しても、自分の価値観や目標に基づいて、適切に対応しなければなりません。
また、継続的な学習には、書籍や日常業務からのフィードバックなどがあります。継続した学習はリーダーが新しい視点を持ち、組織全体の革新と成長促進につながるでしょう。
オーセンティックリーダーシップを身につけるメリット
オーセンティックリーダーシップを身につけるメリットを、3つにまとめました。
- 従来的なリーダー像に固執されない
- 仕事仲間と強固な信頼関係を築ける
- 周囲の人たちを巻き込みやすくなる
従来的なリーダー像に固執されない
オーセンティックリーダーシップは、従来の上から下へ指示を処理するトップダウン型に縛られることなく、真の自分らしさを持って組織をリードできます。
自らの感情や価値観を理解し、情熱や真心をもって行動できるでしょう。
固定されたリーダーシップのイメージにとらわれず、状況や時代に応じた柔軟な対応ができるため、組織の変革や新しい挑戦にも適応しやすくなります。
仕事仲間と強固な信頼関係を築ける
オーセンティックリーダーシップを身につけると、自分の考えや感情をオープンに共有しやすくなります。
組織内のメンバーとのコミュニケーションが深まり、より強固な信頼関係が築かれるでしょう。
また、リーダーが自身の弱点や間違いを改善する姿勢を見せることで、メンバーも自らの弱点を恐れずに共有し、チーム全体の成長を促す文化が形成されます。
周囲の人たちを巻き込みやすくなる
オーセンティックリーダーシップを身につけたリーダーは、自分自身の真実性と誠実さをもって組織やチームをリードします。
リーダーとして、周りの人々を自然と巻き込む力が増大するでしょう。
一緒に目的を達成する意識が高まりますので、チーム全体で成長し、情熱を持って目標達成に向かうことができます。
オーセンティックリーダーシップを身につけるデメリット
オーセンティックリーダーシップには、いくつかデメリットがあります。
- 成長意欲が減少する
- 融通が利かなくなる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
成長意欲が減少する
オーセンティックリーダーシップは、自らの真実性や倫理観を重視するリーダーシップスタイルです。
しかし、自分の現状を受け入れるあまり、成長や改善の意欲が減少する恐れがあります。
自分の本質や価値観を誤解すると現状維持につながりますので、オーセンティックリーダーシップリーダーは、絶えず成長し続ける意欲を常にもっていなければなりません。
融通が利かなくなる
オーセンティックリーダーシップは、自らの価値観や信念に基づいた行動が大切です。
しかし、自分の価値観や信念を絶対化しすぎると、他者の意見や視点を受け入れることが難しくなるでしょう。
また、メンバーとの距離感が近すぎたり遠すぎたりすると、物事の判断に影響がでますので、適切な距離感を意識しなければなりません。
オーセンティックリーダーシップの習得方法
オーセンティックリーダーシップの習得方法を、それぞれ詳しく解説します。
1.自身の特性(強みと弱み)の理解
オーセンティックリーダーシップは、自身の価値観や信念が反映されるため、自身の強みと弱みをしっかり理解することが大切です。
自身の特性を理解することで、周囲の人に対して自身がどのようなリーサーシップを発揮しようとしているかを、明確に示すことができるでしょう。
目指すべき方向性を、より具体的に示すことにつなげられます。
2.自身の倫理観の理解
自身の倫理観は、意外にも理解できない部分が多いため、いろいろな人との会話などから自身の倫理観について、客観的に分析することが大切です。
そのため、自身の特徴を理解しただけでは、オーセンティックリーダーシップの進むべき方向を決めたに過ぎません。
倫理観を理解することで、進むべき方向性をより明確にすることにつながるといえるでしょう。
3.組織内での良好な関係を構築
リーダーシップは組織内において発揮されるものであるため、組織内における人間関係を、常に良好な状態でいるように心掛けなければなりません。
オーセンティックリーダーシップの場合は、自身の価値や倫理観をもって発揮させるリーダーシップであるため、組織の理念等に合わせることも意識して行う必要があります。
4.行動の振り返り
組織内での行動について、リーダーシップがしっかり機能していたかどうかを、周囲の人からフィードバックしてもらう事が大切です。
- Plan:計画
- Do:実行
- Check:測定と評価
- Action:対策と改善
PDAサイクルと同じように、オーセンティックリーダーシップも、自身の価値や倫理観によって行われた行動を振り返ることで、より良いものへと改善を図ることが大切といえます。
オーセンティックリーダーシップのまとめ
オーセンティックリーダーシップは、自己の情熱や信念に従って組織をまとめる概念です。
目標理解や倫理行動、情熱的なリード、信頼構築、学習欲求などを、主な特性とします。
また、真のオーセンティックリーダーシップリーダーになるためには、自己理解や弱み開示、関係構築、振り返りが習得のポイントです。
リーダーシップは誰にとっても大切で、企業発展に重要です。